人道的軍縮、国際法、国連〜新たなアプローチへ〜 2016年・地球大学特別プログラム(大西洋区間)報告
2016年10月4日(火)から10月21日(金)にかけての18日間、第92回ピースボートで地球大学特別プログラム「人道的軍縮、国際法、国連~新たなアプローチへ~」を開講しました。初めての欧米地域での開催となった今回のプログラムには、6カ国(オーストラリア、フランス、アイルランド、ノルウェー、アメリカ合衆国、フィリピン)から学生や若手活動家が参加し、ハーグ(オランダ)からニューヨーク(米国)までの2週間に及ぶ航海を通して、「人道的軍縮」をテーマに学びました。
- プロジェクト: 地球大学
- クルーズ: 第92回 地球一周の船旅
船
2017.3.1
2020.11.6
2016年10月4日(火)から10月21日(金)にかけての18日間、第92回ピースボートで地球大学特別プログラム「人道的軍縮、国際法、国連~新たなアプローチへ~」を開講しました。初めての欧米地域での開催となった今回のプログラムには、6カ国(オーストラリア、フランス、アイルランド、ノルウェー、アメリカ合衆国、フィリピン)から学生や若手活動家が参加し、ハーグ(オランダ)からニューヨーク(米国)までの2週間に及ぶ航海を通して、「人道的軍縮」をテーマに学びました。
これまで化学・生物兵器や地雷などが禁止された背景、2017年3月に交渉開始が決まった核兵器禁止条約に向かう国際的な流れなど、具体的な事例に基づいて、軍縮に向けた国連や国際法のしくみや市民社会の取り組みについて学び、共通する成功の条件は何か議論しました。
プログラムの最後には国連本部でプレゼンを行い成果を発表しました。
プログラムの最後には国連本部でプレゼンを行い成果を発表しました。
兵器がもたらす人道上の被害と向き合う
洋上ゼミのナビゲーターを務めたのは、長年にわたり国連軍縮局の上級政務官として核軍縮に取り組んできたランディ・ライデルさんと、元国連大学副学長で安全保障問題・反差別運動や人権運動に尽力してきた武者小路公秀さんです。国連が主導する集団安全保障のしくみについて学び、軍縮や平和に向けて取り組む中で兵器がもたらす人道上の被害を考える意味や、既存の枠組みを活かした解決策について議論を深めました。
また、広島・長崎の被爆者や被爆二世の方からも直接話を聞き、核兵器がもたらす身体的・精神的被害、長期にわたる差別などの問題について学びました。
また、ゲスト講師として、日本への原爆投下を命じたトルーマン元米大統領の孫であるクリフトン・ダニエルさんとも意見を交わし、時を経て、また国境を越えて被害の実相と向き合うことの意味を議論しました。日本の学生も交え、アメリカ合衆国と日本の異なる立場・視点について話し合い、被害者(被爆者)の軍縮における役割やメッセージの普遍性について議論しました。
他にも、メキシコ在住の人権活動家であるパブロ・ロモさんや、中部大学教授の羽後静子さんをゲスト講師に迎え、平和学の理論や、ジェンダーの視点、国連の持続可能な開発目標(SDGs)と軍縮の関連性などについても話し合いました。
また、広島・長崎の被爆者や被爆二世の方からも直接話を聞き、核兵器がもたらす身体的・精神的被害、長期にわたる差別などの問題について学びました。
また、ゲスト講師として、日本への原爆投下を命じたトルーマン元米大統領の孫であるクリフトン・ダニエルさんとも意見を交わし、時を経て、また国境を越えて被害の実相と向き合うことの意味を議論しました。日本の学生も交え、アメリカ合衆国と日本の異なる立場・視点について話し合い、被害者(被爆者)の軍縮における役割やメッセージの普遍性について議論しました。
他にも、メキシコ在住の人権活動家であるパブロ・ロモさんや、中部大学教授の羽後静子さんをゲスト講師に迎え、平和学の理論や、ジェンダーの視点、国連の持続可能な開発目標(SDGs)と軍縮の関連性などについても話し合いました。
兵器を禁止する:歴史に学ぶ成功への鍵
船が寄港したオランダ、アイスランド、アメリカ合衆国の4都市では、現地で軍縮に関連する国際機関や役所、市民団体を訪れ、これまでの兵器禁止のプロセスや国際的な枠組みについて専門家から直接話を伺いました。
オランダのハーグでは国際司法裁判所(ICJ)を訪問し、司法という観点から国際秩序を考えると同時に、化学兵器禁止機関(OPCW)を訪れ、化学兵器禁止条約の制定に至るまでの市民社会の役割や、条約の施行とモニタリングのしくみについて職員から直接話を伺いました。
続けて、平和首長会議のメンバー都市であるレイキャビクでは、市議会議員の代表者らと面会し、政治家が実現可能な具体的な提言をすることで、市のレベルでも軍縮問題を前進させるためにできることがあると学びました。また、30年前に冷戦終結に向け核軍縮が話し合われた歴史的な米ソ首脳会談が行われたホフディハウスも訪問しました。
ニューヨークでは国連本部にある軍縮部を訪問し、国連の軍縮に向けた現在の取り組みを視察しました。一方、音楽ホール「ナショナル・ソーダスト」では音楽やダンスを取り入れた被爆証言会に参加し、芸術パフォーマンスを通した軍縮への啓蒙活動に触れ、核の非人道性を訴える様々な手段について考えました。
オランダのハーグでは国際司法裁判所(ICJ)を訪問し、司法という観点から国際秩序を考えると同時に、化学兵器禁止機関(OPCW)を訪れ、化学兵器禁止条約の制定に至るまでの市民社会の役割や、条約の施行とモニタリングのしくみについて職員から直接話を伺いました。
続けて、平和首長会議のメンバー都市であるレイキャビクでは、市議会議員の代表者らと面会し、政治家が実現可能な具体的な提言をすることで、市のレベルでも軍縮問題を前進させるためにできることがあると学びました。また、30年前に冷戦終結に向け核軍縮が話し合われた歴史的な米ソ首脳会談が行われたホフディハウスも訪問しました。
ニューヨークでは国連本部にある軍縮部を訪問し、国連の軍縮に向けた現在の取り組みを視察しました。一方、音楽ホール「ナショナル・ソーダスト」では音楽やダンスを取り入れた被爆証言会に参加し、芸術パフォーマンスを通した軍縮への啓蒙活動に触れ、核の非人道性を訴える様々な手段について考えました。
人道的軍縮へのアクション:国連総会サイドイベントでの成果発表
国際的に軍縮を具体的に進めていくにはどうしたらいいのか、複数の立場から軍縮について考えるために、洋上ではロールプレイを積極的に取り入れました。プログラムを通して市民社会や若者の役割を一つのアクションプランにまとめました。
最後の寄港地となるニューヨークでは、軍縮を話し合う国連総会第一委員会のサイドイベントで、洋上でまとめたアクションプランを発表しました。マーシャル諸島共和国と日本の両政府国連代表部とピースボートが共催したこのイベントには、広島・長崎の被爆者の他、軍縮教育家のキャスリン・サリバンさん、長年軍縮運動に関わるコーラ・ワイスさんなどがスピーカーとして参加し、外交官や国連職員が数多く参加しました。
学生たちはまた、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のキャンペーナーと共に国連総会に参加し、核兵器禁止条約の交渉開始へのサポートを求めて外交官へロビー活動も行いました。
最後の寄港地となるニューヨークでは、軍縮を話し合う国連総会第一委員会のサイドイベントで、洋上でまとめたアクションプランを発表しました。マーシャル諸島共和国と日本の両政府国連代表部とピースボートが共催したこのイベントには、広島・長崎の被爆者の他、軍縮教育家のキャスリン・サリバンさん、長年軍縮運動に関わるコーラ・ワイスさんなどがスピーカーとして参加し、外交官や国連職員が数多く参加しました。
学生たちはまた、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のキャンペーナーと共に国連総会に参加し、核兵器禁止条約の交渉開始へのサポートを求めて外交官へロビー活動も行いました。
プログラムを終えて
参加した学生は、「被爆者の方との出会いが印象に残っている。核兵器のない世界の実現のために今後も力を尽くしていきたいとを決意を新たにした」「軍縮における被害者の役割についての議論が印象的だった。異なる立場の人の意見を聞き、自国とは異なる新しい視点を手に入れられたなら、このプログラムに参加した価値があったと思う」といったプログラムの感想を語ってくれました。
様々な立場やセクターから軍縮へ取り組む人たちに出会い、プログラムを通して生まれたネットワークを活かして、今後も精力的に社会活動に関わってもらいたいと願っています。
様々な立場やセクターから軍縮へ取り組む人たちに出会い、プログラムを通して生まれたネットワークを活かして、今後も精力的に社会活動に関わってもらいたいと願っています。