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里親家庭から始まったエコビレッジ「ソルヘイマル」を訪問 ーアイスランド、レイキャビク

里親家庭から始まったエコビレッジ「ソルヘイマル」を訪問 ーアイスランド、レイキャビク
ここでは、第87回ピースボートで訪れたアイスランド(レイキャビク)での交流プログラムの様子をお伝えします。
ここでは、第87回ピースボートで訪れたアイスランド(レイキャビク)での交流プログラムの様子をお伝えします。

世界初のエコビレッジ

里親家庭から始まったエコビレッジ「ソルヘイマル」を訪問 ーアイスランド、レイキャビク
第87回ピースボートは、北欧最後の港であるアイスランドのレイキャビクに6月10日に寄港しました。

そこから東に60kmほどいくと、「Sólheimar(ソルヘイマル、意:Home of the Sun=太陽の家)」という名前の小さな村に、さまざまな障がいを持っている人々が住んでいます。世界初の本当のエコビレッジとも言われている場所です。

ピースボート参加者のグループは、持続可能で自給自足を実践しているこのコミュニティを訪問し、平等で持続可能な社会を作る可能性について学びました。

ソルヘイマルは、自然、有機農業、そして障がい者福祉に強い関心をもっていたアイスランドの女性教師、セセリヤ・シグムントドティルさんによって1930年に創設されました。

最初は「子どもの家」として始まったソルヘイマルは発展を続け、現在は100人ほどが暮らしています。その内43人は特別支援を必要とする方です。この村では、障がいで人が定義されることはありません。

住民は皆とてもアクティブに村の様々の仕事に関わっていて、自然と人間に優しい村を一緒に作り上げています。

潜在能力を最大限に引き出す

里親家庭から始まったエコビレッジ「ソルヘイマル」を訪問 ーアイスランド、レイキャビク
「ソルヘイマルが目指しているのは、一人一人が持っている潜在能力を最大限に引き出すことです」と説明してくれたのは、プロジェクト・マネージャのヘルディス・フリドリクスドティルさん。ソルヘイマルは一人一人が成長し、成功し、コミュニティにとって意味のある一員になる機会を与えています。

ヘルディスさんはまた、「社会は不自由さをもつ人々が必要としているものにこそ注目する必要があります。不自由のない人たちは、それに適応する必要があるのです。限界や制限よりも、可能性こそを重要視することが、私たちの理念なのです」と熱く語ってくださいました。

自給自足のコミュニティを実現する

里親家庭から始まったエコビレッジ「ソルヘイマル」を訪問 ーアイスランド、レイキャビク
2002年に建てられた、完全に自給自足型の家屋に訪れました。この建物は環境教育センターとして活用され、環境に悪影響を与えない持続可能な建築のモデルとして紹介されています。

「ソルヘイマルが掲げ続ける目標の一つは、自給自足的なコミュニティを実現し、有機的な方法で物を手に入れるなど、人間と自然の調和を生み出すことです。

この建物はそのよい例の一つです」とヘルディスさんは説明してくれました。この環境教育センターでは、広い年代の学生を対象に環境に関するプログラムやワークショップを開催しています。

障がい者が働く工房

里親家庭から始まったエコビレッジ「ソルヘイマル」を訪問 ーアイスランド、レイキャビク
次に、障がい者が働く工房を訪れました。ソルヘイマルには、アート、 木工、織り物 、ろうそく作り、陶芸、ハーブ栽培という6つの工房があります。より持続可能で豊かな生活ができるように、住民それぞれが売店や工房など、担当をもって活動しています。

これは利益を上げるためだけではなく、ソルヘイマルの住民たちが日常的に意味のある仕事に関わる機会をもたらすためでもあります。住民は、製作や販売を手伝うことにより、持続可能なコミュニティーの一員になる方法を学びます。

工房見学の後、住民、スタッフ、ボランティアの方たちが食事をする食堂で、昼食をとりました。メニューは、ソルヘイマルで有機栽培している野菜をつかった料理でした。

食事の後、ピースボートの参加者たちはソルヘイマルの人々に向けて折り紙やけん玉といった日本の文化を紹介しました。そして最後は皆で日本の歌を歌い、笑顔を交わし、抱擁で別れの挨拶をしました。お互いに言葉は通じなくても、一緒に楽しい時間を過ごすことができました。

広がるエコビレッジ

里親家庭から始まったエコビレッジ「ソルヘイマル」を訪問 ーアイスランド、レイキャビク
今回ソルヘイマルを訪れたピースボートの参加者グループ
この日一日を通して、特に積極的だったのは参加者の女性は、東京で障がい者ケアの仕事をしていました。彼女は、 アイスランドでこのようなエコビレッジを訪れ、直接様子を伺うことができてよかったと言います。そして「こういう風に、障がい者とそうではない人々が一緒に働きながら暮らしているのを見るのは、すばらしいことです」と話しました。

また別の参加者で幼稚園の先生を勤めている女性は、ソルヘイマルで持続可能性について学べて、とても嬉しかったと言います。「この場所は少しの努力で、より暮らしやすく持続可能な環境をつくることができる、という実例を見せてくれています」という感想を述べました。

ソルヘイマルは、村を拡大させたり建物を増やしたりといった提案を多く受けてきましたが、運営しているメンバーは、小さなエコビレッジを運営するという理念に合わせて、サイズを広げることはしていません。大きくすると、それに伴っていろいろな問題が出て来るからです。現在、ソルヘイマルで暮らすために何年も順番を待っている人々がいます。

近年では、毎年約3万人~3万5千人の訪問客があることからわかるように、ソルヘイマルは持続可能性を学べるコミュニティとして人気の観光地になっています。現在は、世界35カ国に約200ヶ所のソルヘイマルのようなエコビレッジがあると言われています。


※当記事は、英語のリポートに基づいて編集されたものです。

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