クラスター爆弾の基礎知識(2019年版)
ピースボート地雷廃絶キャンペーンP-MACは、地雷と同様に多くの市民を傷つけるクラスター爆弾の廃絶を目指しています。ここではクラスター爆弾の特徴や現在の被害状況、世界の動きを紹介しています。
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- プロジェクト: 地雷廃絶キャンペーン(P-MAC)
INFO
2019.11.5
2022.11.14
ピースボート地雷廃絶キャンペーンP-MACは、地雷と同様に多くの市民を傷つけるクラスター爆弾の廃絶を目指しています。ここではクラスター爆弾の特徴や現在の被害状況、世界の動きを紹介しています。
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クラスター爆弾の特徴「戦争が終わっても長年続く被害」
クラスター爆弾は、ひとつの爆弾の中に何百個もの子爆弾が入っています。爆撃機などから投下されると空中で破裂し、子爆弾が広い範囲にばらまかれます。子爆弾の中には金属の破片などが仕組まれており、建物や人の身体を貫いて破壊します。
クラスター爆弾は、広い範囲にばらまかれるため、戦争に直接関係のない人々が被害に遭うことがとても多い兵器です。クラスター爆弾の被害に遭うと、死亡する確率も高く、命が助かったとしても手や足を失ったり、体中に傷跡が残ったりと、深刻な障がいが残ります。
また、子爆弾は不発弾となって残ることがとても多く、この不発弾は地雷と同じように、半永久的にその力を持ち、人々を危険にさらします。戦争が終わった後もクラスター爆弾の被害が絶えません。
子爆弾は鮮やかな色をしているものもあり、子どもたちが興味本位で手をふれてしまい、被害に遭うことも多いです。また、不発弾の処理もたいへん危険な作業で、除去作業員への被害も多く伝えられています。
クラスター爆弾は、広い範囲にばらまかれるため、戦争に直接関係のない人々が被害に遭うことがとても多い兵器です。クラスター爆弾の被害に遭うと、死亡する確率も高く、命が助かったとしても手や足を失ったり、体中に傷跡が残ったりと、深刻な障がいが残ります。
また、子爆弾は不発弾となって残ることがとても多く、この不発弾は地雷と同じように、半永久的にその力を持ち、人々を危険にさらします。戦争が終わった後もクラスター爆弾の被害が絶えません。
子爆弾は鮮やかな色をしているものもあり、子どもたちが興味本位で手をふれてしまい、被害に遭うことも多いです。また、不発弾の処理もたいへん危険な作業で、除去作業員への被害も多く伝えられています。
クラスター爆弾の被害「被害者は子どもをはじめとした一般市民」
《被害者数》
1960年代以降 これまでに37の国と地域で21,764人の被害者(死傷者)が記録されています。クラスター爆弾の被害は他の不発弾との区別がつきにくく記録されなかったり、特に東南アジアやアフガニスタン、イラクでの広範囲の使用については記録が残されていません。推測では全体で56,000人以上が被害にあっていると考えられます。
過去最悪を記録した2016年には971人のクラスター爆弾による被害者が確認されましたが、2018年の1年間では149人と減少しました。2018年に最多の被害者が確認されたのはシリアで、不発弾によるものと空爆そのものにより65人が被害に遭いました。2016年には857人が被害にあっていたので、急激に減少しました。
2018年に9の国と地域で被害者が確認されています。(アフガニスタン、イラク、ラオス、レバノン、南スーダン、シリア、ウクライナ、イエメン、ナゴルノ・カラバフ )
2017年と2018年に判明している被害者の99%は一般市民で、52%が子どもです。いかにクラスター爆弾が無差別兵器だということがわかります。
《クラスター爆弾の埋設国》
2019年8月1日現在、29の国と地域でクラスター爆弾が不発弾となって残っています。また、2カ国にクラスター爆弾埋設国の疑いがあります。
・埋設国(2019年8月1日現在)
アフガニスタン、アンゴラ、アゼルバイジャン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、カンボジア、チャド、チリ、クロアチア、ジョージア、ドイツ、イラン、イラク、ラオス、レバノン、リビア、モンテネグロ、セルビア、ソマリア、南スーダン、スーダン、シリア、タジキスタン、ウクライナ、イギリス(フォークランド諸島)、ベトナム、イエメン、コソボ、ナゴルノ・カラバフ、西サハラ
・埋設国と疑いのある国
コロンビア、コンゴ民主共和国
《クラスター爆弾の使用》
クラスター爆弾は第二次世界大戦ではじめて使われました。その後、2014年までに少なくとも43の国と地域でクラスター爆弾が使われています。
・2010年以降クラスター爆弾使用が確認された国
カンボジア(2011年/タイ軍が使用)、リビア(2011年と2015年/リビア軍が使用)、シリア(2012年〜/シリア軍とロシア軍が使用)、スーダン(2012年~2015年/スーダン軍が使用)、南スーダン(2014年/使用者特定できず)、ウクライナ(2014年〜2015年/使用者特定できず)、イエメン(2015年〜/サウジアラビア率いる連合国軍が使用)、ナゴルノ・カラバフ(2016年/使用者特定できず)
※2016年7月以降にイラクとリビアで使用されたとの報告もある。
1960年代以降 これまでに37の国と地域で21,764人の被害者(死傷者)が記録されています。クラスター爆弾の被害は他の不発弾との区別がつきにくく記録されなかったり、特に東南アジアやアフガニスタン、イラクでの広範囲の使用については記録が残されていません。推測では全体で56,000人以上が被害にあっていると考えられます。
過去最悪を記録した2016年には971人のクラスター爆弾による被害者が確認されましたが、2018年の1年間では149人と減少しました。2018年に最多の被害者が確認されたのはシリアで、不発弾によるものと空爆そのものにより65人が被害に遭いました。2016年には857人が被害にあっていたので、急激に減少しました。
2018年に9の国と地域で被害者が確認されています。(アフガニスタン、イラク、ラオス、レバノン、南スーダン、シリア、ウクライナ、イエメン、ナゴルノ・カラバフ )
2017年と2018年に判明している被害者の99%は一般市民で、52%が子どもです。いかにクラスター爆弾が無差別兵器だということがわかります。
《クラスター爆弾の埋設国》
2019年8月1日現在、29の国と地域でクラスター爆弾が不発弾となって残っています。また、2カ国にクラスター爆弾埋設国の疑いがあります。
・埋設国(2019年8月1日現在)
アフガニスタン、アンゴラ、アゼルバイジャン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、カンボジア、チャド、チリ、クロアチア、ジョージア、ドイツ、イラン、イラク、ラオス、レバノン、リビア、モンテネグロ、セルビア、ソマリア、南スーダン、スーダン、シリア、タジキスタン、ウクライナ、イギリス(フォークランド諸島)、ベトナム、イエメン、コソボ、ナゴルノ・カラバフ、西サハラ
・埋設国と疑いのある国
コロンビア、コンゴ民主共和国
《クラスター爆弾の使用》
クラスター爆弾は第二次世界大戦ではじめて使われました。その後、2014年までに少なくとも43の国と地域でクラスター爆弾が使われています。
・2010年以降クラスター爆弾使用が確認された国
カンボジア(2011年/タイ軍が使用)、リビア(2011年と2015年/リビア軍が使用)、シリア(2012年〜/シリア軍とロシア軍が使用)、スーダン(2012年~2015年/スーダン軍が使用)、南スーダン(2014年/使用者特定できず)、ウクライナ(2014年〜2015年/使用者特定できず)、イエメン(2015年〜/サウジアラビア率いる連合国軍が使用)、ナゴルノ・カラバフ(2016年/使用者特定できず)
※2016年7月以降にイラクとリビアで使用されたとの報告もある。
クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)
2007年2月、クラスター爆弾の被害に危機感を抱いた各国政府やNGOが、ノルウェイのオスロに集まり会議を開きました。そして、2008年末までにクラスター爆弾禁止条約(通称オスロ条約)を作ることを宣言。その後、条約作りに賛同する国々が会議を重ね、2008年5月には条約案が完成しました。同年12月3~4日にはオスロで調印式が行われ、日本を含む94カ国が条約に署名しました。2019年9月末現在、120カ国が署名しています。そのうち107ヵ国が批准しています。
オスロ条約の成立には、対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)と同様、世界中のNGOが重要な役割を果たしました。クラスター爆弾廃絶を目指す世界中のNGOのネットワークであるクラスター兵器連合(CMC)が世界各地でキャンペーンを展開し、各国政府はクラスター爆弾の廃絶へ動き出しました。また条約作りにも大きな力を発揮し、その結果、ただの軍縮条約にとどまらない、被害者支援なども盛り込んだ人道的条約が完成しました。
〈クラスター爆弾禁止条約の主な内容〉
・クラスター爆弾の開発、製造、保有、移譲を禁止する
・これまで保有してきたクラスター爆弾を遅くとも8年以内に廃棄処分する
・不発弾となったクラスター爆弾を10年以内に除去する
・被害者に対して、適切な支援を提供する
・条約加盟国である他の国に対しても支援を行う
・未加盟国に対して、条約加盟を働きかける
オスロ条約の成立には、対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)と同様、世界中のNGOが重要な役割を果たしました。クラスター爆弾廃絶を目指す世界中のNGOのネットワークであるクラスター兵器連合(CMC)が世界各地でキャンペーンを展開し、各国政府はクラスター爆弾の廃絶へ動き出しました。また条約作りにも大きな力を発揮し、その結果、ただの軍縮条約にとどまらない、被害者支援なども盛り込んだ人道的条約が完成しました。
〈クラスター爆弾禁止条約の主な内容〉
・クラスター爆弾の開発、製造、保有、移譲を禁止する
・これまで保有してきたクラスター爆弾を遅くとも8年以内に廃棄処分する
・不発弾となったクラスター爆弾を10年以内に除去する
・被害者に対して、適切な支援を提供する
・条約加盟国である他の国に対しても支援を行う
・未加盟国に対して、条約加盟を働きかける
日本のクラスター爆弾対策
日本は2008年12月、クラスター爆弾禁止条約に署名しました。それまで自衛隊が保有していたクラスター爆弾は2015年2月に廃棄処分が終了しました。条約に署名した国々のうち「先進国」を中心とする一部の国は、今回締結された条約では規制されない最新式のクラスター爆弾の導入を予定していますが、日本政府は「今後いかなるクラスター爆弾も導入しない」と明言しました。また、日本政府はクラスター爆弾の被害者への支援を行い、条約未署名の国々に対しては署名を働きかけていくとしています。
『クラスター爆弾に関わる日本の課題』
日本はオスロ条約加盟国のため現在はクラスター爆弾を保有していませんが、アメリカはオスロ条約に加盟していません。そのため、在日米軍はクラスター爆弾を保有しています。日本政府は、在日米軍基地は日本の管轄外だとして米軍のクラスター爆弾使用や保有は禁じられていないと発表しています。沖縄では2010年、アメリカ軍がクラスター爆弾の投下訓練をおこなっていることが明らかになりました。
日本政府は安全保障関連法案の議論の中で、法的には自衛隊の後方支援活動として弾薬を運ぶことは可能で、その中にはクラスター爆弾も含まれるとしています。
2010年、全国銀行協会はクラスター爆弾製造そのものを目的とした銀行融資を禁止しました。一方、2017年5月にクラスター爆弾製造企業への投融資についての調査結果が発表され、日本はオスロ条約の加盟国の中では最も多い4つの金融機関が投融資していることが判明し、金額も加盟国の中で最大でした。2017年12月、すべての金融機関が、目的にかかわらず製造企業への投融資を禁止するよう方針を変更しました。
2017年、国民の年金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」がクラスター爆弾製造企業の株式を保有していることが明らかになりました。
クラスター兵器連合(CMC)は2009年にクラスター爆弾を製造している企業に対する投資を禁止するキャンペーンを立ち上げました。日本では、CMC傘下の団体である地雷廃絶日本キャンペーン(JCBL)が金融機関への働きかけを続けてきたことが、この投融資禁止につながりました。JCBLは引き続き、クラスター爆弾の製造を補助するあらゆる行為を禁止するための法整備をすることを政府に求めています。
※オスロ条約の第一条には「この条約によって締約国に対して禁止されている活動を行うことにつき、いずれかの者に対して、援助、奨励し、又は勧誘すること」をおこなってはならないと書かれています。そのため、クラスター兵器連合(CMC)は、クラスター爆弾製造企業への投融資も禁止されていると判断し、投融資をなくすための活動をおこなっています。すでに法律により投融資を禁止した国もあります。
参考: 「Cluster Munition Monitor 2019」 クラスター兵器連合(CMC)発行
『クラスター爆弾に関わる日本の課題』
日本はオスロ条約加盟国のため現在はクラスター爆弾を保有していませんが、アメリカはオスロ条約に加盟していません。そのため、在日米軍はクラスター爆弾を保有しています。日本政府は、在日米軍基地は日本の管轄外だとして米軍のクラスター爆弾使用や保有は禁じられていないと発表しています。沖縄では2010年、アメリカ軍がクラスター爆弾の投下訓練をおこなっていることが明らかになりました。
日本政府は安全保障関連法案の議論の中で、法的には自衛隊の後方支援活動として弾薬を運ぶことは可能で、その中にはクラスター爆弾も含まれるとしています。
2010年、全国銀行協会はクラスター爆弾製造そのものを目的とした銀行融資を禁止しました。一方、2017年5月にクラスター爆弾製造企業への投融資についての調査結果が発表され、日本はオスロ条約の加盟国の中では最も多い4つの金融機関が投融資していることが判明し、金額も加盟国の中で最大でした。2017年12月、すべての金融機関が、目的にかかわらず製造企業への投融資を禁止するよう方針を変更しました。
2017年、国民の年金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」がクラスター爆弾製造企業の株式を保有していることが明らかになりました。
クラスター兵器連合(CMC)は2009年にクラスター爆弾を製造している企業に対する投資を禁止するキャンペーンを立ち上げました。日本では、CMC傘下の団体である地雷廃絶日本キャンペーン(JCBL)が金融機関への働きかけを続けてきたことが、この投融資禁止につながりました。JCBLは引き続き、クラスター爆弾の製造を補助するあらゆる行為を禁止するための法整備をすることを政府に求めています。
※オスロ条約の第一条には「この条約によって締約国に対して禁止されている活動を行うことにつき、いずれかの者に対して、援助、奨励し、又は勧誘すること」をおこなってはならないと書かれています。そのため、クラスター兵器連合(CMC)は、クラスター爆弾製造企業への投融資も禁止されていると判断し、投融資をなくすための活動をおこなっています。すでに法律により投融資を禁止した国もあります。
参考: 「Cluster Munition Monitor 2019」 クラスター兵器連合(CMC)発行