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核兵器禁止条約の制定に向けて-交渉会議にピースボートが参加しています

核兵器禁止条約の制定に向けて-交渉会議にピースボートが参加しています
6月19日にピースボートが国連内で開催した核兵器の非人道性に関するサイドイベント。マーシャル諸島共和国との共催
6月15日、核兵器を全面的に禁止する核兵器禁止条約の交渉会議の第二会期がニューヨークで幕を開けました。今年3月に行われた第一会期の議論を引き継ぐこの会議は、7月7日まで国連本部で行われます。現在も政府代表団や市民社会の代表者らが、議長国コスタリカが発表した条約草案をもとに連日議論を重ねています。ピースボートは第一会期に引き続きこの第二会期にも様々な形で積極的に参加をしています。
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6月19日にピースボートが国連内で開催した核兵器の非人道性に関するサイドイベント。マーシャル諸島共和国との共催
6月15日、核兵器を全面的に禁止する核兵器禁止条約の交渉会議の第二会期がニューヨークで幕を開けました。今年3月に行われた第一会期の議論を引き継ぐこの会議は、7月7日まで国連本部で行われます。現在も政府代表団や市民社会の代表者らが、議長国コスタリカが発表した条約草案をもとに連日議論を重ねています。ピースボートは第一会期に引き続きこの第二会期にも様々な形で積極的に参加をしています。

ヒバクシャ代表団がニューヨークへ

核兵器禁止条約の制定に向けて-交渉会議にピースボートが参加しています
第94回ピースボートからニューヨーク国連本部に飛んだ被爆者代表団。左から田中稔子、三瀬清一朗、砂原由起子の各氏
「ヒバクシャ(Hibakusha)」という言葉を前文に含むこの条約が今会期の終わりまでに制定されることは、長年核兵器廃絶を訴えてきた広島・長崎の被爆者の悲願でもあります。条約案の前文にはまた、世界中の核実験に苦しんできた先住民族ら被害者への言及もあります。ニューヨークの交渉の場にはその歴史的瞬間を見守ろうと、広島・長崎の原爆被害者のみならずオーストラリアやタヒチの核実験被害者など世界各地からこれまで核の被害を受けてきたヒバクシャが集まりました。ピースボートからは現在航行中の第94回ピースボートで実施している「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」(おりづるプロジェクト)の参加者から、三瀬清一朗さん(長崎の被爆者)、田中稔子さん(広島の被爆者)、砂原由起子さん(広島の被爆2世)の3名が本船を一時離脱しニューヨークに渡りました。

広島・長崎そして核実験の被害に関するサイドイベントを開催

核兵器禁止条約の制定に向けて-交渉会議にピースボートが参加しています
国連のサイドイベントで発言する田中稔子さん
ピースボートは会期中、条約制定に向けた議論がヒバクシャの声を反映するようになるよう様々な働きかけをしています。6月19日にはマーシャル諸島国連政府代表部と共催で「世界へ届けヒバクシャの声:核兵器の禁止と廃絶を人道的視点から見つめる」と題したサイドイベントを国連内で行いました。このイベントでは田中稔子さんと三瀬清一朗さんが原爆被害者として証言をした他、マーシャル諸島のカブア国連大使、日本赤十字社長崎原爆病院の朝長万左男名誉院長、タヒチで核実験場被害者の支援を続けるNGO「ムルロア・エ・タトゥ」の代表ローラン・オルダムさん、オーストラリア先住民ヤンクンチャジャラの女性で核実験の被害者の2世にあたるカリーナ・レスターさんにもそれぞれ発言していただきました。イベントに出席した70名近くの政府代表者、市民団体の代表者、メディア関係者らに対して、原点となる核兵器の人道的被害を忘れないことの重要性をアピールしました。また、おりづるプロジェクトとしてヨーロッパで行ってきたアドボカシー運動に関しては、交渉会議中毎日発行されている「Nuclear Ban Daily」という日報に寄稿し、各地で被爆者の声がどのように受け止められているかを伝えました。

作業文書を提出し発言

核兵器禁止条約の制定に向けて-交渉会議にピースボートが参加しています
条約交渉会議で作業文書をもとに発言する川崎哲
ヒバクシャの声を交渉の現場に届ける一方、ピースボートはNGOとして、議長の条約原案に対する提案という形で、作業文書の提出も行いました。5ページにわたるこの文書は、条約に含まれる「禁止事項」をより包括的にすることを求めるほか、「核兵器の廃棄と検証、保障措置」について基本的な枠組みと要素をきちんと定めた上で見直す必要性があることなどを論じています。また、条約が定める「核被害者に対する援助」については、広島、長崎、福島の教訓に学び、核被害の多面的側面に留意するよう呼びかけました。この文書に基づき6月19日の午後には川崎哲が会議の場でNGOとして発言をしました。また同日、他の日本のNGOと共同で、国連軍縮担当上級代表(事務次長)に今年就任した中満泉さんとの会談も実現し、国連として会議を牽引していく同氏と条約の重要性を再確認することもできました。交渉会議は現在進行中であり、スタッフのセリーヌ・ナオリが、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のメンバーらと外交官らへの働きかけを行っています。

世界の若者らと共に

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アンプリファイの若者らと証言交流会
核兵器禁止条約の交渉会議に合わせてニューヨークには各国から軍縮や平和にむけた活動に取り組む団体が集まっています。第二会期の開始直後の6月17日には「核兵器を禁止する女性行進」が行われ、どしゃぶりの雨にもかかわらず多くの人たちが市内を1時間かけて行進しました。行進の終わりの集会には交渉会議のホワイト議長もかけつけ、被爆者代表からは「ヒバクシャ国際署名」の目録が手渡されました。ピースボートからニューヨークに渡った被爆者らはこの機会に被爆証言を多くの人に届けるための証言活動も精力的に行いました。18日には核兵器廃絶のために世界各国で活動を続ける若者らのネットワーク「アンプリファイ(Amplify)」と証言交流会を行った他、ニューヨーク在住の日本語スピーカーを対象とした国連フォーラム勉強会でも日本語での証言会を行いました。これらの活動を通してさらに核兵器廃絶に向けた気運が高まることを期待しつつ、ピースボートとしては7月7日の交渉会議最終日までに少しでも実効性のある条約が制定されるよう引き続き取り組んでいきます。

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