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福島子どもプロジェクト2019-東アジアを訪れた子どもたちの学びと交流の12日間

福島子どもプロジェクト2019-東アジアを訪れた子どもたちの学びと交流の12日間
デッキから函館での一日を振り返る3人
ピースボートは8月に行われた日本一周クルーズで、福島子どもプロジェクト2019を実施しました。日本・韓国・ロシアをめぐるこのクルーズには、福島県南相馬市と相馬市の中学生3名が参加。釜山から石巻までの12日間(8月10日~21日)に合流しました。船上や寄港地で、数え切れないほどの出会いを経験し、課題に直面し、ひとまわり大きく成長して帰ってきました。
デッキから函館での一日を振り返る3人
ピースボートは8月に行われた日本一周クルーズで、福島子どもプロジェクト2019を実施しました。日本・韓国・ロシアをめぐるこのクルーズには、福島県南相馬市と相馬市の中学生3名が参加。釜山から石巻までの12日間(8月10日~21日)に合流しました。船上や寄港地で、数え切れないほどの出会いを経験し、課題に直面し、ひとまわり大きく成長して帰ってきました。

初めての旅。韓国から金沢を経て、ロシアへ

福島子どもプロジェクト2019-東アジアを訪れた子どもたちの学びと交流の12日間
鷲の巣展望台から街とピースボートを臨んで
2011年夏にはじまった当プロジェクトは、福島原発事故の影響を受けた子どもたちの保養を目的として、NPO法人南相馬こどものつばさとの協力のもと、NGOピースボートと一般社団法人ピースボート災害ボランティアセンターが始めたものです。Lush Japanなどからの支援をいただきながら、「夢」と「健康」をテーマに国際交流プログラムを行い、今回が8回目となりました。

8月10日、仙台空港から福岡を経由して韓国の釜山へ。海外が初めてという子もいて、不安8割、期待が2割という様子で、3名とも顔が強ばっていました。到着した韓国の釜山では、生タコを食べ、街を観光して船に合流しました。

8月12日、金沢では里山里海の暮らしを体験するツアーに参加しました。北陸の夏とは信じられないような猛暑の中、薪を割り、川では鮎狩りに挑戦。数日前の緊張した表情は吹き飛び、能登の自然の中で笑顔が弾けていました。

8月14日、降り立ったのはロシアの不凍港・ウラジオストック。「ここはロシアの中では冬も温かいのでたくさんの人が集まってきます」との現地ガイドさんの言葉に冬の気温を尋ねてみると、マイナス30℃!これには驚きを隠せませんでした。

ケーブルカーに乗って鷲の巣展望台からヨーロッパを感じさせる街を一望し、ボルシチやピロシキなどのロシア料理を体験。短い時間の中で、広大なロシアがヨーロッパとアジアに渡り横たわり、二つの地域をつないでいることを実感しました。

泊原発を訪れて

福島子どもプロジェクト2019-東アジアを訪れた子どもたちの学びと交流の12日間
泊原発の対岸で、海水温度計測を40年続ける斉藤武一さん
8月16日、北海道の小樽へ。「原発の町・泊で考える暮らしとエネルギー」というツアーに参加しました。原発PRセンターである「とまりん館」を見学し、泊原発から4kmの防潮堤で40年間毎日海水温を計測している斉藤武一さんから話を聞きました。

運転を停止しているにも関わらず、メンテナンスや監視に費用がかかり続けることや、北海道電力の社員が近くの海岸で泳ぐことで原発周辺の海が安全であることをアピールしたこと。また海水が0.1度上がるだけで魚が湾に入って来なくなるというのに、これまでに0.9度も水温が上がっていることなど、多くの疑問を提示してくれました。

船内では、広島、長崎のメッセージを世界に発信するミッションを持って乗船している「おりづるユース特使」の2人と、3回にわたって話す機会も持ちました。小樽の原発を見に行って感じたこと、今回の乗船のことをどんな風に感じているか、これからどんなことに挑戦したいか、など素直に意見交換しました。

広島出身で高校生の時から原爆や核兵器の脅威を多くの人に伝える活動をしてきたユース特使の2人から「広島と福島をつなげて考えたいんよ」と言われた時には、3人はまだよく理解出来ていない様子でした。しかし、ある子が祖母の家が津波で流された経験を話すと「そう。そういう生の体験をした人が、これからどう語るかが大切なんだと思う」と言葉を受け、背中を押されていました。

船上で経験したことを発表

福島子どもプロジェクト2019-東アジアを訪れた子どもたちの学びと交流の12日間
オープンスペースで報告会を開く。立ち見が出るほどの盛況に
船上で過ごす最終日8月20日には、この旅の経験や、旅を通じて出会った人々との対話を経て、3人が12日間で体験したこと、見たこと、感じたことを船内企画として発表しました。

少し緊張しながらも、「国際交流でも頑張って通じさせようとする自分も楽しかった。だけどなかなか通じなくて悔しかった」という中学生らしいコメントが出てきました。そして、泊原発を見学した話題から福島での漁業の現状、彼ら中学生が一年に一回ホールボディーカウンターで放射線量を調べていることなどを話してくれました。

得意のサッカーで自主的に企画を立ち上げて、小学生や一般参加者とも交流したり、船の操舵室を見学に行ったりと、船ならではの経験も重ねました。

石巻で見た被害と復興

福島子どもプロジェクト2019-東アジアを訪れた子どもたちの学びと交流の12日間
日和山から被害にあった街を臨む学生たち
8月21日、宮城県石巻市では、アジアやアメリカから参加している地球大学特別プログラム*の学生と一緒にツアーに参加しました。料亭を営む阿部紀代子さんの案内による街歩きを通して、石巻市が受けた津波の被害や復興の現状を知りました。

石巻市かわまち交流センター(かわべい)では移動支援Reraの代表の村島さん、そして利用者の伊勢さんから話を聞き、災害時にお年寄りや障害者が必要とする支援についても考えました。最後は石巻市復興まちづくり情報交流館を訪れ、館長のリチャードさんから災害の概要やご自身の被災の経験について聞きました。

*地球大学特別プログラム:ピースボートの船旅を活用した英語で行う平和教育プログラム。世界各国の若者が参加し、地球規模の問題を自分の問題として考える未来のリーダーを育成しています。

プチ留学経験、大人との対話から

福島子どもプロジェクト2019-東アジアを訪れた子どもたちの学びと交流の12日間
地球大学の受講生とコミュニケーションを取りながら、多くの視点を学んだ
今回、寄港したほとんどは日本の港でした。しかし、船で寝泊まりした部屋をシェアしたのは、アジアの様々な国から来た地球大学特別プログラムを受講するお兄さん、お姉さん。

彼らと共有した生活や会話の中で、「もっと英語を話したい」「もっとコミュニケーションを取れるようになりたい」というこれからの目標も出来ました。また、自分が将来なりたい職業の方に出会い、どのような勉強が必要なのかを聞く機会にも恵まれました。

3人の中学生がみずみずしい感性と今回の経験を通じて、世界は広く、将来の可能性は無限であるという自信につながっていくことを期待しています。

ピースボートが福島の子どもたちにできることは、世界を旅する船を出し、世界各地のネットワークを通じて国際交流の体験を提供することです。子どもたちには無限の可能性があることを知ってもらうために、今後も活動を継続していきたいと考えています。このプロジェクトを支えるために、どうかご支援をよろしくお 願いいたします。

◇郵便振替
郵便振替口座 : 00120-9-488841  ※下6桁は右ツメ
口座名 : 社)ピースボート災害支援センター
※通信欄に「フクシマ」とご記入ください

◇銀行口座
ゆうちょ銀行 ゼロイチキュウ店(019店) : 当座0488841
口座名 : 社)ピースボート災害支援センター
※振込依頼人の前に「フクシマ」とお書きください ⇒ 例)「フクシマ ヤマダタロウ」
※三菱UFJ銀行、みずほ銀行についてはお問い合わせください

◇オンライン
インターネットを通じたご寄付は以下のリンクからお願いします

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