オセアニアをめぐる旅−第103回ピースボート水先案内人特集(後編)
ピースボートの船旅に欠かせないのが水先案内人です。それぞれの専門分野を持つ水先案内人の皆さんは、世界をめぐる際のガイドとなってその知識や経験を参加者と共有してくれます。水先案内人は、これから向かう寄港地の歴史や、人々が抱える課題に切り込み、新しいものの見方を提供することで、参加者の視野を広げてくれています。後編の今回は、クルーズ後半に乗船した水先案内人(一部)の活躍の様子をお届けします。
- クルーズ: 第103回 オセアニア一周の船旅
船
2020.7.7
2020.7.9
ピースボートの船旅に欠かせないのが水先案内人です。それぞれの専門分野を持つ水先案内人の皆さんは、世界をめぐる際のガイドとなってその知識や経験を参加者と共有してくれます。水先案内人は、これから向かう寄港地の歴史や、人々が抱える課題に切り込み、新しいものの見方を提供することで、参加者の視野を広げてくれています。後編の今回は、クルーズ後半に乗船した水先案内人(一部)の活躍の様子をお届けします。
知られざる被曝漁船員を追って:岡村啓佐さん
高知県高知市で、平和資料館「草の家」の副館長を勤める岡村啓佐さんは、船内で自らが撮影した写真パネルを展示しました。米国は、太平洋の島、マーシャル諸島のビキニ環礁で、1946年から1958年の間に核実験を繰り返しました。
日本のマグロ漁船、第五福竜丸が核実験に巻き込まれ乗組員が被曝したいわゆる「第五福竜丸事件」により、その脅威が日本中に知られることになります。しかし、第五福竜丸以外にも多くの漁船が被曝していた事実は、世間に知られることはありませんでした。
岡村さんは、当時そのような漁船に乗船していた多くの漁師を訪ね、取材、撮影してきました。そして、放射能の影響で誰にも知られず健康被害を受けていた人たちおよそ50人の記録を、写真集として出版。第五福竜丸以外にも無数のマグロ漁船員が被爆したことを世の中に伝えました。
岡村さんはこう訴えます。「核と人間は共存できないことを認識すべき。歴史から学び、想像する力、権力による嘘を見破ること、そして自分にできることを意識的にやっていくことが大事です」。
日本のマグロ漁船、第五福竜丸が核実験に巻き込まれ乗組員が被曝したいわゆる「第五福竜丸事件」により、その脅威が日本中に知られることになります。しかし、第五福竜丸以外にも多くの漁船が被曝していた事実は、世間に知られることはありませんでした。
岡村さんは、当時そのような漁船に乗船していた多くの漁師を訪ね、取材、撮影してきました。そして、放射能の影響で誰にも知られず健康被害を受けていた人たちおよそ50人の記録を、写真集として出版。第五福竜丸以外にも無数のマグロ漁船員が被爆したことを世の中に伝えました。
岡村さんはこう訴えます。「核と人間は共存できないことを認識すべき。歴史から学び、想像する力、権力による嘘を見破ること、そして自分にできることを意識的にやっていくことが大事です」。
徴用工問題から歴史を考える:矢野秀喜さん
ピースボートの船旅の大きなテーマの一つは、「過去を学びなおす」ことです。船には、「朝鮮人強制労働被害者への補償立法をめざす日韓共同行動事務局長である矢野秀喜さんが乗船されました。いわゆる「徴用工問題」です。1990年代からこの問題に取り組んでこられた矢野さんですは「75年経った今も、問題は解決されていない」と言いました。
マオリとアイヌ、先住民族同士の交流から学び合う:ウィル・フラヴェルさん
アオテアロア(ニュージーランド)出身のウィル・フラヴェルさんのルーツは、先住民族マオリです。教育学の博士課程に在籍し、高校教師でもあるウィルさんは、マオリ文化やマオリ語を保護していくことの重要性や、世界にいる先住民が抱える課題、ニュージーランドではどのような対策がなされているのかについて語りました。
また、自身が参加したマオリと日本のアイヌ民族との交流プログラムについての体験を共有し、アイヌ民族のことにももっと関心を持ち、彼らへのサポートも行って欲しいと参加者に訴えかけました。
また、自身が参加したマオリと日本のアイヌ民族との交流プログラムについての体験を共有し、アイヌ民族のことにももっと関心を持ち、彼らへのサポートも行って欲しいと参加者に訴えかけました。
ソロモン諸島の伝統を引き継ぐために:ナティ・ドライアシさん
クルーズ終盤には、ミュージシャンのナティ・ドライアシさんが乗船し、深い文化の知識とソロモン諸島に伝わる神聖な祈りの儀式を披露してくれました。
ナティさんはソロモン諸島の島を渡り歩き、先人によってこの島々で脈々と語り継がれて来た伝統的な音楽を、その伝統が失われないよう、次の世代に引き継ぐ役割を担っています。儀式にはたくさんの祈りや歌、音楽の演奏が含まれ、参加者は船内でソロモン諸島の精神性や多様性に触れることができました。
ナティさんはソロモン諸島の島を渡り歩き、先人によってこの島々で脈々と語り継がれて来た伝統的な音楽を、その伝統が失われないよう、次の世代に引き継ぐ役割を担っています。儀式にはたくさんの祈りや歌、音楽の演奏が含まれ、参加者は船内でソロモン諸島の精神性や多様性に触れることができました。
そのほか、第103回ピースボートでは、オーストラリアからICANのメンバーや核被害を受けた先住民族が乗船し、核のない世界のために講座やワークショップを実施しました。その様子については下記のリンクよりご覧ください。