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言葉が通じなくても仲良くなれる!中学生27名、国際交流の軌跡

言葉が通じなくても仲良くなれる!中学生27名、国際交流の軌跡
8月17日から28日にかけて、明星学園とピースボートとの初めての共同の取り組みとして、中学生向けの国際交流クルーズを行いました。今回のこの国際交流クルーズには、明星学園の中学生27名が夏休みを利用して参加し、Voyage 118の横浜からシンガポールまで乗船しました。船内での講座や英会話教室、他の乗客やクルーとの交流、そして寄港地での見聞を余すところなく楽しんだ中学生の姿は、12日間という短い期間でも国際交流の原点を改めてみせてくれました。
8月17日から28日にかけて、明星学園とピースボートとの初めての共同の取り組みとして、中学生向けの国際交流クルーズを行いました。今回のこの国際交流クルーズには、明星学園の中学生27名が夏休みを利用して参加し、Voyage 118の横浜からシンガポールまで乗船しました。船内での講座や英会話教室、他の乗客やクルーとの交流、そして寄港地での見聞を余すところなく楽しんだ中学生の姿は、12日間という短い期間でも国際交流の原点を改めてみせてくれました。

明星学園とピースボートの初のコラボレーション

言葉が通じなくても仲良くなれる!中学生27名、国際交流の軌跡
中学生のうちに自分の足で世界に踏み出し、たくさんのホンモノや多様な価値観に出会ってほしい。そのような熱意のある明星学園の先生方とともに、ピースボートは昨年から「国際交流クルーズ」の構想をあたため、準備を進めてきました。初の取り組みであるこのクルーズですが、たくさんの中学生が興味を持ってくれ、中学2年生と3年生のあわせて27名もが参加することとなりました。

中学生の志望動機は様々。「いろんな国のご飯が食べたい」「英語を使ってみたい」「大きな船に乗るのが楽しみ」…。「ネットで他の国の情報をみてあんまりいい印象を持っていないから自分で確かめたい」という子もいました。

船という「場 に受け止められ、ぐんぐんと人とのつながりを広げた中学生たち

言葉が通じなくても仲良くなれる!中学生27名、国際交流の軌跡
船旅が始まって最初の2日ほどは、普段一緒にいる友達で固まってばかりで、「大人たち」との距離感もさぐりさぐり。ホームシックになったり、船酔いで不安になってしまったりする中学生もいました。しかし、船内でたくさんのプログラムに参加する中で、そんな中学生たちはどんどん変わっていきました。

毎日の朝と夕方のホームルームには「本日のゲスト」と称してクルーズの運営に関わる様々なスタッフが遊びにきてくれました。日本以外の出身の人、ホームスクーリングで育った人、同性のパートナーがいる人、学校に行けなかった時期がある人、たくさんの言語が話せる人…たくさんの生き方に触れて、もっと話したい、もっと知りたいという意欲に火がついたようでした。

レストランではクルーと仲良しになってクルーの母語で挨拶を教えてもらったり、ベネズエラからミュージシャンとして乗船しているグループの演奏を楽しみに毎回欠かさず聞きにいったりと、自ら果敢に交流していく姿が随所でみられました。はじめは「リピートアフターミー」と促されても沈黙がうまれてしまっていた英会話の時間も、途中からは通りがかった人が覗いてみたくなってしまうほどの盛り上がりでした。船内テレビにも出演し、他の乗客の方から声をかけられる機会も増えました。

また、ピースボートに水先案内人(=ゲスト講師)として乗船していた深津高子さんにモンテッソーリ教育の話、岡真理さんにはパレスチナ問題の話、中村一成さんには差別と共生社会の話をしてもらい、ティンティンさんには中国琵琶の演奏をしてもらい、知的好奇心も全開。授業がおわっても食事の時間などに水先案内人の方々に話かけにいく中学生を見かけることもありました。

伝わる嬉しさと伝わらないもどかしさも、現地を訪れればこそ

言葉が通じなくても仲良くなれる!中学生27名、国際交流の軌跡
今回の旅で寄港したのは香港とシンガポール。香港では「漢字でなんとなく意味が想像できる」と看板や広告にも興味津々で、「これはこういう意味かなぁ」という会話があちこちで聞こえてきました。前日にティンティンさんに「異国の地に足を踏み入れると『ここは日本と違う』『日本ではこういう風にはやらない』など、違いばかりに目がいきがち。だけどぜひ似てるところも探してみてください。それが私の国際交流のためのアドバイスです」と言われた中学生たちが、違いだけでなく日本との共通点も一生懸命探していたのが印象的でした。

自由時間には、グループにひとり、現地の大学生がついてくれました。船内の英会話でならった英語のフレーズを早速つかい、伝わって嬉しそうな様子にはついスタッフも頬が緩みました。いっぽうもっと話したいのに単語がわからない、どう表現したらいいのかわからない…そんなもどかしさもかみしめた体験となったようです。

シンガポールについては、船内での準備会で、4つの公用語があることや様々な宗教が大切にされていることを学んでいました。それでも頭で理解するのと実際に自分で現地を訪れてみるのは大違いです。リトルインディア、アラブストリート、チャイナタウンとまわっていくと「全然匂いが違う!」「色が違う!」「違う国に来たみたい!」と中学生からは驚きの声があがりました。寺院やモスクに実際に入り、お祈りの様子を目にし、同じ信仰でも違いがあることを実感したようでした。

ヘナタトゥーに挑戦したり、名前をデザインして額縁にいれてくれるアーティストにお土産をお願いしたりと、シンガポールならではの体験もたくさんできました。食事を食べたホーカー(屋台)では、現金を渡されて好きなものを食べておいでと言われ、あぁでもないこうでもないとみんなで大騒ぎしながらそれぞれに満足のいく食事にありつけたようでした。こういったひとつひとつの経験が忘れられない思い出となったことでしょう。

「国際交流ってなんだろう」、中学生が出した答えは…

言葉が通じなくても仲良くなれる!中学生27名、国際交流の軌跡
このクルーズを通して中学生に出された課題は国際交流とは何かを考えること。シンプルにみえて深いテーマです。初日は大きな模造紙に「国際交流」と書き込み、連想する言葉を書き出してみるワークショップからスタートしましたが、思ったより議論は深まりません。そのような中でも「話すこと」「文化」「音楽」「出会い」など、少しずつ言葉を集め、この船でどのようなことをやってみたいかを話し合いました。

「国際交流とは何か」を頭の片隅に置きながら日々を過ごす中で、中学生は体感的に国際交流とは何かを会得しているようでした。「言葉がわからなくても意外と交流できたよ」や「友達ができて食事に一緒にいく約束したんだよね」など、スタッフがあれこれとアドバイスする前に中学生たちが自ら動いている姿がよくみられました。「差別も、異なる価値観がぶつからないと起きないという意味では国際交流だと思うんだよね」という仮説のもと、「差別は国際交流か」という問いを水先案内人の方々とともに何時間も議論するグループもありました。

迎えた船内での最終日、中学生たちは自分たちで決めたグループで、それぞれ大勢の観客を前に発表を行いました。聞きに来た人たちも大きくうなずくような国際交流のヒントや秘訣があふれる発表の数々は本当に素晴らしい物でした。「偏見を捨てて優しい気持ちで話したい気持ちを持つこと」「相手を国としてみるのではなく人としてみる」「友達になることが国際交流」「一緒にご飯を食べて、会話すれば、仲良くなれる」…中学生が自分たちの体験をもとにたどりついた言葉には説得力がありました。時には聴衆に質問を投げかけたり、冗談を交えて笑いをとりながらの発表は大盛況で、1時間半におよぶ発表はオーディエンスが増える一方で大成功に終わりました。

ピースボートがめざすもの、それは船旅を通じて、国と国との利害関係とはちがった草の根のつながりを創り、地球市民の一人として、平和の文化を築いていくことです。明星学園の中学生とのこの夏の体験は、その原点を示してくれたように思います。

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