緊急イベント「混迷のアフガニスタン~「対テロ戦争」とは何だったのか?」報告

プロジェクト:紛争予防(GPPAC)
緊急イベント「混迷のアフガニスタン~「対テロ戦争」とは何だったのか?」報告イベント当日の様子。ピースボート畠山澄子(左上)、アン・ライトさん(左下)、谷山博史さん(右上)、清末愛砂さん(右下)
9月20日、ピースボートは混乱が続くアフガニスタンについて考えるオンラインイベントを、緊急開催しました。ゲストスピーカーは、それぞれアフガニスタンに長く関わっている谷山博史さん、アン・ライトさん、清末愛砂さんの皆さんです。当日は、2001年以降、米国政府が20年にわたって進めてきた「対テロ戦争」とは何だったのか?戦争の口実にもなったアフガニスタン女性の人権状況について、そして、現地の一般の人々の視点から国際社会に求められていることは何か、といったことがテーマとなりました。

谷山博史さん(日本国際ボランティアセンター[JVC]顧問で、元アフガニスタン駐在代表)

緊急イベント「混迷のアフガニスタン~「対テロ戦争」とは何だったのか?」報告谷山博史さん
谷山さんは、20年にわたる戦争に対する数々の疑問、そこで起きていたことの実態、そして、米軍のやり方が一般の人々の反米・反政府感情をつのらせ、結果的にタリバンの強化につながった構造的な問題などについて取り上げました。

タリバン新政権については、「強硬派の人物が多い一方で、国際社会とパイプのある穏健派も入閣しているので、いま内部で綱引きが行われているはず」「いま国際社会が行うべきことは、タリバンとの交渉のパイプをつくり、孤立させないこと」と語りました。

また日本の役割として「アフガンにはいわゆる軍隊を派遣していないので、一般の人々はもちろん、タリバンからも一定程度の信頼はある。だからこそ交渉に努力すべき」と話されました。

アン・ライトさん(元米国務省駐アフガニスタン副代表で、「平和のための退役軍人の会」)

緊急イベント「混迷のアフガニスタン~「対テロ戦争」とは何だったのか?」報告アン・ライトさん
アン・ライトさんは、2001年12月に、アフガニスタンの首都カブールで米国大使館が開設された時に駐在した経験があります。

彼女は、米国や国際社会から届いた復興資金が、アフガニスタンの新政権の下では有効に使われず、汚職が横行していたことが非常に問題だったと語りました。

アン・ライトさんによると、米軍が20年にわたってアフガンに駐留したことで、学校に通える子どもが増えたり、医療アクセスが良くなるなど、部分的には効果もあったと認めつつ、そのような効果は都市部の一角にとどまり、農村の状況は20年前とほとんど変わらないのではないかと分析しました。

そして、「軍事的方法で政治的変化をもたらそうとしたことは間違いだ」とはっきり述べました。

清末愛砂さん(室蘭工業大学大学院教授、「RAWAと連帯する会」共同代表)

緊急イベント「混迷のアフガニスタン~「対テロ戦争」とは何だったのか?」報告清末愛砂さん
清末愛砂さんは、10年間にわたって、アフガン難民や女性運動に携わる人たちへの聞き取り調査を続けてきました。

そこから見えてきたのは、タリバーンを非難する道具として、「女性の人権」が政治利用されているということです。

マスメディアは、タリバンが戻ったことで「あの暗黒時代に戻ることを強いられる」と単純化して伝えますが、この20年間のアフガニスタン政府にも同様の問題があったのに、それについては問題視されていません。

清末さんは、「タリバーンだけに着目しても、構造の解明には至らないどころか、誤った判断に向かうだけ」と言います。

そして、「アフガニスタンには、40年以上の歴史を持つ女性団体があります。いままでもいろいろな形で果敢に闘ってきました。その女性たちの活動に目を向け、声を聞くことが重要です」と語りました。

3名の方はいずれも、戦争がアフガニスタンにもたらした大きな傷跡と悪影響について触れ、これからは武力に頼らず交渉による解決をめざすべきだと語りました。

ピースボートは、今後もゲストの皆さんと連携しながら、アフガニスタン情勢に注目していきます。

なお下記のリンク先よりイベントのアーカイブ(Youtube)をご覧いただけます。
アーカイブの最後にはアフガニスタンの支援先の情報も掲載しています。

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