【COP30報告】気候危機の死角「軍国主義」に光を当て、戦争ではなく気候対策への資金シフトを訴えました

2025年11月、世界最大の熱帯雨林アマゾンの玄関口であるブラジルのベレンで、地球温暖化対策を話し合う「国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)」が開催されました。
ピースボートからは吉岡達也、エミリー・マグローン、カレン・ハローズが参加し、様々な公式サイドイベントや記者会見を行いました。ピースボートは、気候危機の主要な要因でありながら未だ見過ごされている「軍国主義」に焦点が当たるよう、特に力を入れて訴えました。
ピースボートからは吉岡達也、エミリー・マグローン、カレン・ハローズが参加し、様々な公式サイドイベントや記者会見を行いました。ピースボートは、気候危機の主要な要因でありながら未だ見過ごされている「軍国主義」に焦点が当たるよう、特に力を入れて訴えました。
- プロジェクト: SDGs キャンペーン
INFO
2025.12.26
2025.12.26
2025年11月、世界最大の熱帯雨林アマゾンの玄関口であるブラジルのベレンで、地球温暖化対策を話し合う「国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)」が開催されました。
ピースボートからは吉岡達也、エミリー・マグローン、カレン・ハローズが参加し、様々な公式サイドイベントや記者会見を行いました。ピースボートは、気候危機の主要な要因でありながら未だ見過ごされている「軍国主義」に焦点が当たるよう、特に力を入れて訴えました。
ピースボートからは吉岡達也、エミリー・マグローン、カレン・ハローズが参加し、様々な公式サイドイベントや記者会見を行いました。ピースボートは、気候危機の主要な要因でありながら未だ見過ごされている「軍国主義」に焦点が当たるよう、特に力を入れて訴えました。
COP30で浮き彫りになった「戦争」と「気候危機」の不都合な真実
軍事活動は世界の温室効果ガス排出量の約5.5%を占めると推定されています。これは、アフリカ大陸全体の排出量よりも多く、もし「世界の軍隊」という一つの国があったとすれば、世界第4位の排出国になるほどの規模です。
しかし、軍事活動による排出量は国連気候変動枠組条約(UNFCCC)への報告義務がありません。各国が提出する「国ごとの削減計画」にも含めなくていいという「特例」扱いになっています。
また、お金の問題も深刻です。2024年の世界の軍事費は、過去最高の2.7兆ドル(約400兆円超)に達しました。その一方で、温暖化対策に必要な資金は大幅に不足しています。
この矛盾について、開催国ブラジルのルーラ大統領は開会演説で、「気候危機を解決するために1.3兆ドルを費やす方が、戦争のために年間2.7兆ドルを費やすよりも安上がりである 」と指摘しました。
開催地のアマゾンは世界で最も広大な熱帯林であり、同時に深刻な森林破壊が進んでいる場所でもあります。COP30は、そこで自然と共存してきた先住民族の参加が歴史的な規模であったことから、資源の過剰な採掘や環境破壊が、いかに人々の生活を脅かしているかが浮き彫りになった会議でした。
会議の結果、公正な社会への移行を支援する「ベレン行動メカニズム」という仕組みを作ることで合意しました。しかし、多くの国や人々が求めていた「化石燃料(石油・石炭・天然ガス)の段階的な廃止」については、最終的な合意に至ることができませんでした。
そのような状況の中、ベレンに集まった世界中の市民が「軍事化」「化石燃料」そして「気候危機による不平等」は、すべてつながっていることを明らかにしました。
しかし、軍事活動による排出量は国連気候変動枠組条約(UNFCCC)への報告義務がありません。各国が提出する「国ごとの削減計画」にも含めなくていいという「特例」扱いになっています。
また、お金の問題も深刻です。2024年の世界の軍事費は、過去最高の2.7兆ドル(約400兆円超)に達しました。その一方で、温暖化対策に必要な資金は大幅に不足しています。
この矛盾について、開催国ブラジルのルーラ大統領は開会演説で、「気候危機を解決するために1.3兆ドルを費やす方が、戦争のために年間2.7兆ドルを費やすよりも安上がりである 」と指摘しました。
開催地のアマゾンは世界で最も広大な熱帯林であり、同時に深刻な森林破壊が進んでいる場所でもあります。COP30は、そこで自然と共存してきた先住民族の参加が歴史的な規模であったことから、資源の過剰な採掘や環境破壊が、いかに人々の生活を脅かしているかが浮き彫りになった会議でした。
会議の結果、公正な社会への移行を支援する「ベレン行動メカニズム」という仕組みを作ることで合意しました。しかし、多くの国や人々が求めていた「化石燃料(石油・石炭・天然ガス)の段階的な廃止」については、最終的な合意に至ることができませんでした。
そのような状況の中、ベレンに集まった世界中の市民が「軍事化」「化石燃料」そして「気候危機による不平等」は、すべてつながっていることを明らかにしました。
公式イベント「 気候危機を乗り越えるための非軍事化 :軍国主義の真のコスト」

ピースボートは期間中、いくつかの公式イベントを共催しました。特に注目を集めたのは、11月13日の「 気候危機を乗り越えるための非軍事化 :軍国主義の真のコスト」と題したイベントです。
婦人国際平和自由連盟(WILPF)、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)、ピース・トラック・イニシアチブ(PTI)との共催イベントで、ピースボートのカレン・ハローズが司会を務めました。女性のみで構成された登壇者が、軍国主義がいかに環境を破壊しているかについて、それぞれの現場から報告しました。
軍事活動による温室効果ガス排出の隠蔽や、気候対策資金の軍事費への流用、化石燃料採掘と軍事化の相互依存について指摘しました。またコロンビア、パレスチナ、フィリピンからは、資源収奪や占領の現場での市民や環境への深刻な被害が報告されました。
最後にマーシャル諸島のセリーナ・リームさんが、詩の朗読で核と気候危機の脅威を訴え、軍国主義こそが気候問題の中核であると明確に示しました。
婦人国際平和自由連盟(WILPF)、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)、ピース・トラック・イニシアチブ(PTI)との共催イベントで、ピースボートのカレン・ハローズが司会を務めました。女性のみで構成された登壇者が、軍国主義がいかに環境を破壊しているかについて、それぞれの現場から報告しました。
軍事活動による温室効果ガス排出の隠蔽や、気候対策資金の軍事費への流用、化石燃料採掘と軍事化の相互依存について指摘しました。またコロンビア、パレスチナ、フィリピンからは、資源収奪や占領の現場での市民や環境への深刻な被害が報告されました。
最後にマーシャル諸島のセリーナ・リームさんが、詩の朗読で核と気候危機の脅威を訴え、軍国主義こそが気候問題の中核であると明確に示しました。
太平洋地域の人々と考える平和

11月10日には、「軍国主義、気候変動、そして太平洋:レジリエンス・平和・正義の構築」というセッションを行いました。 ここでは、太平洋地域の人々がリーダーシップを取り、議論が進められました。
太平洋地域は、核実験、外国軍の駐留、そして植民地支配の影響に長く苦しんできました。登壇者からは、軍事化が進むことで、自分たちの国の決定権や、気候変動に立ち向かう力が奪われているという指摘がありました。 また、マーシャル諸島の若者団体からは、放射能汚染の影響が今も続いていることや、海面上昇という生存の危機について語られました。
最後のスピーカーである「化石燃料条約イニシアティブ」のアミエラ・サワス博士は「化石燃料不拡散条約」について話しました。これは、化石燃料をなくすことを目指す新しい条約の構想ですが、同時に化石燃料の段階的廃止を確実にし、コミュニティを守り、軍事化を縮小するための「平和のための枠組み」としても捉えることができると説明しました。
かつて核実験場とされ、今も軍事拠点があり、さらに海面上昇の危機にもある太平洋地域は、平和を求めることと、気候危機から暮らしを守ることは、切り離すことのできない一つの課題であることが示されました。
太平洋地域は、核実験、外国軍の駐留、そして植民地支配の影響に長く苦しんできました。登壇者からは、軍事化が進むことで、自分たちの国の決定権や、気候変動に立ち向かう力が奪われているという指摘がありました。 また、マーシャル諸島の若者団体からは、放射能汚染の影響が今も続いていることや、海面上昇という生存の危機について語られました。
最後のスピーカーである「化石燃料条約イニシアティブ」のアミエラ・サワス博士は「化石燃料不拡散条約」について話しました。これは、化石燃料をなくすことを目指す新しい条約の構想ですが、同時に化石燃料の段階的廃止を確実にし、コミュニティを守り、軍事化を縮小するための「平和のための枠組み」としても捉えることができると説明しました。
かつて核実験場とされ、今も軍事拠点があり、さらに海面上昇の危機にもある太平洋地域は、平和を求めることと、気候危機から暮らしを守ることは、切り離すことのできない一つの課題であることが示されました。
戦争ではなく気候危機対策にお金を!

11月15日には、数千人が参加する「気候正義マーチ」が行われ、ピースボートも先住民族や若者、フェミニスト団体と共に行進しました。「化石燃料をなくそう」「アマゾンを守ろう」、そして「軍事による暴力を終わらせよう」と声を上げました。
また、「戦争や占領ではなく、気候変動への賠償にお金を!」と訴えるアクションを行いました。 これは、フィリピンでの軍事化された資源収奪、パレスチナにおける化石燃料によって可能となっている占領、そして軍事問題が気候変動の交渉から除外されていることに対して抗議するものです。
カレン・ハローズは、「先進国に住む私たちには、私たちの名の下に行われている軍事的な破壊から利益を得ている政府や企業に対して、異議を申し立てる義務がある」と訴えました。
また、「戦争や占領ではなく、気候変動への賠償にお金を!」と訴えるアクションを行いました。 これは、フィリピンでの軍事化された資源収奪、パレスチナにおける化石燃料によって可能となっている占領、そして軍事問題が気候変動の交渉から除外されていることに対して抗議するものです。
カレン・ハローズは、「先進国に住む私たちには、私たちの名の下に行われている軍事的な破壊から利益を得ている政府や企業に対して、異議を申し立てる義務がある」と訴えました。
非軍事化こそが気候危機対策のカギ

2026年のCOP31はアンタルヤ(トルコ)で開催されます。 ピースボートはこれからも、軍隊が出す排出量の透明性を求め、軍事費を削減し、その資金を戦争ではなく気候危機対策に使うために働きかけていきます。
今回のCOP30では化石燃料への対応が先送りされましたが、来年4月には「化石燃料条約」に向けた初めての国際会議が開催されます。 軍国主義、化石燃料、そして気候危機はつながっています。「非軍事化」こそが、公正な気候危機対策には不可欠です。
今回のCOP30では化石燃料への対応が先送りされましたが、来年4月には「化石燃料条約」に向けた初めての国際会議が開催されます。 軍国主義、化石燃料、そして気候危機はつながっています。「非軍事化」こそが、公正な気候危機対策には不可欠です。





