被爆80年 ピースボート核兵器廃絶に向けた取り組み

2025年の今年、広島・長崎に原爆が投下されてから80年を迎えました。ピースボートは、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)や核兵器をなくす日本キャンペーンなどと連携し、広島、長崎、東京にて様々な活動を行いました。昨年の日本被団協のノーベル平和賞受賞という後押しもあり、各地で注目され、新たな連携が生まれた年となりました。この記事では一連のイベントの内容を報告します。
- プロジェクト: 核廃絶
INFO
2025.12.9
2025.12.9
2025年の今年、広島・長崎に原爆が投下されてから80年を迎えました。ピースボートは、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)や核兵器をなくす日本キャンペーンなどと連携し、広島、長崎、東京にて様々な活動を行いました。昨年の日本被団協のノーベル平和賞受賞という後押しもあり、各地で注目され、新たな連携が生まれた年となりました。この記事では一連のイベントの内容を報告します。
【8/4】メリッサ・パークICAN事務局長との合同記者会見

メリッサ・パークICAN事務局長との記者会見
広島と長崎の平和式典に参列する目的で来日したメリッサ・パーク事務局長を迎え、ICAN国際運営委員でもありピースボートスタッフの川崎哲、ANT-Hiroshima理事長の渡部朋子さんとともに合同記者会見を行いました。パーク事務局長は、「核兵器がある以上、次の80年が安全であるとは言えない。核兵器廃絶を、被爆者が生きている間に達成しなければいけない」と発言。渡部朋子さんは、ICANが今年発表した特設サイト「子ども平和メモリアル」を紹介し、「ひとりひとりに命があった、その生きた証を無駄にしてはならない」と訴えました。
【8/5】国会議員討論会「被爆80年 日本はどのように核軍縮を主導するか ー「核兵器のない世界」に向けた転換点を作るために ー」

多くの意見交換が行われた国会議員討論会
広島原爆の日を翌日にひかえ、各政党を代表する国会議員を集め、日本がどのように「核兵器のない世界」に向かって進んでいけるのかを討論しました。国連事務次長の中満泉さんに加え、オーストリア外務省のアレクサンダー・クメント氏、メリッサ・パークICAN事務局長、日本被団協の田中熙巳代表委員も参加しました。核抑止論をどうやって克服していくのか、東アジアの緊張関係をどのように緩和すべきなのかなど、各党の意見を交換するとともに、核兵器禁止条約の今後の展望、日本の参加の重要性についての情報共有も行われました。
【8/5, 8/8】原水禁世界大会(広島・長崎)での講演

原水禁世界大会に松村が登壇
8月5日の広島、8月8日の長崎で行われた原水爆禁止世界大会・第1分科会「平和と核軍縮 Ⅰ-世界の核軍縮」にて、ピースボートスタッフの松村真澄が登壇しました。核兵器をめぐる世界情勢に加え、「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」に参加した被爆者の方々の強く複雑な思い、核兵器禁止条約の現状などについて話しました。ともに登壇したイ・ヨンアさん(韓国・参与連帯)は、朝鮮半島の現状から非核化の必要性を語りました。2024年4月に立ち上がった核兵器をなくす日本キャンペーンの具体的な活動にも触れ、各国の市民の働きについても議論しました。
会場には、核兵器廃絶について初めて学んだという学生や、教育現場で奮闘する先生らが訪れていました。どのように継承をすべきか、若い世代に関心を寄せてもらうためにはどうしたらいいのかなど、被爆80年以降の活動について意見が交わされました。
会場には、核兵器廃絶について初めて学んだという学生や、教育現場で奮闘する先生らが訪れていました。どのように継承をすべきか、若い世代に関心を寄せてもらうためにはどうしたらいいのかなど、被爆80年以降の活動について意見が交わされました。
【8/6, 8/9】広島と長崎から世界へ向けてオンライン生配信

長崎での配信チーム
ピースボートは毎年ICANと共催で、8月6日と9日に広島と長崎の現地で、黙祷の瞬間を世界に生配信しています。ICANが立ち上げた特設サイト「子ども平和メモリアル」にちなみ、今年のテーマは「子どもたちと核兵器」という内容で配信を行いました。
8月6日には、広島に事務所を置く国連訓練調査研究所(UNITAR)が毎年募集している高校生アンバサダーの4名が、平和記念公園の近くにある女学生の慰霊碑の紹介や放射能による健康被害について英語で話しました。また、日本に帰港する途中だったパシフィックワールド号とも中継を繋ぎ、乗船されていた被爆者の倉守照美さんのお話や、船内で行われているノーベル平和賞洋上特別展の紹介なども行いました。
8月9日の長崎は平和記念式典の直前まで大雨が降っていたため、一部プログラムを変更し、長崎にある爆心地公園と公園近くの屋内、そして東京の三鷹市とオーストラリアを中継で繋ぎ、配信を行いました。ピースボートスタッフの渡辺里香が司会を務め、東京の三鷹市にある長崎の平和の像のミニチュア版を紹介した後、長崎の爆心地公園の様子や、「子ども平和メモリアル」の立ち上げに尽力したICANのティム・ライトさんがオーストラリアから参加し、長崎で被爆した子どもたちの紹介を行いました。
どちらの中継も全世界に配信され、多くの方と黙祷の瞬間を共有しました。
8月6日には、広島に事務所を置く国連訓練調査研究所(UNITAR)が毎年募集している高校生アンバサダーの4名が、平和記念公園の近くにある女学生の慰霊碑の紹介や放射能による健康被害について英語で話しました。また、日本に帰港する途中だったパシフィックワールド号とも中継を繋ぎ、乗船されていた被爆者の倉守照美さんのお話や、船内で行われているノーベル平和賞洋上特別展の紹介なども行いました。
8月9日の長崎は平和記念式典の直前まで大雨が降っていたため、一部プログラムを変更し、長崎にある爆心地公園と公園近くの屋内、そして東京の三鷹市とオーストラリアを中継で繋ぎ、配信を行いました。ピースボートスタッフの渡辺里香が司会を務め、東京の三鷹市にある長崎の平和の像のミニチュア版を紹介した後、長崎の爆心地公園の様子や、「子ども平和メモリアル」の立ち上げに尽力したICANのティム・ライトさんがオーストラリアから参加し、長崎で被爆した子どもたちの紹介を行いました。
どちらの中継も全世界に配信され、多くの方と黙祷の瞬間を共有しました。
【8/7】核兵器禁止条約フォーラム

第2回核兵器禁止条約フォーラム登壇者のみなさん
第2回「核兵器禁止条約(TPNW)フォーラム~核抑止からのパラダイムシフトに向けて~」が、長崎市の国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館で開催されました。アレクサンダー・クメント氏が「核抑止のリスクと不確実性~TPNW第3回締約国会議からの問題提起~」というテーマで基調講演を行い、続くパネル討論には秋山信将さん(一橋大学教授)、鈴木達治郞さん(NPO法人ピースデポ代表)、向和歌奈さん(亜細亜大学准教授)が登壇。核兵器をなくす日本キャンペーン・コーディネーターの浅野英男さんが進行役を務めました。
各登壇者は、核抑止に依存した状態の安全保障上の不確実性やリスクについての意見を交換し、それは根本的に解消できない点を明確にしました。異なる視点から課題を提示しつつも、対話を通じた信頼関係の構築、市民運動の拡大、そして核兵器を使用しない規範を維持・強化していく重要性を強調しました。核抑止からの脱却は容易ではないが、市民社会、政策立案者、研究者による多層的な取り組みを積み重ねていくことこそが、核兵器に頼らない安全保障の構築に繋がっていくことが改めて示されました。
各登壇者は、核抑止に依存した状態の安全保障上の不確実性やリスクについての意見を交換し、それは根本的に解消できない点を明確にしました。異なる視点から課題を提示しつつも、対話を通じた信頼関係の構築、市民運動の拡大、そして核兵器を使用しない規範を維持・強化していく重要性を強調しました。核抑止からの脱却は容易ではないが、市民社会、政策立案者、研究者による多層的な取り組みを積み重ねていくことこそが、核兵器に頼らない安全保障の構築に繋がっていくことが改めて示されました。
【10/11】被爆・戦後80年 核兵器も戦争もない世界を求めて~記憶を受け継ぎ未来へ~

リレートークに参加した吉岡達也
日本被団協のノーベル平和賞受賞から1年を記念し、有楽町朝日ホールにて「核兵器も戦争もない世界を求めて~記憶を受け継ぎ未来へ」が行われました。会場には300名、オンラインでは50名が参加し、被団協の運動について学び、被爆者の記憶を継承することを通じて、核兵器のない世界を築いていくという意志を再確認しました。
ノーベル平和賞受賞記念動画を流したあと、被団協の濱住治郎事務局長が基調講演を行い、「核兵器廃絶は過去の話ではなく、今の私たちの話」と協力を呼びかけました。朗読劇「そこに声があれば 今 未来に」(脚本・演出 / 丸尾聡)では、被爆者の声とともに被団協の活動の軌跡、現代の大学生らの葛藤が表現されました。リレートークでは、実行委員会から今後への行動提起が行われました。ロビーでは、「被爆者と語ろう」や「次のいっぽ相談所」など、さまざまなブースが出展されました。
ピースボートからは、橋本舞、松村真澄が朗読劇に、吉岡達也がリレートークに、古川敦子がロビーでの運営に関わりました。ノーベル平和賞受賞および被爆・戦後80年を振り返り、核兵器のない世界に向かう新たな一歩を踏み出すための重要なイベントとなりました。
ノーベル平和賞受賞記念動画を流したあと、被団協の濱住治郎事務局長が基調講演を行い、「核兵器廃絶は過去の話ではなく、今の私たちの話」と協力を呼びかけました。朗読劇「そこに声があれば 今 未来に」(脚本・演出 / 丸尾聡)では、被爆者の声とともに被団協の活動の軌跡、現代の大学生らの葛藤が表現されました。リレートークでは、実行委員会から今後への行動提起が行われました。ロビーでは、「被爆者と語ろう」や「次のいっぽ相談所」など、さまざまなブースが出展されました。
ピースボートからは、橋本舞、松村真澄が朗読劇に、吉岡達也がリレートークに、古川敦子がロビーでの運営に関わりました。ノーベル平和賞受賞および被爆・戦後80年を振り返り、核兵器のない世界に向かう新たな一歩を踏み出すための重要なイベントとなりました。
核のない世界を目指して
世界情勢はいまだ核兵器にしがみついている状況ではありますが、2026年には、核不拡散条約(NPT)と核兵器禁止条約(TPNW)両条約の再検討会議が行われます。ピースボートは引き続き、核のない世界を目指して活動を続けていきます。





