第102回ピースボートで寄港した欧州各国で、被爆証言活動と核兵器禁止条約の早期発効を呼びかけました

第102回ピースボートで寄港した欧州各国で、被爆証言活動と核兵器禁止条約の早期発効を呼びかけましたモナコの高校生に語りかける坂下さん
第102回ピースボート地球一周の船旅にて、ヨーロッパ区間でおりづるプロジェクトを実施しました。実施した区間はスペイン〜キプロスまで(2019年11月4日〜14日)です。日本被団協の協力の下、過去にもプロジェクトに参加された広島出身の被爆者である坂下紀子さんに乗船してもらいました。訪問した6つの国では、証言活動と核兵器禁止条約の早期発効に向けた要請を行いました。核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の活動の一環としての取り組みです。

アンドラ公国とスペインで、外務大臣との面会や洋上イベントを開催

第102回ピースボートで寄港した欧州各国で、被爆証言活動と核兵器禁止条約の早期発効を呼びかけましたアンドラ公国フォント外務大臣と面会
成田から飛行機を乗り継ぎ、スペイン・バルセロナへ。翌朝早く、おりづるチームは陸路でアンドラ公国へ入国しました。スペインとフランスに挟まれたアンドラ公国の人口は推定約73,000人、面積は468平方キロメートル。ピレネー山脈の中に位置し、その首都のアンドラ・ラ・ベリャは標高1030mの山あいにあります。

おりづるチームは今回、アンドラ公国のマリア・ウバック・フォント外務大臣と面会。坂下さんが2歳のときに体験し、後にお母さんから受け継いだ広島の原爆投下に関する証言を行いました。また核兵器禁止条約の1日も早い発効を支持して同国の署名批准を訴えました。フォント外務大臣は「証言を受けとめ、検討を進めていく」と応じてくれました。

その後、バルセロナからオーシャンドリーム号に合流したおりづるチームは、その日に船上でイベントを行いました。国際NGOである「World Without War and Violence (戦争と暴力のない世界 WWWV)」のスペイン支部と共同で、バルセロナ市民を対象に洋上でイベントを開催、坂下さんの証言とドキュメンタリー映像の上映を行いました。「核兵器の終わりの始まり」というタイトルのこの映像は、核兵器の歴史と、それに反対してきた人々の奮闘、核兵器禁止条約の実現への道をたどるドキュメンタリーで、2019年に完成したものです。

イベントには、 バルセロナ市長代理、現地NGO職員、ユース団体のメンバー、学生など、核問題や被爆者に関心のある人々が約80名ほど訪れました。

またこのとき国際交流プログラムで乗船中だったドイツのチュービンゲン大学の学生15名に対しても、別途洋上証言会の場がもたれました。坂下さんがお母さんから受け継いだ被爆そしてその後の生活の話に、学生たちは熱心に耳を傾けていました。

フランスとモナコで記者会見や証言会、大公と謁見

第102回ピースボートで寄港した欧州各国で、被爆証言活動と核兵器禁止条約の早期発効を呼びかけましたアルベール2世モナコ公国大公との謁見
南フランス、コートダジュールに位置する港町、マルセイユに船が寄港した11月6日、おりづるチームはICANフランスのメンバーと協力し、洋上にて記者会見と証言会を開催しました。

証言会には約50名が参加し、うち半数以上が地元の高校生や環境問題に取り組む若者団体のメンバーでした。証言のあと坂下さんは核兵器の非人道性について、そして核廃絶の一刻も早い実現を強くアピールました。ICAN フランスのジャンマリー・コリンさんは、フランスの核兵器に関する状況や、核廃絶運動の国内の動きについてコメントしました。

その後おりづるチームはいったん船を離脱し、モナコ公国へ向かいました。アルベール2世モナコ公国大公に謁見するためです。大公との面会には、ピースボートの吉岡達也も参加しました。まず原爆被害の体験について坂下さんが生の声を伝え、吉岡が「今この時代に核兵器被害について知ることの重要性」について述べました。宮殿近くにあるアルベール1世高校でも証言会を行いました。生徒たちは坂下さんの話に熱心に耳を傾け、活発に質問をしました。坂下さんには、アルベール高校の「名誉訪問者」として記念メダルが贈られました。

ギリシャとキプロスでイベント、政党や市民団体と交流

第102回ピースボートで寄港した欧州各国で、被爆証言活動と核兵器禁止条約の早期発効を呼びかけましたキプロスグリーンラインにある協力の家にて
チビタベッキア(イタリア)で再び船と合流したおりづるチームは、次の寄港地であるピレウス(ギリシア)へ向けて航海中の船内で、乗船スタッフが企画した証言会を行いました。約150名の乗船者が、坂下さんの証言と詩「祈り」の朗読に耳を傾けました。

ピレウスでは、左派政党SYRIZAのパノス・トリガズィス国際交流部長、IPPNW(核戦争防止国際医師会議)ギリシャ支部のマリア・ソティロプル代表らが港の中で歓迎セレモニーを企画してくれました。

午後からは、WWWVのギリシャ支部と共同で洋上記者会見およびイベントを開催。イベントにはNGO職員、国会議員、若者団体メンバー、学生、ギリシャ政府高官や各国大使ら、約80名が参加しました。

ドキュメンタリー映像「核兵器の終わりの始まり」の上映後、坂下さんから被爆証言があり、核兵器禁止条約の早期発効に向けてギリシャの支援を訴えました。この日のイベントは、古くからピースボート と交流のあるギリシャ市民や政治団体と新しいメンバーとの間で交流が生まれるきっかけにもなりました。

ピレウスで再び船から離脱した一行は、空路でキプロスへ向かいました。ピースボートは過去に何度もキプロスを訪れ、現地の市民団体と交流を続けてきました。2013年にはおりづるプロジェクトとして訪問し、紛争被害者との交流も行いました。

今回の訪問では、キプロス平和協議会、AKEL(労働人民党)、そしてトルコ系とギリシャ系国民が共同で運営する環境保護団体「キプロス・グリーンアクション」の事務所を訪問、キプロスが核なき世界を推進するためにできることについて話し合いを行いました。

ここでも坂下さんは証言を行い、キプロスの核兵器禁止条約への支持を訴えました。トルコ系住民とギリシャ系住民との間で南北に国が分断されているキプロスでは、今も隣国トルコと緊張関係が続いています。

キプロスで面会した3団体は、核兵器禁止条約やICANの活動についての認識がまだ浅く、この訪問で今後の関係づくりの土台となるような交流ができました。ここでは偶然にも、ナチスによるホロコーストの生還者を母親に持つ女性と出会いました。坂下さんは、戦争の悲惨さを母から聞いたという二人に通ずる経験から、絆を感じ、共に語り継いで行く決意を新たにしました。

いま、被爆者の生の声を聞く重要さ

第102回ピースボートで寄港した欧州各国で、被爆証言活動と核兵器禁止条約の早期発効を呼びかけましたバルセロナ、チュービンゲン大学の学生と意見交換
12月12日現在、核兵器禁止条約に署名した国の数は80にのぼり、その中で批准した国も34に達しています。賛同さえしていない日本やアメリカの報道を聞いていると見逃しがちですが、世界には既にこれだけの数の国、そしてそこで暮らす人々がこの条約の重要さを公式に認めています。

戦後74年目のいま、唯一の戦争被爆国である日本で、被爆体験を語ることのできる被爆者の数は減り続けています。今回の旅でも、被爆者の生の声を聞く場を、未来を担う若者や国策に直接影響をもたらすことのできる政府関係者、そしてメディアに対し設けることの大切さを改めて感じました。

この旅で生まれた新たなつながりや運動が今後さらに発展することをめざして、ピースボートができることを取り組んでいきたいと考えます。

プログラム日程とメディア掲載

第102回ピースボートで寄港した欧州各国で、被爆証言活動と核兵器禁止条約の早期発効を呼びかけましたギリシャでの船内証言会
【行程】
11/04    アンドラ公国:同国外務大臣と面会
11/05    バルセロナ(スペイン):船上イベント「核兵器の終わりの始まり」上映/チュービンゲン大学の学生らに証言
11/06    マルセイユ(フランス):船上イベント(記者会見+証言会)
11/07    モナコ:新聞取材、アルベール1世高校にて証言会、モナコ公国大公と面会
11/11     洋上にて船内証言会
11/12     ピレウス(ギリシャ):船上イベント(記者会見+「核兵器の終わりの始まり」上映)
11/14     キプロス:同国最大野党や市民団体代表らと面会

各国のメディアや国の公式WEBサイトなどで、今回の活動が取り上げられました。

マルセイユ
- Website of the city Le Rove
- La Marseillaise

モナコ
- Nice Matan
- Monaco Matan
- Monaco government website and its official Facebook page
- The official Facebook site of the Prince's Palace of Monaco

ピレウス
- Pressenza Greece

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