【畠山澄子の地球航海ノート・1】世界から集まった非核の言葉とともに

国連本部の前にて
ピースボートの畠山澄子が見た世界について、シリーズ【畠山澄子の地球航海ノート】としてお伝えします。
4月27日から5月22日にかけて、ニューヨークの国連本部で核不拡散条約(NPT)の再検討会議がおこなわれました。いま、核をめぐる情勢は非常に厳しく、核軍縮に希望を見出すことは難しいとの見方もあります。実際、会議においては、自国の核保有や核に依存する安全保障政策を正当化するような発言も目立ちました。
他方、現地にいってみると、非核の安全保障政策を信じる国々の力強い発言や、被爆者の活動、世界中から集まる反核運動に携わる人々の揺らがぬ思いに触れる機会も多くありました。
4月27日から5月22日にかけて、ニューヨークの国連本部で核不拡散条約(NPT)の再検討会議がおこなわれました。いま、核をめぐる情勢は非常に厳しく、核軍縮に希望を見出すことは難しいとの見方もあります。実際、会議においては、自国の核保有や核に依存する安全保障政策を正当化するような発言も目立ちました。
他方、現地にいってみると、非核の安全保障政策を信じる国々の力強い発言や、被爆者の活動、世界中から集まる反核運動に携わる人々の揺らがぬ思いに触れる機会も多くありました。
- プロジェクト: 核廃絶
INFO
2026.6.3
2026.6.3
国連本部の前にて
ピースボートの畠山澄子が見た世界について、シリーズ【畠山澄子の地球航海ノート】としてお伝えします。
4月27日から5月22日にかけて、ニューヨークの国連本部で核不拡散条約(NPT)の再検討会議がおこなわれました。いま、核をめぐる情勢は非常に厳しく、核軍縮に希望を見出すことは難しいとの見方もあります。実際、会議においては、自国の核保有や核に依存する安全保障政策を正当化するような発言も目立ちました。
他方、現地にいってみると、非核の安全保障政策を信じる国々の力強い発言や、被爆者の活動、世界中から集まる反核運動に携わる人々の揺らがぬ思いに触れる機会も多くありました。
4月27日から5月22日にかけて、ニューヨークの国連本部で核不拡散条約(NPT)の再検討会議がおこなわれました。いま、核をめぐる情勢は非常に厳しく、核軍縮に希望を見出すことは難しいとの見方もあります。実際、会議においては、自国の核保有や核に依存する安全保障政策を正当化するような発言も目立ちました。
他方、現地にいってみると、非核の安全保障政策を信じる国々の力強い発言や、被爆者の活動、世界中から集まる反核運動に携わる人々の揺らがぬ思いに触れる機会も多くありました。
NPT再検討会議とは?
国連の議場にて(右:核兵器をなくす日本キャンペーンの浅野英男さん)
核兵器に関する国際条約は様々ありますが、その中でも191か国・地域と、最も多くの国が参加するのが核不拡散条約(NPT)です。1968年に署名が始まり、1970年に発効しました。まずは核兵器の拡散を防止することが核兵器の廃絶につながるとの考えのもとにつくられ、核不拡散、核軍縮、原子力の平和利用を三本柱としています。
NPTでは、5年ごとに再検討会議が開催され、締約国が核軍縮や核不拡散などをどのように実施してきたかを見直し、今後採るべき施策を議論しています。11回目となる今回はベトナムが議長国として開催されました。
再検討会議は1か月かけておこなわれます。第1週目には開会セッションに続き、一般討論(General Debate)が行われ、各国代表団がスピーチを通して自国の基本的立場を述べます。その後はNGO参加者によるスピーチ(NGOセッション)が続きます。2週目以降は、核不拡散、核軍縮、原子力の平和利用という、条約の3つの柱に呼応する3つの主要委員会がひらかれ、個別のテーマに関する議論が深められます。各委員会からの報告書を踏まえて議長が最終文書案を作成し、その検討や交渉が行われるのが最終週です。
NPT再検討会議においては、全会一致で最終文書を成果文書として採択できるか、そしてその中身がどのようなものであるかが問われるポイントとなります。前回(2022年)と前々回(2015年)は2回連続で最終文書の採択が叶わなかったため、今回はNPTの意義を再確認するためにも成果文書の採択ができるかどうかに注目が集まっていました。
NPTでは、5年ごとに再検討会議が開催され、締約国が核軍縮や核不拡散などをどのように実施してきたかを見直し、今後採るべき施策を議論しています。11回目となる今回はベトナムが議長国として開催されました。
再検討会議は1か月かけておこなわれます。第1週目には開会セッションに続き、一般討論(General Debate)が行われ、各国代表団がスピーチを通して自国の基本的立場を述べます。その後はNGO参加者によるスピーチ(NGOセッション)が続きます。2週目以降は、核不拡散、核軍縮、原子力の平和利用という、条約の3つの柱に呼応する3つの主要委員会がひらかれ、個別のテーマに関する議論が深められます。各委員会からの報告書を踏まえて議長が最終文書案を作成し、その検討や交渉が行われるのが最終週です。
NPT再検討会議においては、全会一致で最終文書を成果文書として採択できるか、そしてその中身がどのようなものであるかが問われるポイントとなります。前回(2022年)と前々回(2015年)は2回連続で最終文書の採択が叶わなかったため、今回はNPTの意義を再確認するためにも成果文書の採択ができるかどうかに注目が集まっていました。
核を正当化する核兵器国と同盟国、そして非核の理想を掲げる非核兵器国

日本被団協ならびに生協連のみなさんと(ロシアの大使との面会後)
国連の会議というと、政府関係者にしか門戸が開かれていないイメージがありますが、NPTに関係する活動実績があることを示し、必要な手続きを踏むと、NGOもNPT再検討会議に参加することができます。ピースボートはこの仕組みを利用して、NPT再検討会議には毎回参加をしています。
第1週目におこなわれた一般討論には傍聴席から参加。ランクの高い代表を派遣した国から発言順がまわっていきます。150をこえる国が発言を希望するため、一巡するのにも丸4日かかります。
核をめぐって、いま世界は緊迫する状況にあり、核使用の危機がかつてなく高まっているとも言われます。それを反映するかのように、核兵器国(核兵器を持つ国)からは自国の核の保有や増強、近代化を正当化する主張が目立ちました。また、核兵器国と同盟関係にあるNATOの国々なども、核を通した抑止力が世界の安全保障にとっては欠かせないと、揃って強調しました。
他方、世界に6つある非核兵器地帯に属する国々が、軍縮を具体的に進めていく手段のひとつとして、いかに非核兵器地帯が有効であるかを主張していた姿は印象的でした。他にも核兵器が安全保障に寄与するのではなく核兵器が安全保障上の脅威になっているのだという主張、島しょ国が環境破壊の面から核と海洋問題の交差性を指摘するなど、核軍縮・核廃絶しか本質的な平和への道はないのだと力強く訴える非核兵器国(核兵器を持たない国)の存在がしっかりとNPT再検討会議の場にあったことも、現地で一般討論を傍聴したからこそわかったことだと感じています。
また、原発を含む核施設への攻撃をどのように防ぐか、先端技術が核問題に与える影響をどう考えるか、非核兵器国がNPTに意義を見出し続けるためにも核兵器国が非核兵器.国に対して核兵器を使用しないと保証する「消極的安全保証」が重要であるということなど、核を減らす・増やす以外にもたくさんの論点があることがよくわかりました。
第1週目におこなわれた一般討論には傍聴席から参加。ランクの高い代表を派遣した国から発言順がまわっていきます。150をこえる国が発言を希望するため、一巡するのにも丸4日かかります。
核をめぐって、いま世界は緊迫する状況にあり、核使用の危機がかつてなく高まっているとも言われます。それを反映するかのように、核兵器国(核兵器を持つ国)からは自国の核の保有や増強、近代化を正当化する主張が目立ちました。また、核兵器国と同盟関係にあるNATOの国々なども、核を通した抑止力が世界の安全保障にとっては欠かせないと、揃って強調しました。
他方、世界に6つある非核兵器地帯に属する国々が、軍縮を具体的に進めていく手段のひとつとして、いかに非核兵器地帯が有効であるかを主張していた姿は印象的でした。他にも核兵器が安全保障に寄与するのではなく核兵器が安全保障上の脅威になっているのだという主張、島しょ国が環境破壊の面から核と海洋問題の交差性を指摘するなど、核軍縮・核廃絶しか本質的な平和への道はないのだと力強く訴える非核兵器国(核兵器を持たない国)の存在がしっかりとNPT再検討会議の場にあったことも、現地で一般討論を傍聴したからこそわかったことだと感じています。
また、原発を含む核施設への攻撃をどのように防ぐか、先端技術が核問題に与える影響をどう考えるか、非核兵器国がNPTに意義を見出し続けるためにも核兵器国が非核兵器.国に対して核兵器を使用しないと保証する「消極的安全保証」が重要であるということなど、核を減らす・増やす以外にもたくさんの論点があることがよくわかりました。
市民社会が参加し、被爆の実相を伝える意味
オマーン政府主催の中東非核兵器地帯を話し合うサイトイベント
会議を傍聴する以外にも、市民社会からの参加者は様々な形でNPT再検討会議に参画します。特に活発におこなわれるのが主に本会議の昼休憩の時間におこなわれるサイドイベントです。サイドイベントとは、NGOが各国政府代表団のサポートを受けて開催するもので、NPTに関連するテーマを深く議論したり、本会議ではなかなか注目されない視点についての情報が交換したりする場として活用されます。
たとえば日本から参加したNGOが催したサイドイベントには、核軍縮におけるユースの役割を話し合ったり、核兵器の科学的な影響を検証するディスカッションをおこなったりするものがありました。また、他の国や地域のNGOに目を向けると、太平洋諸島の核被害や朝鮮半島の被爆者の声を紹介するもの、ウラン採掘による被ばくに焦点をあてたものや軍縮・不拡散教育の重要性を取り上げるものなど、NPT再検討会議の議論の幅を広げたり、なかなか本会議では拾われない視点を取りこぼさないようにしたりする役割を担うサイドイベントも多くありました。
また、日本被団協はNPTの開催期間に合わせて国連のロビーで原爆展をおこない、訪れるたくさんの人たちに、写真や被爆物を通して被爆の実相を伝えていました。日本被団協はこの他にも議長や国連事務次長、各国の軍縮大使などとの面会を申し入れ、被爆者として核廃絶にかける思いを直々に訴えていました。私もそのいくつかに通訳として同行しましたが、このような地道な働きかけが中長期的に外交官を動かしていくのかもしれないと感じました。
たとえば日本から参加したNGOが催したサイドイベントには、核軍縮におけるユースの役割を話し合ったり、核兵器の科学的な影響を検証するディスカッションをおこなったりするものがありました。また、他の国や地域のNGOに目を向けると、太平洋諸島の核被害や朝鮮半島の被爆者の声を紹介するもの、ウラン採掘による被ばくに焦点をあてたものや軍縮・不拡散教育の重要性を取り上げるものなど、NPT再検討会議の議論の幅を広げたり、なかなか本会議では拾われない視点を取りこぼさないようにしたりする役割を担うサイドイベントも多くありました。
また、日本被団協はNPTの開催期間に合わせて国連のロビーで原爆展をおこない、訪れるたくさんの人たちに、写真や被爆物を通して被爆の実相を伝えていました。日本被団協はこの他にも議長や国連事務次長、各国の軍縮大使などとの面会を申し入れ、被爆者として核廃絶にかける思いを直々に訴えていました。私もそのいくつかに通訳として同行しましたが、このような地道な働きかけが中長期的に外交官を動かしていくのかもしれないと感じました。
SNSを通じて多くの人に伝える

韓国の被爆者と被爆二世の方と
今回の渡航にあたっては、核軍縮、そしてNPT再検討会議そのものをより多くの人に知ってもらいたいという強い思いがありました。そのため、NPT再検討会議に参加していた他の市民社会のメンバーとも協力し、様々な発信に取り組みました。
NPT再検討会議の第一週目には「国連から毎日中継!NPT再検討会議レポート2026」、最後の二日間には「核不拡散条約(NPT)再検討会議2026最終成果レポート」と題してYoutubeでの配信番組をおこなったのもその一環です。核兵器をなくす日本キャンペーンとの協力のもと、多彩なゲストと共に、現地の様子を硬軟あわせて報告し、「マスメディアの放送ではなかなか伝わってこない裏側も知ることができた」と好評をいただきました。
また、ピースボートのSNSでは、たくさんのショート動画を「畠山澄子のニューヨークNPT再検討会議」というシリーズとして作成、アップしました。国連でおこなわれる会議の雰囲気を感じてもらえるよう、議場の雰囲気や通訳のしくみなどを紹介するものもあれば、同じように市民社会として参加する各地の活動家のインタビューも含めました。
NPT再検討会議の第一週目には「国連から毎日中継!NPT再検討会議レポート2026」、最後の二日間には「核不拡散条約(NPT)再検討会議2026最終成果レポート」と題してYoutubeでの配信番組をおこなったのもその一環です。核兵器をなくす日本キャンペーンとの協力のもと、多彩なゲストと共に、現地の様子を硬軟あわせて報告し、「マスメディアの放送ではなかなか伝わってこない裏側も知ることができた」と好評をいただきました。
また、ピースボートのSNSでは、たくさんのショート動画を「畠山澄子のニューヨークNPT再検討会議」というシリーズとして作成、アップしました。国連でおこなわれる会議の雰囲気を感じてもらえるよう、議場の雰囲気や通訳のしくみなどを紹介するものもあれば、同じように市民社会として参加する各地の活動家のインタビューも含めました。
非核を信じる力強い言葉とともに、また前に進む

ジャンマリー・コリンさん、浅野英男さんと
NPT再検討会議は、最終文書をまたもや採択できずに5月22日に閉会しました。今回、決裂だけは何としても避けようと、議長や国連軍縮部はじめ多くの意志を高く持つ人たちが腐心した姿をみていただけに、「ダメかもしれない」とは思っていたものの、いざ結果を突き付けられると落胆する気持ちを抑えられませんでした。核の先制不使用の宣言を全ての保有国に求める記述や米国によるイランへの攻撃に懸念を示す項目など、折り合えない項目は大胆に削り込まれた最終案でさえも、今の世界の国々は合意することができないのかと、悔しさも感じました。核不拡散がひとつの大きな柱とはいえ、核不拡散を理由に核軍縮を正当化したり妥協したりするようなことがあってはいけないと、すべての締約国に改めて強く訴えたいと感じました。
私にはICAN Franceで長年反核運動を率いてきたジャンマリー・コリンさんの言葉が心に残っています。長年NPT再検討会議をみつめてきたジャンマリ―さんは、今回のNPT再検討会議は非核兵器国の「非核を信じる力強い言葉」が勝つか「核を正当化する矛盾に満ちた言葉」が勝つかのせめぎ合いだと語っていました。
今回のNPT再検討会議は残念な結果に終わりましたが、核軍縮・核廃絶に向けた歩みが止まることはありません。広島・長崎の被爆者や世界の核被害者、そして軍縮と核廃絶を信じる非核兵器国がつむぐ「非核のための言葉」を私はこれからも信じ、広げていきたい。世界の核情勢が厳しいのであればなおさら、その努力をしていきたいと感じています。
私にはICAN Franceで長年反核運動を率いてきたジャンマリー・コリンさんの言葉が心に残っています。長年NPT再検討会議をみつめてきたジャンマリ―さんは、今回のNPT再検討会議は非核兵器国の「非核を信じる力強い言葉」が勝つか「核を正当化する矛盾に満ちた言葉」が勝つかのせめぎ合いだと語っていました。
今回のNPT再検討会議は残念な結果に終わりましたが、核軍縮・核廃絶に向けた歩みが止まることはありません。広島・長崎の被爆者や世界の核被害者、そして軍縮と核廃絶を信じる非核兵器国がつむぐ「非核のための言葉」を私はこれからも信じ、広げていきたい。世界の核情勢が厳しいのであればなおさら、その努力をしていきたいと感じています。





