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日本が敵基地攻撃!? 軍事費倍増!?そんなことしてる場合か!? ~ 緊急抗議声明が出されました

日本が敵基地攻撃!? 軍事費倍増!?そんなことしてる場合か!? ~ 緊急抗議声明が出されました
2016年4月、軍事費に対する世界行動デー in 広島
4日21日、自民党が「国家安全保障戦略」等の改定に向けて、実質的な敵基地攻撃能力の保有や防衛費の対GDP比2パーセントをめざした大幅拡大を政府に求める提言をとりまとめました。これは、憲法の原則を逸脱し戦争への危険を高める提言であることから、全国の大学教員やNGO関係者ら20名が連名で、この提言に抗議する緊急声明を発表しました。ピースボートの川崎哲も名を連ねています。

その全文および20名の連名者リストは以下の通りです。
INFO
2016年4月、軍事費に対する世界行動デー in 広島
4日21日、自民党が「国家安全保障戦略」等の改定に向けて、実質的な敵基地攻撃能力の保有や防衛費の対GDP比2パーセントをめざした大幅拡大を政府に求める提言をとりまとめました。これは、憲法の原則を逸脱し戦争への危険を高める提言であることから、全国の大学教員やNGO関係者ら20名が連名で、この提言に抗議する緊急声明を発表しました。ピースボートの川崎哲も名を連ねています。

その全文および20名の連名者リストは以下の通りです。

【緊急声明】憲法の原則を逸脱し戦争への危険を高める自民党「安保提言」に抗議する

 今年末までに予定されている「国家安全保障戦略」など安全保障関連の3文書の改定に向け、自民党が本日提言をとりまとめた。その内容は、日本の平和憲法の原則を逸脱した、戦争への危険を高める軍拡政策の提言といわざるをえない。
 第一に、実質的な敵基地攻撃能力の保有を提言している。このたび弾道ミサイル攻撃等に対する「反撃能力」という名称が付けられたが、党内議論の経緯からして、これが敵基地攻撃能力のことを意味するのは明らかである。提言はさらに、攻撃の対象を「ミサイル基地に限定されるものではなく、相手国の指揮統制機能等も含む」としている。こうした攻撃能力を持つことは、日本が憲法の下で防衛の基本政策としてきた専守防衛を事実上反故にするものである。提言は、これが「専守防衛の考え方の下」にあると強弁しているが、実際には、日本による先制攻撃に限りなく近づくきわめて危険な政策といわざるをえない。攻撃力をもつことで、ミサイルの脅威がなくなるわけでもなければ、敵ミサイルの飛来を完全に阻止できるわけでもない。日本がこのような攻撃態勢をとれば、相手国も当然同様に反応をするだろう。いたずらに地域の軍事的緊張を高め、日本が攻撃される可能性をむしろ高めるものである。
 第二に、防衛費を「対GDP比2パーセント以上」という目標を念頭に5年以内に拡大すると提言している。すなわち、防衛費を倍増させようという宣言である。日本がこのような軍拡姿勢をとることは、アジアにおける軍備競争を加速させるものである。そもそも、防衛費の増額を政治目標として掲げるという姿勢じたい、効果的な防衛・安保政策を追求することとは相容れない。これまで、政府と防衛産業の契約や米国からの兵器導入において、さまざまな浪費や不透明性が指摘されてきた。これらを正すことが先決である。
 第三に、防衛装備移転三原則を見直し、侵略を受けている国に対しては「幅広い分野の装備の移転を可能とする」との言い方で、殺傷能力を持つ兵器の提供も検討するよう求めている。これは、日本が憲法の下で維持してきた武器輸出管理政策の根幹といえる「紛争を助長しない」という原則を放棄するものである。恣意的な解釈で歯止めが利かなくなる可能性がきわめて高い。日本が輸出する武器によって人々が殺傷されるような事態が起きることは、受け入れがたいものである。
 こうした軍拡政策を、ロシアによるウクライナへの侵略戦争で人々が不安を抱いているのに乗じて提案することは、きわめて扇動的で挑発的な行為である。抑止力の強化という名目でとられるこうした政策は、実際には、日本の平和主義に対する不信を生み、周辺国を軍事的に刺激し、結果として戦争の危険性をむしろ高めるものである。
 2年以上続くコロナ禍により、世界各国と同様、日本の社会・経済は疲弊している。医療や福祉の拡充や、格差や貧困への対策こそが急務である。ウクライナにおける戦争の長期化は、さらなる社会的・経済的悪影響をもたらしかねない。今、お金は武器にではなく、人々にこそ回さなければならないはずだ。
 与党自民党がこのような提言を出したことは、政府による安保政策改定に大きな影響をもつだろう。しかし今、日本に求められているのは軍備競争を煽ることではなく、周辺諸国との相互的な軍縮や緊張緩和のための外交であり、国連を中心とした国際法秩序の回復のための努力である。今回の自民党提言を所与のものとせず、平和憲法に基づく外交・安全保障の基本に立ち返って、与野党による幅広い視点から冷静な議論を求めるものである。

2022年4月21日
青井未帆(学習院大学教授)
秋林こずえ(同志社大学教授)
阿部浩己(明治学院大学教授)
雨宮処凛(作家・活動家)
池内了(名古屋大学名誉教授)
伊藤和子(弁護士・ヒューマンライツナウ副理事長)
内海愛子(早稲田大学平和学研究所招聘研究員)
岡野八代(同志社大学教授)
奥本京子(大阪女学院大学教授)
川崎哲(ピースボート共同代表)
君島東彦(立命館大学教授)
清末愛砂(室蘭工業大学教授)
栗田禎子(千葉大学教授)
志田陽子(武蔵野美術大学教授)
杉原浩司(武器取引反対ネットワーク(NAJAT)代表)
高遠菜穗子(イラク人道支援ワーカー)
田中煕巳(日本原水爆被害者団体協議会代表委員)
中野晃一(上智大学教授)
西川純子(獨協大学名誉教授)
菱山南帆子(許すな!憲法改悪市民連絡会事務局長)
松井芳郎(名古屋大学名誉教授)
水島朝穂(早稲田大学教授)
元山仁士郎(「辺野古」県民投票の会元代表・一橋大学大学院博士課程)
(50音順。4月21日の発表時に20名で、その後追加があり現在23名。)

この声明に関するお問合せ先

平和構想研究会 shudantekijieiken (a) gmail.com
(a)を@に変えてメールしてください。

600名以上が賛同しています

この緊急声明に、4月26日までに600名以上の方々からの賛同が寄せられています。主な賛同者は以下の方々です。
安斎育郎(安斎科学・平和事務所所長)
石川憲彦(精神科医)
伊藤公雄(京都大学)
稲葉剛(立教大学大学院客員教授)
井原聰(東北大学名誉教授)
鵜飼哲(一橋大学名誉教授)
梅林宏道(ピースデポ特別顧問)
小澤隆一(東京慈恵会医科大学教授)
加藤直樹(ノンフィクション作家)
上脇博之(神戸学院大学教授)
熊本博之(明星大学教授)
駒込武(京都大学教育学研究科教授)
佐々木寛(新潟国際情報大学教授)
佐藤学(東京大学名誉教授)
申惠丰(青山学院大学教授)
高橋博子(奈良大学教授)
高原孝生(明治学院大学教授)
竹信三恵子(ジャーナリスト)
竹峰誠一郎(明星大学教員)
田浪亜央江(広島市立大学教員)
中里見博(大阪電気通信大学教授)
中村桂子(長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)准教授)
平尾剛(神戸親和女子大学)
平山恵(明治学院大学教授)
藤井純子(第九条の会ヒロシマ世話人代表)
星川淳(作家/翻訳家)
本田由紀(社会学者)
町田ひろみ(安保関連法に反対するママの会・子どもの権利をまもる人)
山口二郎(法政大学教授)
和田征子(日本原水爆被害者団体協議会事務局次長)

600名超の賛同者一覧は以下のリンクをご覧ください。

4月28日(木)記者会見

この緊急声明に関する記者会見が4月28日(木)14:30~オンラインで行われ、ピースボートからは川崎哲が参加しました。

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