世界の若者が、被爆者や広島・世界を舞台に核兵器を考える人々に出会い、議論しました ~広島-ICANアカデミー2021(第一部)
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)と広島県は、「核兵器と安全保障を学ぶ広島-ICANアカデミー2021(第一部)」(2021年10月5日〜22日)を共催しました。2019年、2020年に続き3度目の開催です。
ピースボートは、ICANの国際運営団体としてこのアカデミーの企画・運営の中心的な役割を担っています。
ピースボートは、ICANの国際運営団体としてこのアカデミーの企画・運営の中心的な役割を担っています。
- プロジェクト: 核廃絶
INFO
2022.1.27
2022.2.2
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)と広島県は、「核兵器と安全保障を学ぶ広島-ICANアカデミー2021(第一部)」(2021年10月5日〜22日)を共催しました。2019年、2020年に続き3度目の開催です。
ピースボートは、ICANの国際運営団体としてこのアカデミーの企画・運営の中心的な役割を担っています。
ピースボートは、ICANの国際運営団体としてこのアカデミーの企画・運営の中心的な役割を担っています。
核兵器、安全保障の政策に人道的な視点を取り入れるために
本アカデミーでは次の4つのテーマを軸にプログラムを展開しています。
1)核兵器の人道上の影響
2)核兵器と安全保障に関する政治的・法的・技術的側面
3)市民社会の活動
4)核軍縮と安全保障のための外交と国連の役割
参加者は、これらの視点をもって、被爆の実相を知り、核兵器と安全保障をめぐる世界の動きを学びます。
今年の参加者は31名。核兵器国である米国、ロシア、イギリス、フランス、中国の5カ国からは15名。他には、アルジェリア、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カメルーン、カナダ、チリ、インド、イラン、イタリア、日本、ノルウェー、パキスタンの13カ国から16名が集まりました。
参加者は各自、上記の4つのテーマごとに、文献やビデオを使ってオンライン学習を進めました。一般に公開されている資料やメディア記事に加え、アカデミーのために講師が特別に制作したビデオもあります。
※一部パスワードで管理されているものもありますが、オンライン学習教材は下記のリンクから閲覧できます(英語)。
1)核兵器の人道上の影響
2)核兵器と安全保障に関する政治的・法的・技術的側面
3)市民社会の活動
4)核軍縮と安全保障のための外交と国連の役割
参加者は、これらの視点をもって、被爆の実相を知り、核兵器と安全保障をめぐる世界の動きを学びます。
今年の参加者は31名。核兵器国である米国、ロシア、イギリス、フランス、中国の5カ国からは15名。他には、アルジェリア、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カメルーン、カナダ、チリ、インド、イラン、イタリア、日本、ノルウェー、パキスタンの13カ国から16名が集まりました。
参加者は各自、上記の4つのテーマごとに、文献やビデオを使ってオンライン学習を進めました。一般に公開されている資料やメディア記事に加え、アカデミーのために講師が特別に制作したビデオもあります。
※一部パスワードで管理されているものもありますが、オンライン学習教材は下記のリンクから閲覧できます(英語)。
被爆者、広島や世界を舞台に活躍する専門家に出会って
全4回のウェビナーを通して、参加者は被爆者だけでなく、大学教授、市民活動家、広島県知事、国連高官などの国内外で活躍する方々と出会い、対話を重ねました。
10月6日に開催した第1回目のウェビナーでは、広島で平和活動に尽力した谷本清牧師の娘であり、長年米国と日本をつなぐ活動をしてきた被爆者の近藤紘子さんと、ICANオーストラリアのディレクター、ジェム・ロムルドさんと共にテーマ1(核兵器の人道上の影響)について考えました。
近藤さんご自身の個人的な体験や、原爆をめぐる人や物事に対する思いや葛藤を知り、参加者は深く感銘を受けました。また、事前にオンライン学習でオーストラリアの先住民の受けた被害について学んでいましたが、当日ロムルドさんから、その核実験やウラン採掘の背景には「植民地主義」があることを学びました。
10月12日、第2回目のウェビナーでは、テーマ1(人道上の影響)を踏まえて、テーマ2(核兵器と安全保障に関する政治的・法的・技術的側面)を考えました。核軍縮と核兵器をめぐる政策の専門家であるリーズ大学の講師ローラ・コンシダインさんと、ヨーク大学の講師ニック・リッチーさんを迎え、核抑止と軍縮の両面から安全保障について考察する機会となりました。
参加者は小グループに分かれて、核保有国の犯しうる誤り、核兵器を管理する政治指導者が常に冷静で論理的でありうるのか、軍縮のプロセスや議論自体を民主化する必要性、冷笑や無関心をどう払拭するかなど、意見を交わしました。
10月6日に開催した第1回目のウェビナーでは、広島で平和活動に尽力した谷本清牧師の娘であり、長年米国と日本をつなぐ活動をしてきた被爆者の近藤紘子さんと、ICANオーストラリアのディレクター、ジェム・ロムルドさんと共にテーマ1(核兵器の人道上の影響)について考えました。
近藤さんご自身の個人的な体験や、原爆をめぐる人や物事に対する思いや葛藤を知り、参加者は深く感銘を受けました。また、事前にオンライン学習でオーストラリアの先住民の受けた被害について学んでいましたが、当日ロムルドさんから、その核実験やウラン採掘の背景には「植民地主義」があることを学びました。
10月12日、第2回目のウェビナーでは、テーマ1(人道上の影響)を踏まえて、テーマ2(核兵器と安全保障に関する政治的・法的・技術的側面)を考えました。核軍縮と核兵器をめぐる政策の専門家であるリーズ大学の講師ローラ・コンシダインさんと、ヨーク大学の講師ニック・リッチーさんを迎え、核抑止と軍縮の両面から安全保障について考察する機会となりました。
参加者は小グループに分かれて、核保有国の犯しうる誤り、核兵器を管理する政治指導者が常に冷静で論理的でありうるのか、軍縮のプロセスや議論自体を民主化する必要性、冷笑や無関心をどう払拭するかなど、意見を交わしました。
すでにアクションを取っている人から
10月15日、第3回目のウェビナーでは、ICANキャンペーンコーディネーターのダニエル・ホグスタさんと、広島で活動する3人のゲストを迎えました。様々な形を模索しながら核の問題に取り組んでいるメアリー・ポピオさんと田中美穂さん、そして本アカデミーのコーディネータでもある福岡奈織さんです。
3人は、核兵器に関する日本国民と政府の見解に違いがあることから、広島や長崎、そして日本国民の声を政府や議員に伝える活動を続けています。
ここでは、多くの人々の共感を集め、共に活動する人を増やすことで変化を作り出す事例を学びました。また、核兵器禁止条約を最大限に活かして市民社会の中で核軍縮を進めていくことの難しさなどを共有しました。
参加者からは、ICANの世界規模なキャンペーン方針を学び、やる気が満ちるのを感じました。また、根気強く活動するゲストに対し、エールを送っていました。
3人は、核兵器に関する日本国民と政府の見解に違いがあることから、広島や長崎、そして日本国民の声を政府や議員に伝える活動を続けています。
ここでは、多くの人々の共感を集め、共に活動する人を増やすことで変化を作り出す事例を学びました。また、核兵器禁止条約を最大限に活かして市民社会の中で核軍縮を進めていくことの難しさなどを共有しました。
参加者からは、ICANの世界規模なキャンペーン方針を学び、やる気が満ちるのを感じました。また、根気強く活動するゲストに対し、エールを送っていました。
市民、国、国際機関が協力して、小さくても確実な進展を積み重ねる
テーマ4(核軍縮と安全保障のための外交と国連の役割)については、ジャマイカ、ノルウェー、カナダの外交官、および日本の外務省の担当課長から、それぞれの国の核軍縮政策や核兵器禁止条約へのスタンスについてビデオを提供していただきました。参加者は、このビデオで事前学習をしました。
それを踏まえて、10月22日の第4回目のウェビナーでは、湯崎英彦広島県知事、中満泉国連事務次長・軍縮担当上級代表、ベアトリス・フィンICAN事務局長をパネリストに迎え、それぞれの立場からの核軍縮の可能性と課題を聞きました。
世界の多様な人々の取り組みは見逃されがちではあるものの、小さくても確実な進展であること、市民社会と政府、また国連機関が協力して核軍縮を推し進める必要があることなどのメッセージは、参加者に大きく響いたようです。事前に集めていた質問も織り交ぜながら、核兵器をなくすという大きな挑戦をいかに自分事に落とし込むかを考える機会となりました。
それを踏まえて、10月22日の第4回目のウェビナーでは、湯崎英彦広島県知事、中満泉国連事務次長・軍縮担当上級代表、ベアトリス・フィンICAN事務局長をパネリストに迎え、それぞれの立場からの核軍縮の可能性と課題を聞きました。
世界の多様な人々の取り組みは見逃されがちではあるものの、小さくても確実な進展であること、市民社会と政府、また国連機関が協力して核軍縮を推し進める必要があることなどのメッセージは、参加者に大きく響いたようです。事前に集めていた質問も織り交ぜながら、核兵器をなくすという大きな挑戦をいかに自分事に落とし込むかを考える機会となりました。
オンラインでも活発に議論しました
第一部のオンライン学習とウェビナーを経て、参加者からは「被爆者から直接、本人の個人的な話を聞くことで、核兵器が人間に与える影響について考えさせられた」という感想が多く寄せられました。また、これまでのアカデミーの経験を踏まえ、参加者やゲストが小グループに分かれて双方向で議論できたことは、今回の新しい試みであり、成果となりました。
ICANの国際運営団体であるピースボートでは、被爆地とICAN、そして未来のリーダーとの関係を築きながら、核なき世界の実現に向けて貢献できる具体的な形として、「核兵器と安全保障を学ぶ広島-ICANアカデミー」を位置づけています。今回の経験が参加者にとって、相互理解と協力を通してより平和な世界を実現しようとする中で視野を広げ、進むべき道を見つける機会となったことを願っています。
2022年3月に予定されている第二部(当初「広島市内での宿泊研修」を想定)に関する詳細情報は、追って発表します。
昨年に続き、3名のコーディネーターが、オンラインであっても一方的にならないよう気をつけてプログラムを運営してくれました。米国出身で現在東京在住ジャーナリストのアナリス・ガイズバートさん、丸木美術館国際コーディネーターの岩崎由美子さん、2014年のユース非核特使であり広島で核軍縮と多文化共生を進める福岡奈織さんです。
ピースボートからは、ICAN国際運営委員である川崎哲による監督のもと、スタッフの渡辺里香がプログラムを作成し、広島県、ICAN、コーディネーターと共にプログラムを運営しました。
ICANの国際運営団体であるピースボートでは、被爆地とICAN、そして未来のリーダーとの関係を築きながら、核なき世界の実現に向けて貢献できる具体的な形として、「核兵器と安全保障を学ぶ広島-ICANアカデミー」を位置づけています。今回の経験が参加者にとって、相互理解と協力を通してより平和な世界を実現しようとする中で視野を広げ、進むべき道を見つける機会となったことを願っています。
2022年3月に予定されている第二部(当初「広島市内での宿泊研修」を想定)に関する詳細情報は、追って発表します。
昨年に続き、3名のコーディネーターが、オンラインであっても一方的にならないよう気をつけてプログラムを運営してくれました。米国出身で現在東京在住ジャーナリストのアナリス・ガイズバートさん、丸木美術館国際コーディネーターの岩崎由美子さん、2014年のユース非核特使であり広島で核軍縮と多文化共生を進める福岡奈織さんです。
ピースボートからは、ICAN国際運営委員である川崎哲による監督のもと、スタッフの渡辺里香がプログラムを作成し、広島県、ICAN、コーディネーターと共にプログラムを運営しました。
資料はこちら(英語のみ)
広島-ICANアカデミー2021 プログラム概要・講師およびコーディネーターの略歴