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日本政府は今こそ核兵器禁止条約に参加を――署名共同提出のつどい参加レポート

日本政府は今こそ核兵器禁止条約に参加を――署名共同提出のつどい参加レポート
世界各地で戦争や紛争が止まらない中、高市政権による非核三原則見直しの検討や米トランプ政権による「核実験の実施」の示唆など、核兵器の存在や使用を容認する動きが相次いでいます。2021年には核兵器禁止条約が発効されましたが、唯一の戦争被爆国である日本の政府は米国の「核の傘」に頼り、この条約への参加には一貫して後ろ向きな姿勢を示しています。
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世界各地で戦争や紛争が止まらない中、高市政権による非核三原則見直しの検討や米トランプ政権による「核実験の実施」の示唆など、核兵器の存在や使用を容認する動きが相次いでいます。2021年には核兵器禁止条約が発効されましたが、唯一の戦争被爆国である日本の政府は米国の「核の傘」に頼り、この条約への参加には一貫して後ろ向きな姿勢を示しています。
11月21日(金)、昨年ノーベル平和賞を受賞した日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)をはじめ、これまで日本政府に核兵器禁止条約参加を求めてきた諸団体が共同で署名を提出し、衆議院会館前で条約への署名・批准を政府に求める集会を行いました。

ピースボートでは、国内外のNGOや核兵器の被害者たちと共に核兵器の廃絶を求める活動を続けています。また日本政府に対しても核兵器禁止条約に加わるよう働きかけていることから、この集会で被爆者の方々や他団体と共に同条約への参加を訴えました。このレポートでは、共同署名提出とその後の集会の様子をお伝えします。

総勢300名以上が参加した署名共同提出

日本政府は今こそ核兵器禁止条約に参加を――署名共同提出のつどい参加レポート
集会には被団協をはじめ被爆者団体や支援者ら総勢300名以上が参加
署名共同提出のつどいには、北は北海道、南は九州・沖縄まで全国から日本被団協のメンバーや各自治体の被爆者団体の代表・役員、支援者など総勢300名以上が参加。また、立憲民主党や国民民主党、日本維新の会、公明党、日本共産党、れいわ新選組など、自民党をのぞいた主要政党の議員が出席したほか、全国首長九条の会共同代表で世田谷区長の保坂展人さんも立ち会いました。

ステージ上には日本被団協をはじめ全国の市民団体や高校生たちが集めた署名が積み上げられました。

原爆は”兵器”の名にも値しない悪魔の道具

日本政府は今こそ核兵器禁止条約に参加を――署名共同提出のつどい参加レポート
署名共同提出のつどいで挨拶する田中熙巳さん
会の冒頭では日本被団協代表委員の田中熙巳さんがあいさつをし、「日本被団協がノーベル平和賞を受賞した大きな理由のひとつとして、いま世界をめぐる核兵器の状況が大変難しくなっている中で被爆者たちが証言を通じて核の脅威を世界中に広げてきたことが挙げられる」と、受賞の経緯を振り返りました。

また田中さんは核兵器の非人道性についても改めて訴え、「以前国連の場で核兵器は悪魔の兵器だと発言したが、現在では”兵器”の名にも値しない悪魔の道具だと考えるようになった」と話しました。そして、「そのような悪魔の道具によって世界の秩序を保とうとする核保有国中心の現状を変えていくためにも、一日も早い日本の核兵器禁止条約参加、そして日本が世界各国の先頭に立って核兵器廃絶のためび運動していくことを求めたい」と締めくくりました。

条約参加を求める344万9,012筆の署名と日本政府の方針

日本政府は今こそ核兵器禁止条約に参加を――署名共同提出のつどい参加レポート
外務省の担当者に署名を手渡す被爆者団体の方々
各政党の代表らによるあいさつに続き、この日までに寄せられた署名の総数が344万9,012筆であったと発表されました。その後、北海道・東北、関東、甲信越、東海・北陸、近畿、中国・四国、九州・沖縄の被爆者代表、そして日本生協連、高校生平和ゼミナール、新日本夫人の会、日本平和委員会、全国商工団体連合会、障害者の生活と健康を守る全国連絡協議会、全日本民主医療機器連合会、反核医師の会の代表がそれぞれ日本政府・高市早苗総理への要望を述べ、外務省の担当職員に集められた署名を直接手渡しました。

署名を受け取った外務省の松本恭典審議官は「皆様の切実な思いを非常に重く受け止めた、唯一の戦争被爆国として核のない世界を目指すという目標においては署名を集めた方々と完全に一致している」と述べたものの、「なかなか非核兵器国だけの働きかけでは核軍縮は進まないため、どのように核兵器国を巻き込みながら核兵器の廃絶を目指すのか、その実効的な方法を慎重に検討していきたい」と続け、核兵器禁止条約への参加については言及しませんでした。

2045年を核兵器廃絶の年に

日本政府は今こそ核兵器禁止条約に参加を――署名共同提出のつどい参加レポート
マイクを手に核廃絶を訴える秋葉忠利さん
署名共同提出のつどいに続いて、国会前では日本政府に核兵器禁止条約への参加を求める集会も開催されました。全国の被爆者や核廃絶運動に携わる団体のメンバー、国会議員らがマイクを手に、それぞれの立場から核兵器の非人道性や核廃絶にかける思い、非核三原則の堅持や核兵器禁止条約への署名・批准を求める発言をしました。

この集会には原爆被爆地の首長として核兵器廃絶を訴えてきた元広島市長の秋葉忠利さんも参加しました。秋葉さんは、1986年のレーガン・ゴルバチョフ会談での核廃絶合意もNYでの100万人集会を受けて実現したことを引き合いに出しながら、「市民の声や運動には世界の首脳を動かす力が秘められている」と語り、広島・長崎に原爆が投下された1945年から100年後にあたる2045年までの核兵器廃絶を達成しようと呼びかけました。

被爆者とともに声を上げ続ける

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核兵器をなくす日本キャンペーン事務局長の浅野英男さん
集会の最後にマイクを握ったのは、核兵器をなくす日本キャンペーン事務局長の浅野英男さんです。浅野さんは昨年ノーベル平和賞を受賞してからこの一年間で、日本被団協だけで300以上の講演依頼があったことにふれ、この一年間毎日のように被爆者の皆さんが日本、そして世界のどこかで「核兵器は絶対に使ってはいけない」「核兵器をなくせ」と訴え続けてきた被爆者の方々とともに立ち上がり声を上げ続けていきたい、そこに運動の継承があると思う、と語りました。

また2026年は被爆80年からの次が試される一年になると続け、日本の安全保障が厳しいから非核三原則を見直すのではなく、政府には非核三原則を守っていくことこそが日本の安全保障に資するのだという発想を持ってもらいたいと力強く訴えました。

ピースボートは今後も日本被団協や核兵器をなくす日本キャンペーンと連携し、日本の核兵器禁止条約批准、さらには核兵器の廃絶を目指して活動を続けていきます。

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