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日本は原子力潜水艦を持つべきではない――共同声明を出しました

日本は原子力潜水艦を持つべきではない――共同声明を出しました
与党や政府の有識者会議から、日本の原子力潜水艦の保有に向けた提言が出されています。これは、たいへん危険な動きです。原子力潜水艦は、長距離を潜行し攻撃するためのもので、平和憲法のもとで政府が維持してきた「専守防衛」を大きく逸脱します。また、原子力の軍事利用にあたり、「核なき世界」をめざす国際的努力に逆行するものです。
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与党や政府の有識者会議から、日本の原子力潜水艦の保有に向けた提言が出されています。これは、たいへん危険な動きです。原子力潜水艦は、長距離を潜行し攻撃するためのもので、平和憲法のもとで政府が維持してきた「専守防衛」を大きく逸脱します。また、原子力の軍事利用にあたり、「核なき世界」をめざす国際的努力に逆行するものです。
日本は原子力潜水艦を持つべきではない――共同声明を出しました
左から新倉裕史、浅野英男、渡辺里香(ピースボート)、松久保肇、川﨑彩子の各氏。
7月14日、ピースボートは、原子力資料情報室や核兵器をなくす日本キャンペーンと共同で「日本は原子力潜水艦を持つべきではない」と題する声明を発表しました。川崎哲が呼びかけ人に加わり、発表の記者会見では渡辺里香が発言しました。

渡辺は、先の戦争への反省と憲法9条の大切さを述べた上で、原子力潜水艦の保有は「専守防衛をうたう日本の防衛体制として不適切」と訴えました。また、日本が原潜をもつために原子力基本法を変えるとなれば「世界の国々の日本の見方が大きく変わり、その先は核武装ではないかと疑われかねない」と述べ、国際社会における日本の信頼を傷つけるものだと指摘しました。

この共同声明には、ピースボートを含む15団体と、115名の個人が連名しています。声明全文は以下の通りです。

共同声明 日本は原子力潜水艦を持つべきではない

日本は原子力潜水艦を持つべきではない――共同声明を出しました
衆議院第二議員会館で行われた記者会見(2026年7月14日)
6月24日、日本維新の会が「提言【「危機の30年」時代の国家安全保障戦略】」を発表した。同提言は、非核三原則の見直し、核共有の検討と並んで、原子力潜水艦保有を強く打ち出している(全124ページ中16ページを原潜、13ページを核戦略に割いている)。昨年9月に防衛省の有識者会議「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」が発表した報告書や日本維新の会の提言と同日に自由民主党が発表した「新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言」においても「次世代の動力」と婉曲的ではあるものの原子力潜水艦の保有検討が示されていた。私たちは、こうした動きに強い懸念を持つ。日本は原子力潜水艦を持つべきではないと考えるからだ。

まずそもそもの必要性が疑わしい。一般に原子力潜水艦の用途は攻撃原潜の場合は敵艦艇との交戦・空母護衛・監視、戦略原潜の場合は核抑止(第二撃)のためとされる。最近の原潜保有論の多くは広範な海域での展開を前提とするが、それは日本の国是である専守防衛の枠を大きく超える。 また日本は非核兵器国であることから戦略原潜が想定する核の第二撃を運用する主体となりえない。次に、現実的な障壁も大きい。1隻1兆円ともいわれる建造コストに加え、母港の確保、長期潜航に対応できる乗員体制の構築など、運用上の課題は山積している。放射能関連の事故リスクをはじめ安全性の問題も存在する。また通常型潜水艦とはコンセプトが大きく異なるため、開発には相当の期間を要する。近年、急速な進歩を遂げている蓄電池技術により、実用化の時点では原子力潜水艦の優位性が失われている可能性もある。

最大の問題は、核不拡散体制への深刻な打撃である。核不拡散条約(NPT)第3条に基づき締結されている包括的保障措置協定(14条)は、核物質が軍事的性格を持つ活動に使用されている期間中は、 国際原子力機関(IAEA)の保障措置(査察)を免除することを認めている。そのため原子力潜水艦での核物質利用はNPTの 「抜け穴(loophole)」になると懸念されている。これまで原子力推進の軍事用艦船は核兵器国しか保有していなかったため、その問題は顕在化してこなかったが、オーストラリアや韓国など非核兵器国による原子力潜水艦保有の動きは、同条で規定する特別かつ固有の保障措置協定が必要となる。このどの国も締結したことがない協定の内容は不透明であり、すでに核不拡散体制に深刻な緊張をもたらしている。なお、低濃縮ウランを用いれば懸念が緩和されるとの指摘もあるが、濃縮度にかかわらず核物質が保障措置の対象から一時的に外れるという構造自体は変わらない。 日本がこれに加わることは、保障措置制度を複雑化させ、核不拡散体制のさらなる弱体化を後押しすることになる。原子力の軍事利用と民生利用の境界線が希薄化しつつある今、日本のような技術力を持つ非核兵器国が原潜保有に踏み出せば、この境界のあいまいさをさらに既成事実化しかねない。

日本はこれまで「唯一の戦争被爆国」として核廃絶をリードする責務を自ら宣言し、原子力基本法においても原子力利用は平和利用に限定してきた。原子力潜水艦の保有はその立場を自ら否定するものだ。専守防衛を国是とする日本に原子力潜水艦は必要なく、この議論に費やすべき政治的・財政的資源は、外交による緊張緩和に用いられるべきだ。私たちは政府に対し原子力潜水艦保有検討を行わないことを強く求める。

2026年7月14日

(呼びかけ人一覧および脚注の入ったPDF版は以下からダウンロードできます)

賛同団体

ANT-Hiroshima
市原・憲法を活かす会
一般社団法人大磯エネシフト
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)
核兵器をなくす日本キャンペーン
原子力行政を問い直す宗教者の会
原子力資料情報室
原発さよなら千葉
原発のない暮らし@ちょうふ
石炭火力を考える市原の会
ゼロカーボンシティーを実現する市民の会
脱原発・滋賀☆アクション
ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン
ピースボート
ヒロシマ革新懇
ふぇみん婦人民主クラブ
(2026年7月14日現在、15団体)

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