2015年夏・地球大学特別プログラム「アジア共通の『人間の安全保障』」が終了しました

プロジェクト:地球大学 クルーズ: 第88回 地球一周の船旅
2015年夏・地球大学特別プログラム「アジア共通の『人間の安全保障』」が終了しました
2015年8月19日(水)から9月9日(水)にかけての22日間、ピースボートは地球大学特別プログラム「アジア共通の『人間の安全保障』は可能か」を開講しました。各国から学生を集めて英語で行うこのグローバルリーダー育成プログラムは昨年に続き2回目の取り組みです。今回は、横浜からムンバイまでの3週間に及ぶ航海を通して、学生はアジアにおける貧困問題、移民問題、自然災害の問題やエネルギー問題の具体的な事例をもとに、安全保障について学び考えました。
今年の地球大学特別プログラムには日本、韓国、中国、インド、ネパールの5カ国から15名が集まりました。前回に比べて提携大学を通しての参加が多く、日本からの5名のうち3名は東京外国語大学、2名は東京大学の学生でした。この他、海外の大学からは韓国の韓信大学校から4名、中国外交学院から3名の学生の参加がありました。ここにインドとネパールから市民団体での活動の経験が豊富なメンバーが加わり、それぞれが経験や知識を共有しあえる非常にバランスのとれたグループとなりました。

なお、東京外国語大学の学生は、「『コンフリクト耐性』を育てる地域研究教育システムの開発と国際職業人教育機能の高度化」という事業の一環としてこのプログラムを履修しました。また、東京大学の学生は、海外サマープログラムプレGEfILプロジェクトの一環として参加しました。

ワークショップで「30年後のアジア」を構想

2015年夏・地球大学特別プログラム「アジア共通の『人間の安全保障』」が終了しましたナビゲーターの一人、韓国・韓信大学校の李起豪さん(中央)
洋上で連日行われたゼミで学生は、ナビゲーターとして参加した金敬黙さん[中京大学教授]、李起豪さん[韓信大学校教授]、ラリータ・ラムダスさん[教育家・活動家]とともに「人間の安全保障(Human Security)」と「共通の安全保障(Common Security)」に関する事例を紐解いていきました。その手法は非常にユニークで、30年後のニュースの見出しを考えるシナリオワークショップや、ホームレス問題に関して政府、民間企業、労働者、市民団体などのアクターに分かれて行うロールプレイなど、普段学校でなかなか取り入れられることのない様々な学びのかたちに学生たちは意欲をみせていました。また、元国連大学副学長の武者小路公秀さんや元アフリカ国会議員でマハトマ・ガンジーの孫であるエラ・ガンジーさんなどもゲスト講師としてプログラムに参加し、学生にこれまでの経験を話してくださいました。

東京、セブ、シンガポール、ムンバイでのプログラム

2015年夏・地球大学特別プログラム「アジア共通の『人間の安全保障』」が終了しました東京・山谷と周辺のエクスポージャーで、テント生活をする方々を訪問
船が寄港した東京、セブ島(フィリピン)、シンガポール、ムンバイ(インド)の4つの港では、現地で当事者の生の声を聞くことで、洋上で学んだことの理解をさらに深めていきました。東京では山谷地区を訪れホームレスの暮らしぶりを知り、貧困がうまれる構造的な背景や格差が固定化される「見えづらさ」の仕組みについて考えました。セブ島では2013年の台風ヨランダの被害にあった北部の地域を訪れ、被害者や現地で支援を続けるNGOの職員に話を聞いた他、地元の自治体の防災対策についてもヒアリングをしました。シンガポールではバングラデシュから出稼ぎ労働者としてやってきている人たちが置かれる状況について当事者と支援者から話を聞き、シンガポール国立大学のリークワンユー公共政策大学院での移民政策に関するシンポジウムに参加しました。最後の寄港地となったムンバイでは、ダラビ地区など人口が密集する地域を実際に歩き、コミュニティ開発に関わった地元の人たちと交流しました。

アクションプランを提言

2015年夏・地球大学特別プログラム「アジア共通の『人間の安全保障』」が終了しましたエラ・ガンジーさん(右端)を囲んだゼミ
プログラム期間中、学生は2つのグループにわかれ、移民問題と自然災害の問題をそれぞれ扱いながら問題解決にむけたアクションプランの作成に取り組みました。シンガポールやセブ島でのエクスポージャーでの学びをいかしながら、国家だけに頼るのではなく、地域社会や国際的な市民ネットワークをいかしながらより多くの人にとって暮らしやすい社会を実現するためには何ができるかを提言としてまとめました。洋上では、完成したアクションプランを一般の乗船客にむけて発表する機会も設けられました。

国境をこえて問題の解決に取り組むために

2015年夏・地球大学特別プログラム「アジア共通の『人間の安全保障』」が終了しました洋上プログラムの最終日、船内でアクションプランを発表
参加した学生は「自分たちの行動が確実に社会を変えることができると思うことができた」「安全保障の問題を自分事として捉えるきっかけを与えてもらった」とプログラムの終わりに語っていました。普段ニュースを通してしか知ることのない話題を自分の目で確かめ、多様な形で社会問題の解決に取り組んできた人たちの話を聞くことで、学生が自分の信じる一歩を踏み出すきっかけになったのであればと願っています。

詳しくは報告書をご覧ください

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