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ノーベル平和賞受賞者ドミトリー・ムラトフ氏とICANによるロシアの核使用に関する声明

ノーベル平和賞受賞者ドミトリー・ムラトフ氏とICANによるロシアの核使用に関する声明
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)は、同じく2021年ノーベル平和賞受賞者でありロシアのジャーナリストであるドミトリー・ムラトフ氏と共同でロシアのタブロイド新聞「ノーヴァヤ・ガゼータ」上で声明を発表しました。ICANの国際運営団体をつとめるピースボートは、この声明に賛同し、以下に声明全文を掲載します。
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核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)は、同じく2021年ノーベル平和賞受賞者でありロシアのジャーナリストであるドミトリー・ムラトフ氏と共同でロシアのタブロイド新聞「ノーヴァヤ・ガゼータ」上で声明を発表しました。ICANの国際運営団体をつとめるピースボートは、この声明に賛同し、以下に声明全文を掲載します。

今すぐ行動しなければなりませんーープーチン大統領の核兵器使用の脅威に対する声明

いま私たちは、核をめぐる緊張が近代においても類をみない脅威的なレベルにまで高まっている現実を目の当たりにしています。ウラジーミル・プーチンは核攻撃を開始すると脅迫し、攻撃・防衛の両方において核の警戒態勢をソ連崩壊後最高レベルにまで引き上げています。プーチンはまた、国連憲章を含む国際法に違反したウクライナ侵攻にあたり、もうひとりの独裁者、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコと手を組み、ベラルーシにロシアの核兵器を配備する道をも拓きました。

2017年と2021年にそれぞれノーベル平和賞を受賞した私たちは、核兵器の脅威が世界の平和と国際安全保障にかつてない脅威をもたらしていること、そしてプーチンの見境のない行動と発言が差し迫った危険となっていることを、ここに警告します。

今この瞬間、人類の行く末はたった数人の首脳らの理性にかかっています。そしてその首脳らの手に握られているのは、地球を何度も破壊できるほど強力な、13,000発近い核兵器を操る力です。たった一発の使用であっても、何十万、あるいは何百万もの市民が犠牲となり、何世代にもわたる放射能が環境を汚染し続ける可能性があるのが核兵器です。核兵器がもたらす破壊的状況に対応できる医療支援はありません。そこにこそ、世界の多くの国が、核兵器を禁止する初の国際条約となる核兵器禁止条約(TPNW)に賛同した理由があります。そして、ICANが2017年にノーベル平和賞を受賞したのはこの条約への貢献が認められてのことです。

ロシアによる昨今の急激な核の脅威の拡大により、私たちはいま、キューバ危機以降経験してきたあらゆる核の脅威より高いレベルの危険に晒されています。ロシアは緊急に事態を緩和するための措置を講じるべきです。

具体的には、ロシアは以下を行う必要があります。
●日曜日に発した核戦力の警戒レベル引き上げ命令を取り消す。
●ウクライナから撤退し、国連憲章の遵守に立ち戻る。
●今後一切ヨーロッパに核兵器を配備しないことを約束する。
●自国が保有する核兵器を廃絶する。

ロシアで、ヨーロッパで、世界で、市民が路上に繰り出し、この違法かつ不当な戦争の終結を求めています。未来を決めていくにあたり、市民の声に耳を傾けてくれと求めています。核兵器の存在はそのような対話を難しくします。核兵器は、自分たちの未来を左右する決断に民主的な意思や声が取り込まれることを阻みます。核兵器が存在する限り、核兵器が使われる脅威は決してなくなりません。私たちは、幾人かのリーダーに自分たちの運命をゆだね、どうか世界が破壊されないようにと息を止め続けることはもうできません。私たちはこの大量破壊兵器を廃絶しなければなりません。私たちはすべての政府に一刻も早く核兵器禁止条約に加盟することを求めます。私たちは世界中の政府に、戦争ではなく平和を、狂気ではなく確かな理性を求めます。私たちは各国政府に、民主主義と表現の自由を貫くよう求めます。行動すべきは今です。次の核の危機を私たちが生き延びることができる保証は、ありません。

2021年ノーベル平和賞受賞 ドミトリー・ムラトフならびに
2017年ノーベル平和賞受賞 核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)を代表して
ベアトリス・フィン

声明の原文(ロシア語・英語)はこちら

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