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Voyage114:色々なレンズを通して見るジェンダー平等

Voyage114:色々なレンズを通して見るジェンダー平等
ピースボート地球一周の船旅 Voyage114は、2023年4月8日に神戸を出航し、地球一周をして、7月24日に神戸に帰港しました。

ここでは、アイスランドからの水先案内人リュート・アイナルスドッティルさんについてお伝えします。
ピースボート地球一周の船旅 Voyage114は、2023年4月8日に神戸を出航し、地球一周をして、7月24日に神戸に帰港しました。

ここでは、アイスランドからの水先案内人リュート・アイナルスドッティルさんについてお伝えします。

【水先案内人】リュート・アイナルスドッティルさん

Voyage 114の航海の終盤、船旅の参加者とともに太平洋を渡ったのは水先案内人のリュート・アイナルスドッティル(Rut Einarsdóttir)さん。女性の権利とジェンダー平等について見つめ直す機会となりました。

アイナルスドッティルさんは、アイスランド女性権利協会の前事務局長で、現在はアイスランド人権センターの副会長を務めています。

アイスランド人権センターは、国内での人権の研究と教育を促進し、議論を重ねながら人権の向上に取り組んでいます。

フェミニズム・アイスランド:”ジェンダー平等”の国

Voyage114:色々なレンズを通して見るジェンダー平等
「フェミニズム・アイスランド:”ジェンダー平等”の国」と題された講座で、アイナルスドッティルさんは、アイスランドにおけるフェミニズム運動の歴史について解説しました。

特に、平等な権利は自動的に与えられるものではなく、私たちが闘うことで手に入れなければならないものであると訴えます。

世界で最も男女格差が小さいとされるアイスランドでは、革新的な法令や法律を作ってきました。

例えば、男女問わず同一労働に対して同一賃金を支払う「同一賃金基準(Equal Pay Standard)」の認証を取得することが企業に義務付けられたのは2018年。

また、女性に対する暴力撤廃の国際デーである11月25日から、12月10日の人権デーまでの16日間を、「ジェンダー暴力に反対する16日間の活動(16 Days of Activism against Gender-Based Violence)」として、女性と少女に対する暴力の予防と排除を求めるために、1991年以来、毎年キャンペーン活動が展開されています。

それでも平等は完全なものではないと、アイナルスドッティルさんは説明します。

アジアからの乗客が多い船内は、アイスランドのジェンダー政策とフェミニズム運動の話に魅了され、自分たちの住む地域で何ができるのか、それぞれに考えました。

フェミニズムと軍縮

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2回目の講座は、「フェミニズムと軍縮」。アイナルスドッティルさんの修士論文に基づいたものです。

女性が平和構築においてどのような役割を担っているのか、軍縮外交にどのように参画しているのか、といった点に注目します。

例えば、国連安全保障理事会決議 (UNSCR)1325と、核兵器禁止条約(TPNW)が、女性の参加を認め奨励する公式の声明であると説明しました。

また、平和構築において、女性の参加が必要不可欠である理由を説明したうえで、女性が置かれている社会的にも構造的にも独特な立場について語りました。

加えて、地球規模でのジェンダー平等を達成するために、軍縮が重要であることにも言及し、女性が平和構築に貢献するための方法を提案しました。

旅をしながら軍縮における女性の役割について学ぶという、ピースボートならではの機会に、多くの女性が自身の可能性を再認識し、勇気づけられる瞬間となりました。

ジェンダーのステレオタイプ(固定概念)

Voyage114:色々なレンズを通して見るジェンダー平等
3回目の講座は、ジェンダーのステレオタイプ(固定概念)について。

私たちが日常で遭遇する性差別的なステレオタイプに焦点を当て、男女問わず影響を与えるメディアの作用について考えました。

アイナルスドッティルさんは「media glasses(メディア眼鏡)」という言葉を用いて、どのようにメディアが『男性はパワフルで裕福、女性は若くて美しい』といった従来の理想とされるジェンダー像を伝えるか説明しました。

男性による性的に不適切な言動が懸念となる中、個々の価値観とメディア・コンテンツを直結させないことが、市民社会の責任であるとアイナルスドッティルさんは主張します。

また、性差別は女性に影響することが多いものの、男性もまた、肉体的にも感情的にも「男性的」でなければならないというプレッシャーを受けていることにも言及しました。

参加者は、ジェンダーのステレオタイプにまつわる自身の経験について考えながら、その構造を認識し、メディアの風潮に流されないよう注意することの大切さを学びました。

国際貿易における汚職のジェンダー化

Voyage114:色々なレンズを通して見るジェンダー平等
「国際貿易における汚職のジェンダー化」と題された4回目の講座では、貿易政策と官僚的汚職がいかにジェンダー不平等になりがちであるかを説明しました。

貿易とジェンダーの関連性は見えづらいものですが、貿易理論上、貿易政策の変化が、性別や社会的立場ごとに異なる影響を及ぼしていると言います。

その中でも特に、女性が不利益を被ってしまうことを、様々な視点から説明しました。

そして、国際貿易におけるジェンダー不平等の現状は、女性の立場や生活の向上を妨げる直接的な要因であると結論づけました。

アイナルスドッティルさんの4回の講座を通して、船内では、幅広い視点からジェンダー平等と女性の権利を見つめ、自身の生活にどのような範囲でどのような影響を及ぼしているかを考えることができました。
▼このレポートは、英語の記事を翻訳・編集して作成したものです。

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