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Voyage115でカンボジアの地雷問題を学ぶツアーを開催しました

Voyage115でカンボジアの地雷問題を学ぶツアーを開催しました
ピースボート地球一周の船旅 Voyage115で「カンボジア地雷問題検証ツアー」を開催し、ツアー参加者とスタッフを含めた13名がカンボジアを訪問しました。ピースボート地雷廃絶キャンペーンP-MACはカンボジアの地雷除去を支援しています。パートナーである地雷除去団体「カンボジア地雷対策センター(CMAC)」が活動している現場や地雷被害者を支援するNGO、そしてP-MACが支援を続ける村を訪れ、地雷問題の「今」を学びました。
ピースボート地球一周の船旅 Voyage115で「カンボジア地雷問題検証ツアー」を開催し、ツアー参加者とスタッフを含めた13名がカンボジアを訪問しました。ピースボート地雷廃絶キャンペーンP-MACはカンボジアの地雷除去を支援しています。パートナーである地雷除去団体「カンボジア地雷対策センター(CMAC)」が活動している現場や地雷被害者を支援するNGO、そしてP-MACが支援を続ける村を訪れ、地雷問題の「今」を学びました。

カンボジアの地雷問題を学ぶ

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博物館長の解説を聞きながら館内をまわる
まず初めに訪れたのは、地雷除去団体「カンボジア地雷対策センター(CMAC)」が運営している平和博物館です。

ここでは、カンボジアに地雷が埋められた背景や地雷除去活動の歴史、地雷がもたらす被害についてなど、カンボジアの地雷問題全体について学びました。

館内にはカンボジアで見つかった地雷や不発弾が展示されています。それらは旧ロシア、アメリカ、中国、ベトナムなどで作られたもので、カンボジア製の物はありません。

「内戦」で埋められた地雷ですが、大国を始めとする多くの国がカンボジア内戦に関わっていたことがわかります。

屋外には地雷原を再現した一角もあり、地雷がどのように埋められているかスタッフの方から説明を聞きました。

地面に埋まっていたり、草木に隠されていたり、一見しただけでは危険な場所とはわかりません。参加者たちは、誰しもが踏んでしまう可能性があることを実感していました。
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遺骨を納めた慰霊塔
博物館の次に訪れたのはキリング・フィールドです。

カンボジア内戦中のポル・ポト政権下(1975〜79年)では、知識人・伝統文化継承者・教師・宗教関係者などは政権に反対する者とみなされ、虐殺されました。その処刑場跡がキリング・フィールドです。現在はその歴史を伝える展示がされています。

参加者たちは今私たちが立っているこの場所で、45年前には多くの人々が殺害されたことにショックを隠せない様子でした。

案内をしてくれたガイドから、あまりにも多くの人々がこの時期に亡くなった影響で、今は50~60代の人口が少なく識字率も低いということを聞き、ポル・ポト政権がこの国に与えた影響の大きさに気づかされました。

地雷被害者との交流

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創設者のセム・ソワンタさん(右)
地雷被害者の現状について学ぶためにNGO「アンコール障がい者協会(AAD)」を訪問しました。

AADは地雷被害者の社会復帰を支援したり、障がい者の人権を守るための活動を行なっています。ピースボートはこれまで、AADが行なう職業訓練や障がい者スポーツへの資金面での支援を行なってきました。

創設者であり地雷被害者でもあるセム・ソワンタさんに自身の半生について、また多くの地雷被害者が抱えている問題について話してもらいました。

「カンボジアでは障がいへの偏見や差別があり、特に地方ではそれが色濃く、障がいを隠すため家に引きこもる人がいる。また、情報がないために必要な支援を受けられていない人もいるため、AADは支援が必要な人たちのところに出かけていって説明をしている」

一人ひとりに寄り添った支援が大切なことがわかります。
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一緒にシッティングバレーボールを楽しんだ
ソワンタさんの話の後は、AADが最近力を入れているシッティングバレーボールを地雷被害者の方々といっしょに楽しみました。彼らは障がい者スポーツの全国大会にも出場している選手です。

スポーツは障がい者の生きる自信につながります。そして大きな大会での賞金は本業以外の収入にもなり得ます。ソワンタさん自身もカンボジア代表として国際大会に出場したことがあります。

ツアー参加者たちは、座ったまま自由に動くことができない状態でのバレーボールに大変そうでしたが、笑いが飛び交う楽しい時間になりました。

少し遠い存在だと思っていた地雷被害者たちと同じ目線でいっしょに楽しむ体験は、参加者にとって地雷問題をより身近なものに変えてくれました。

地雷除去現場を見学

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防具をつけて作業を見学
「カンボジア地雷対策センター(CMAC)」が地雷除去をしている現場を見学しました。

CMACスタッフによる説明と見学する際の注意事項を確認した後、ツアー参加者も地雷除去員と同じヘルメットとプロテクターを着けて、作業現場に入っていきました。

地雷除去は一歩間違えば大事故につながる危険な作業です。現場には緊張感が漂います。炎天下で防具を着けて慎重に行なわなければならない地雷除去は過酷な仕事です。

私たちが見学した現場では、犬と大型のネズミによる地雷探知方法が使われていました。犬やネズミが火薬のにおいを探し、においがした場所で人が金属探知機を使って細かな場所を特定していきます。
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ネズミを使って地雷を探す。左下にネズミが写っている
金属探知機を使った地雷探知は広く知られていますが、金属探知機は地雷以外の金属にも反応してしまいます。犬やネズミは火薬のにおいを探すことができるため、併用することで作業がより早くなりました。

この3日間で見つかった地雷の爆破作業も見学しました。対人地雷2個と対戦車地雷6個に火薬を取り付けて爆発させます。

安全な距離を十分にとっていますが、それでも体に響く爆発音とその直後に立ちのぼった炎や煙に圧倒されました。

カンボジアでは地雷除去が進み、地雷被害に遭う人も減少しています。しかしCMACスタッフの話では、今年は農地を耕しているときに地雷が出てきたという報告が増えているそうです。

地雷の事故は少なくなりましたが、地雷除去活動は今後も続けていかなくてはなりません。

ピースボートが地雷除去を支援した小学校

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元地雷原の小学校で子どもたちと交流
ピースボートは募金活動「カンボジアから地雷をなくそう100円キャンペーン」を行なっています。集まった募金は「カンボジア地雷対策センター(CMAC)」に送り、地雷除去が行なわれています。

ピースボートの支援により地雷除去と学校建設がされた2つの小学校を訪問しました。

草木や畑に囲まれた細いでこぼこ道の先にあったのはスナハイ村の小学校です。2016年に開校し、現在は200人以上の子どもたちが通っています。学校の敷地周辺も地雷原でしたがこちらも2020年に地雷除去が終わりました。

この日は学校は長期休み中でしたが、私たちが到着すると多くの子どもたちが歓迎してくれました。

ピースボートがこの学校を訪問するのは2019年12月以来、約4年ぶりです。当時小学生だった子どもたちの多くは卒業しています。

私たちの訪問に初めは恥ずかしそうにしていた子どもたちでしたが、すぐに打ち解けて校庭で元気に遊びまわっていました。

先生たちに話を聞くと、地雷はなくなっても今も多くの問題があることがわかります。貧しい家が多く、文房具を買えない家庭もあります。そのため、先生が自分の給料からお金を出して文房具を購入しています。

遠方から歩いてくる子どももいますが、道路の状態はよくありません。村には水道設備がなく、小学校には井戸がありますが取れる水の量は限られています。

中学校は歩いて行ける距離にはないため、小学校を卒業しても進学できる子どもは少なく、多くは農業や家の手伝いをすることになります。

私たちが訪問する直前、小学校の敷地に新しい校舎が完成しました。これはEUが支援して建てられたものです。

これまでは3つの教室しかなかったため、子どもたちは窮屈な思いをしたり、外に机を並べて勉強していましたが、今後は余裕を持って授業を受けることができるようになりました。
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コーケー小学校の子どもたちと
もう一つの小学校は、2005年に地雷除去と学校建設を支援したコーケー村の小学校です。コーケー村は、今ではガイドブックにも掲載されている貴重な遺跡が点在する場所ですが、周辺にはまだ地雷が残っています。

この村でも子どもたちの歓迎を受け、先生や村長に話を聞きました。

こちらの小学校にも200人以上の子どもたちが通っていますが、教室が足りないことが問題になっていました。

この小学校では朝食を提供しています。貧しい家庭が多く、朝ごはんを食べずに来る子どもや学校に来られない子どもも多くいました。朝食を学校で出すことで、すべての子どもが通えるようになりました。

この村にも中学校がありませんが、成績が良い児童は他のNGOによる中学校への進学支援を受けることができます。2023年は13人が卒業し、そのうち7人が支援を受けて中学校へ通っています。

ツアー参加者は2つの小学校を訪れたことで、地雷がなくなっただけでは解決しない多くの問題があること、そんな中で少しでも子どもたちにいい環境を与えようと先生たちが奮闘していることを知りました。

そして、地雷がなくなることは他からの支援が入ってくる大きなきっかけになることを実感しました。実際にどちらの村にも小学校完成後にNGOや国際団体などからの支援がありました。

私たちにできることを

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船内報告会の様子
ツアー参加者たちは毎晩、その日学んだことを振り返り、話し合う時間を持ちました。ツアー終了後は船内で報告会を行ない、約250名の方が来場しました。

報告会後には募金も呼びかけ、多くの方々にご協力いただくことができました。募金は更なる地雷除去に使います。

ツアー参加者は「私たちの言葉が届いてよかった」「これからも私なりにできることを日々考えて、そしてほんの小さなことでも行動を起こしていきたい」と語ってくれました。


※P-MACがおこなう募金活動「カンボジアから地雷をなくそう100円キャンペーン」では、さらなる地雷除去のために募金を集めています。100円キャンペーンについては下の「この記事を読んだ方におすすめ」から詳細をご覧ください。

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