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世界核被害者フォーラム2021を開催しました

世界核被害者フォーラム2021を開催しました
ピースボートは、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)と協力して、2021年12月2~3日(日本時間では12月3日)に「世界核被害者フォーラム2021」をオンラインで開催しました。太平洋、北米、ヨーロッパ、アフリカ、そして日本を含むアジアの世界5大陸から、ウラン採掘、核実験、核兵器の生産そして使用の被害者らが30名以上が登壇して発言しました。1200人以上が視聴・参加しました。それらの証言やパネル討論は、以下のリンクからご覧になれます。
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ピースボートは、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)と協力して、2021年12月2~3日(日本時間では12月3日)に「世界核被害者フォーラム2021」をオンラインで開催しました。太平洋、北米、ヨーロッパ、アフリカ、そして日本を含むアジアの世界5大陸から、ウラン採掘、核実験、核兵器の生産そして使用の被害者らが30名以上が登壇して発言しました。1200人以上が視聴・参加しました。それらの証言やパネル討論は、以下のリンクからご覧になれます。

出会い、つながり、沈黙を破って

世界核被害者フォーラム2021を開催しました
ディミティ・ホーキンスさん(ICANオーストラリア)
フォーラムは、核のさまざまな過程(ウラン採掘から、生産、廃棄まで)の被害に焦点を当てたPart1と、核兵器禁止条約が定める核兵器の使用・実験の被害に焦点を当てたPart2に分かれて開かれました。

Part1の報告者であるディミティ・ホーキンスさん(ICANオーストラリア)は、以下のように振り返りました。

――前半では、核のさまざまな過程で自分たちの土地が汚染された人たちの話を聞きました。オーストラリアやカナダ、ニジェール、インド、米国、韓国そして日本で被害に遭った方々、とくに先住民族の人たちでした。後半では米国、太平洋、オーストラリア、ロシアからの登壇者を迎えてのパネル討論でした。被害者や彼らを支援し協働する人たちと集まると、光が灯るように感じます。自分たちの経験が他の人の経験にも繋がっていて、誰も一人ではないことを認識するからです。

パネル討論1では、植民地主義や冷戦構造、不平等な権力や核をめぐる人種差別などによって発言できなかった、そんな深い沈黙を破るものでした。力強い意思があり、人々や場所に対する深い思いやりがあり、世界の各地で直面している苦慮への理解がありました。

討論の中では、共通点がありました。それは、放射能や放射性物質からの被ばくによる被害は、多くの場合差別され、見捨てられたコミュニティーに押し付けられるということです。被害者たちの話は地図上の国境や世代を超えて広がります。

沈黙を強要され、嘘が教えられ、情報へのアクセスが限られることが、被害をより大きくします。被害者たちの存在は、歴史、政治、科学、医療的な研究から排除されていきました。また、放射能被害を発生させた鉱物採掘会社や政府や軍の記録も、やはり廃棄されました。

そんな状況の中でも、恐怖や深い悲しみにもかかわらず、自分たちの存在を示し続けること、声を上げ続けようという強い意志が感じられるのは、本当に素晴らしいことです。そして一番嬉しいことは、若い人々や新しい世代が話を聞き、語り継ぎ、強要された沈黙を破り、年長者から学んでいるということです。

私たちは、出会い、共に学び、沈黙を破ることが必要であることをこのフォーラムで再認識しました。――

被害を自ら知り、そして認めさせるための闘い

世界核被害者フォーラム2021を開催しました
Part2の報告者をつとめたピースボートのカレン・ハロウズは、次のようにまとめました。

――カザフスタン、マーシャル諸島、日本、タヒチ、中国、退役軍人の証言を聞きました。

核実験の被害に遭った方々の証言を聞いて、それらは個人だけではなく家族の、コミュニティー全体の苦しみであることが分かりました。これは核実験の大きさだけでなく、世代を超えて影響が残るという放射線の特異な性質によるものです。被害者は自分の健康状態だけでなく、家族や友人、コミュニティーの住民が病気になったり亡くなったりすることによっても苦しむのです。子どもや孫たちまで被害が出ないかという心配も続きます。

状況が隠されるという共通点もありました。被害者が「知らなかった」「誰も教えてくれなかった」と発言するのをよく耳にしました。被害者の闘いというのは、自分に何が起こったのかを知り、それを認めてもらうために情報の提供を求め、自ら情報を収集していくという闘いです。承認、情報の欠如、排除といった言葉が、パネル討論の中で頻出しました。

周りの人やコミュニティー、もっと多くの人に深く苦しい証言や経験を伝え続けることの決意が討論を通して共有されました。その方法としては、学校など公的教育のカリキュラムに盛り込むことや、また、今回のフォーラムのような自主的な取り組みが続けられる必要もあります。

苦しく個人的な物語を共有し、核兵器の影響について世界に明示してくださった被害者の方々に心から感謝を申し上げます。ピースボートはICAN、世界中のパートナーと共に被害者の存在を伝え、被害者の権利と尊厳の実現、核兵器禁止条約で定められている被害者援助と環境回復の実現のために努力していきます。――

核兵器禁止条約第1回締約国会議に向けて

世界核被害者フォーラム2021を開催しました
世界核被害者フォーラム2021の開会は第五福竜丸展示館から。ピースボートの渡辺里香(左)と川崎哲
フォーラム当日はもちろんのこと、数カ月にわたる事前準備や相談段階において、この歴史的なフォーラムの実現と成功のために多くの団体・個人の方々が協力してくださいました。この場を借りて皆さまに感謝申し上げます。後援団体、賛同団体については、以下のリンクにあるフォーラムのホームページにお名前を掲載させていただきました。

ピースボートはICANとの協力の下で、今回のフォーラムの成果を生かし、来年3月にウィーンで開かれる核兵器禁止条約第1回締約国会議に向けた活動を進めていきます。

広く報道されました

世界核被害者フォーラム2021を開催しました
閉会の辞を述べるベアトリス・フィンICAN事務局長
世界核被害者フォーラム2021について、日本のメディアでは、以下の通り報道されています。

2021年11月27日 中国新聞 世界の核被害者 非人道性を訴え 来月3日 オンラインでフォーラム
2021年11月30日 東京新聞ほか(共同通信) 世界の核被害者フォーラム開催へ 「締約国会議の出発点に」
2021年12月2日 高知新聞 あす世界核被害者フォーラム 宿毛の団体 ビキニ被ばく報告
2021年12月3日 NHK サーロー節子さん「互いの経験から学び 支え合い 声を上げて」/核被害について考える国際フォーラム オンラインで開催/「世界核被害者フォーラム」核廃絶に向け被害の非人道性訴える
2021年12月4日 中国新聞 世界の核被害 実態報告 オンライン開催 フォーラムで議論
2021年12月6日 毎日新聞(広島) 「ヒバクシャ」で連帯を 世界核被害者フォーラム
2021年12月9日 高知新聞 ビキニ被ばく 苦しみ今も 宿毛の団体 世界へ訴え オンライン

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