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核兵器禁止条約の実現に向け、ヒバクシャが世界で語り伝えました

核兵器禁止条約の実現に向け、ヒバクシャが世界で語り伝えました
アムステルダムの市民集会で証言する田河豊子さん(2016年10月6日)
第92回ピースボートで行われた第9回「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」では、13カ国17都市で被爆証言活動を行いました。「世代と国境をこえた継承――核兵器の禁止へ」をテーマに、被爆者5名、被爆二世・継承者2名、ユース2名が各地でさまざまな活動をしました。なかでも力を入れたのは、訪れた国々の政府や議会に対して核兵器禁止条約を求める働きかけです。航海の期間中、10月27日には、国連総会の第一委員会で核兵器禁止条約の交渉を開始するという決議が採択されました。国連での核兵器禁止交渉を前に進めるために、ピースボートはその機運を高めることに貢献しようと取り組んでいます。以下、活動の一例を紹介します。
アムステルダムの市民集会で証言する田河豊子さん(2016年10月6日)
第92回ピースボートで行われた第9回「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」では、13カ国17都市で被爆証言活動を行いました。「世代と国境をこえた継承――核兵器の禁止へ」をテーマに、被爆者5名、被爆二世・継承者2名、ユース2名が各地でさまざまな活動をしました。なかでも力を入れたのは、訪れた国々の政府や議会に対して核兵器禁止条約を求める働きかけです。航海の期間中、10月27日には、国連総会の第一委員会で核兵器禁止条約の交渉を開始するという決議が採択されました。国連での核兵器禁止交渉を前に進めるために、ピースボートはその機運を高めることに貢献しようと取り組んでいます。以下、活動の一例を紹介します。

マレーシアで外務省を訪問

核兵器禁止条約の実現に向け、ヒバクシャが世界で語り伝えました
マレーシア外務省のイブラヒム多国間問題担当次官(中央)と深堀譲治さん(左から3人目)。2016年8月29日、クアラルンプール
8月29日、おりづるプロジェクトの代表団はクアラルンプールでマレーシアの外務省を訪問、多国間問題局のイクラム・ムハンマド・イブラヒム次官と面談しました。

マレーシアは核兵器廃絶に向けて、世界の中で強力なリーダーシップを発揮している国の一つです。1997年以来マレーシアは、中米の国であるコスタリカとともに、核兵器禁止条約を求める提案を国連に提出しています。また、バンコク条約と呼ばれる東南アジアの非核化を定めた条約を東南アジア諸国連合(ASEAN)で締結するなど、核なき世界の実現に向けて積極的に活動をしています。会談では様々な意見交換をしました。長崎の被爆者、深堀譲治さんが核兵器廃絶や平和な世界の実現に向けたメッセージを届けました。イブラヒム次官は、核兵器を一刻も早く禁止をする必要があり、国内で国民の意識を高めることが大切だと語りました。そして各国が自国の利益だけではなく、世界全体の利益を追求することが重要と述べました。

ギリシャの国会で証言

核兵器禁止条約の実現に向け、ヒバクシャが世界で語り伝えました
被爆証言に聞き入るギリシャの国会議員ら。2016年9月16日、アテネ
9月16日には、アテネでギリシャの外務省を訪問し、外務副大臣と面会しました。長崎の深堀讓治さんが、ご家族を亡くされたご自身の被爆体験を交えながら、普通の兵器や戦争とは異なる核兵器の脅威について力強く語りました。

次に国会を訪れ、ギリシャの全党代表の前で証言をする機会がありました。ここでは広島の被爆者・森川高明さんが、6歳のときの被爆体験を語りました。ギリシャの国会議員の方々は非常に強い関心の眼差しを森川さんに向けておられました。その後に行われた各党からの発言は、この証言会を踏まえ、核政策についての激しい議論となりました。

ギリシャではまた、ピレウス港で平和セレモニーを行ったほか、翌17日にはサントリーニ島で市長に面会しました。

イギリスでは国会議事堂内で会合

核兵器禁止条約の実現に向け、ヒバクシャが世界で語り伝えました
ウェストミンスター宮殿(英国国会議事堂)前にて。2016年10月4日、ロンドン
イギリス・ロンドンでは、10月3日にロンドン周辺の平和首長会議加盟都市の市長らを迎えたシンポジウムにて、証言とパネルディスカッションを行いました。核ミサイル・トライデントの更新の問題、核兵器の国内陸上輸送の問題や、核兵器使用を辞さないとするメイ首相の発言の問題点などについて、議論が及びました。核保有国ならではの問題点が浮き彫りになりました。

10月4日にはウェストミンスター宮殿(国会議事堂)内にて上院議員にむけての証言会を行い、核廃絶の必要性を訴えました。

オランダでは外務大臣に面会

核兵器禁止条約の実現に向け、ヒバクシャが世界で語り伝えました
バート・クーンデルス外相に対して折り鶴の風鈴を贈呈する森川高明さんとピースボートの川崎哲。2016年10月6日、オランダ・ハーグ
オランダでは、アムステルダムにて平和団体PAX主催のイベントで田河豊子さんが被爆証言をしたほか、ハーグでの特別プログラムも実施しました。ハーグにある国際司法裁判所では、マーシャル諸島共和国政府が2014年4月に核保有国9カ国を相手取り、核軍縮の義務を履行していないとして提訴をしていました。10月5日、これに対する判決公判を坂下紀子さんと東野真里子さんが傍聴しました。判決は本件の管轄権がないとする「門前払い」のものでしたが、それでも傍聴した坂下さんたちは、核兵器のおそろしさを人から人へ伝えていくことの重要さを実感しました。(この様子は、10月11日付朝日新聞特派員レポート(@ハーグ)「核めぐる法整備、日本も貢献を」に出ています。)

さらに10月6日には森川高明さんとピースボートの川崎哲がPAXのメンバーらとバート・クーンデルス外務大臣を訪問。40分にわたる面談でクーンデルス外相は森川さんの話に聞き入り、たくさんの会話がありました。国連総会に出されている核兵器禁止条約の交渉開始の決議案についても、話は及びました。

国連で核兵器禁止条約を求める

核兵器禁止条約の実現に向け、ヒバクシャが世界で語り伝えました
ニューヨーク国連本部内で開催したイベント「軍縮教育-被爆者と若者の役割」、2016年10月20日
10月20日に船がニューヨークに到着すると、一行は、総会第一委員会の開かれている国連本部内で「軍縮教育 被爆者と若者の役割」と題するサイドイベントを実施しました。ピースボートとマーシャル諸島共和国と日本の両政府国連代表部が共催したものです。広島・長崎の原爆パネルを会場内に掲示したこのイベントでは、マーシャル諸島の国連大使が同国が経験した核実験の惨禍について語りました。核がそのサイクルのあらゆる段階で受け入れがたい被害をもたらすことが強調されました。森川高明さんの被爆証言とアピールの後には、大西洋の船上で被爆証言を聞き軍縮と国際法を学んだ地球大学の学生ら(オーストラリア、フランスなど5カ国から)が「市民・若者にできること」を発表しました。

この様子は、新聞(*)やテレビ(NHK)を通じて、広く国内外に報じられました。
*「核禁止条約『心から期待』 国連討論会に被爆者ら出席」 (日経新聞、2016年10月21日付)
"Hibakusha join activists at U.N. event in calling for nuke ban treaty" (The Japan Times, October 22, 2016)

国連総会第一委員会が核兵器禁止条約の交渉開始決議を賛成多数で採択したのは、この一週間後です。

おりづるプロジェクトでは証言活動と並行して、国連軍縮部が世界中から集めた国連平和ポスターのパネル展示や、核兵器禁止条約を求める「ヒバクシャ国際署名」を世界各地で展開してきました。

より詳しくは、以下のリンクから「報告書」をダウンロードしてください。また、おりづるプロジェクトのブログには、上記以外の寄港地や船内での活動の様子も含め、多彩なレポートが掲載されています。

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