日本被団協のノーベル平和賞受賞にあたって
日本被団協のノーベル平和賞受賞の報を聞き、心から嬉しく思っています。本当におめでとうございます。
ピースボートは長年にわたり被爆者の方々と共に核兵器廃絶を訴えてきました。2008年から実施している「ヒバクシャ地球一周:証言の航海」(通称:おりづるプロジェクト)では、これまで170名を超える広島・長崎の被爆者の方々とともに、船旅を通じて世界各地で証言会を実施し、核兵器廃絶のメッセージを世界に届けてきました。被爆者の方々の生き様や証言に触れた世界中の人々、そして船内の若者が、大きな勇気を受け取り、その思いを行動に変えていく姿を何度も目の当たりにしてきました。
2017年にノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の国際運営団体としては、被爆者の方々とともに核兵器禁止条約の推進に向けての活動も行なってきました。核兵器禁止条約につながる重要な会議の場には、必ず被爆者の方々の姿がありました。草の根の地道な努力も、諦めずに続ければいつか必ず国際法として実を結び、国際規範を変え得るのだと教えてくれたのは被爆者の方々です。
ノルウェーノーベル委員会も平和賞授与の理由として、日本被団協が、膨大な証言を提出し、決議やアピールを世界中で行い、人々を鼓舞し、教育し、「核兵器のタブー」の維持に貢献してきたことを挙げています。中東やウクライナで核兵器使用の危機がかつてないほど高まっている今こそ世界は改めて被爆者の方々の声に真摯に耳を傾ける時だと思います。
核兵器をめぐる情勢がどんなに厳しい時でも、つらい記憶を思い出しながら、きつい体に鞭打ちながら、被爆者の方々が世界に訴え続けたのは「核兵器は絶対悪だ」というメッセージです。それこそが、私たちがしっかりと受け継いでいくべきものだと思います。ヒロシマ・ナガサキを世界のどこにおいても、決して繰り返してはなりません。
しかし、繰り返されてはならないのは核兵器の使用だけではありません。日本被団協の代表委員の一人であり、今年の春にピースボートに乗船された田中熙巳さんは、被爆の実相とともに、日本が戦争に突き進んでいた頃の様子をよく語られます。先の大戦で日本がアジア諸国に対して行った加害の事実を省みれば、再び軍拡に走り、軍事主義に陥ることは到底許されません。私たちは日本被団協の多くの被爆者の方々から、日本が手にした平和憲法、特に憲法9条がいかに大切であるかを教わってきました。大事なのは、武力によらずに諸国民の信頼と国際協調によって平和を実現するという原則を高く掲げ、行動することだと思います。
日本において、今、戦争体験や被爆体験が急速に風化しています。同時に核抑止力の強化や核共有を口にする政治家が増えています。日本被団協のノーベル平和賞受賞は、日本が世界で唯一の戦争被爆国であり、核兵器廃絶に向けて世界を主導する重い道義的責任を負っていることを改めて私たちに思い起こさせてくれています。
日本は、一刻も早く核兵器禁止条約に署名・批准すべきです。日本政府は、今回の日本被団協のノーベル平和賞受賞を石破総理が言われたように「極めて意義深い」と評価するならば、核兵器禁止条約への署名・批准を目指すことを明言すべきです。
ピースボートはこれからも被爆者とともに核兵器のない平和で持続可能な世界の実現に向けての歩みを続けます。
2024年10月12日
ピースボート
2017年にノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の国際運営団体としては、被爆者の方々とともに核兵器禁止条約の推進に向けての活動も行なってきました。核兵器禁止条約につながる重要な会議の場には、必ず被爆者の方々の姿がありました。草の根の地道な努力も、諦めずに続ければいつか必ず国際法として実を結び、国際規範を変え得るのだと教えてくれたのは被爆者の方々です。
ノルウェーノーベル委員会も平和賞授与の理由として、日本被団協が、膨大な証言を提出し、決議やアピールを世界中で行い、人々を鼓舞し、教育し、「核兵器のタブー」の維持に貢献してきたことを挙げています。中東やウクライナで核兵器使用の危機がかつてないほど高まっている今こそ世界は改めて被爆者の方々の声に真摯に耳を傾ける時だと思います。
核兵器をめぐる情勢がどんなに厳しい時でも、つらい記憶を思い出しながら、きつい体に鞭打ちながら、被爆者の方々が世界に訴え続けたのは「核兵器は絶対悪だ」というメッセージです。それこそが、私たちがしっかりと受け継いでいくべきものだと思います。ヒロシマ・ナガサキを世界のどこにおいても、決して繰り返してはなりません。
しかし、繰り返されてはならないのは核兵器の使用だけではありません。日本被団協の代表委員の一人であり、今年の春にピースボートに乗船された田中熙巳さんは、被爆の実相とともに、日本が戦争に突き進んでいた頃の様子をよく語られます。先の大戦で日本がアジア諸国に対して行った加害の事実を省みれば、再び軍拡に走り、軍事主義に陥ることは到底許されません。私たちは日本被団協の多くの被爆者の方々から、日本が手にした平和憲法、特に憲法9条がいかに大切であるかを教わってきました。大事なのは、武力によらずに諸国民の信頼と国際協調によって平和を実現するという原則を高く掲げ、行動することだと思います。
日本において、今、戦争体験や被爆体験が急速に風化しています。同時に核抑止力の強化や核共有を口にする政治家が増えています。日本被団協のノーベル平和賞受賞は、日本が世界で唯一の戦争被爆国であり、核兵器廃絶に向けて世界を主導する重い道義的責任を負っていることを改めて私たちに思い起こさせてくれています。
日本は、一刻も早く核兵器禁止条約に署名・批准すべきです。日本政府は、今回の日本被団協のノーベル平和賞受賞を石破総理が言われたように「極めて意義深い」と評価するならば、核兵器禁止条約への署名・批准を目指すことを明言すべきです。
ピースボートはこれからも被爆者とともに核兵器のない平和で持続可能な世界の実現に向けての歩みを続けます。
2024年10月12日
ピースボート