オセアニアをめぐる旅−第103回ピースボート水先案内人特集(前編)

オセアニアをめぐる旅−第103回ピースボート水先案内人特集(前編)ギターの名手、チャノ・カラスコさんによる演奏
ピースボートの船旅に欠かせないのが水先案内人です。それぞれの専門分野を持つ水先案内人の皆さんは、世界をめぐる際のガイドとなってその知識や経験を参加者と共有してくれます。水先案内人は、これから向かう寄港地の歴史や、人々が抱える課題に切り込み、新しいものの見方を提供することで、参加者の視野を広げてくれています。

第103回ピースボートでは、それぞれの水先案内人が、海洋問題や先住民のアイデンティティ、反核活動、ひきこもりといったテーマで講座やワークショップを行っていただきました。今回は、クルーズ前半に乗船した水先案内人(一部)の活躍の様子をお届けします。

東南アジアの歴史とバティック染めの魅力:ファリシュ・A・ノール博士

オセアニアをめぐる旅−第103回ピースボート水先案内人特集(前編)ファリシュ・A・ノール博士
シンガポール南洋理工大学で教鞭をとるファリシュ・A・ノール博士(乗船区間:横浜からバリ)は、東南アジアの文化、歴史、政治の分野の専門家です。

ファリシュ博士からは、東南アジア諸国の植民地時代の歴史、また現在に至るまでの日本や中国との関係について、そして17〜18世紀にこの地域で起きた「海賊の覇権争い」などについてお話しいただきました。

またファリシュ博士は、服飾のバティック染めについても知識が豊富です。バティックは、インドネシアのジャワ島発祥のロウケツ染めの布のこと。

かつては王宮や一部貴族だけが着用が認められ、その紋様は王宮を象徴するシンボルとなっていました。その後、オランダなど西洋による植民地支配の影響を受けて、柄や着用の仕方が変化を遂げてきました。

また、バティックの生産者のおよそ9割は女性で、彼女たちの生活や働き手としての自信を支える重要なツールにもなっています。バティックは現在、ユネスコの無形文化遺産としても登録され、インドネシアの歴史の一部と考えられています。

歌、音楽、ダンスが一体となったフラメンコ文化:チャノ・カラスコさん、池谷香名子さん、廣重有加さん

オセアニアをめぐる旅−第103回ピースボート水先案内人特集(前編)池谷香名子さんのダンスパフォーマンス
船内にスペインの文化と音楽を届けてくれたのは、チャノ・カラスコさん(フラメンコ奏者、ギター)、池谷香名子さん(バイレ=踊り手)、そして廣重有加さん(カンテ=歌手)の三人です。

フラメンコは数百年をかけて南スペインで伝統を築いてきた民族芸能の一種で、歌、音楽、ダンスが合わさって一つの作品となります。ユネスコの無形文化遺産にも登録されており、南ヨーロッパや北アフリカの文化の影響も受けていると言われます。

カラスコさん、池谷さん、廣重さんの3名は、フラメンコを通してスペインの伝統文化をスペインと日本を拠点に語り継いできました。参加者は神戸からバリまでの区間で大小さまざまな会場で、息のあった本場のパフォーマンスを味わいました。

長期ひきこもり支援の現場から:石川清さん

オセアニアをめぐる旅−第103回ピースボート水先案内人特集(前編)石川清さん
第103回ピースボートのテーマのひとつは「多様性」です。様々な水先案内人が自分たちの視点から「多様性」を読み解き、実際にマイノリティ(少数派)とされている人々の声を拾い続けてきました。

その一人が、フリーライターでひきこもり訪問サポート士をしている石川清さんです。長期ひきこもりの支援活動に関わってきた石川さんは、ひきこもりケアのボランティアグループを作るなどの取り組みを続けています。

石川さんは、ひきこもりが誰にでも起こりうるものであること、そして自分の家族や友人、また自分自身が他者と関わることが難しくなってしまった時、どうすればその状態の長期化を防ぎ、医療や福祉とつながることができるかについてお話ししてくださいました。

また石川さんは、第103回ピースボートでも実施していたピースボートグローバルスクールにも長年、ナビゲーターとしてサポートしてくれています。

海洋保護のためにできること:アナ・オポサさん

オセアニアをめぐる旅−第103回ピースボート水先案内人特集(前編)アナ・オポサさん
航海で訪れた海や海岸の多くは、現在も進行している気候変動や大規模観光よる汚染、さらに漁業の乱獲などで危機にさらされています。

NGOセーブ・フィリピン・シーズ代表のアナ・オポサさん(バリ〜フリーマントル)は、海洋問題やサメについての講座やワークショップを通して、参加者がこれから始められることについて話しました。

アナさんは、人間の活動によって海が汚されている事実を伝えながら、使い捨てのプラスチックなどのゴミを減らす、自治体や政府に働きかけて政策に影響を与える、キャンペーンに参加するといった方法を紹介していきました。

また、若い人たちが主導権を握って環境保全、海洋保護のリーダーになっていくことの重要性を強く訴え、私たち一人一人の働きかけでそのような活動を推奨していくこともできると伝えてくれました。

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