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買ってはいけない!路上の商品。子どもたちのために観光客ができることは?−カンボジア

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ムロップタパンが扱うフェアトレード商品を購入する
ここでは、第97回ピースボート・アジアグランドクルーズで訪れたカンボジア(シアヌークビル)のツアーを紹介します。カンボジアでは、めざましい経済成長を遂げる一方で、そこから取り残された貧困世帯も増加しています。ツアーでは、若者や子どもを支援するNGOの活動を学びながら、観光客として貧しい子どもたちとどのように向き合えばよいのかについても考えました。
ムロップタパンが扱うフェアトレード商品を購入する
ここでは、第97回ピースボート・アジアグランドクルーズで訪れたカンボジア(シアヌークビル)のツアーを紹介します。カンボジアでは、めざましい経済成長を遂げる一方で、そこから取り残された貧困世帯も増加しています。ツアーでは、若者や子どもを支援するNGOの活動を学びながら、観光客として貧しい子どもたちとどのように向き合えばよいのかについても考えました。

発展する港町で進む、若者の貧困

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収益を社会貢献事業に活用するレストラン「サンダン」
カンボジアの主要な港であるシアヌークビルは、急速な経済成長を遂げています。建設業や製造業、観光業などには多額の投資がされ、その恩恵を得ようとカンボジア中から人々がこの港町に移住してきます。

ところが多くの人々は、雇用主が求めるスキルがなく、また学校教育を受けていません。そのため、適切な職を得ることができず、シアヌークビルのスラム街に住むようになります。

さらに彼らの子どもたちは、貧困と搾取の悪循環に陥ってしまいます。ピースボート参加者は、この問題の改善に取り組む複数のNGOの活動を学びました。

子ども、若者を救うレストラン

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参加者はまず、NGO「ムロップタパン」(クメール語で、保護する傘の役割を果たす木という意味)が運営する「サンダン」というレストランを訪れました。「ムロップタパンは、若者に就職のためのスキルを提供する東南アジアのレストランネットワークが支援しているグループです。

まず、ムロップタパンのイブ・ソックさんがプレゼンテーションを行い、危険な状態にある若者やその家族を総合的に支援するシステムを通して、どのように子どもや若者を性的搾取や労働力の搾取から守っているのかについて説明しました。

ソックさんは次のように語りました。

「2003年から、ムロップタパンのプログラムは若者の成長のために全ての分野を支援しました。例えば、親睦プログラムや家族の仲裁、医療の手配、家の修理の支援、若者の就業を支援するための職業訓練プログラムを提供しました。また、依存症の人のためのサービスや、危険な状況に置かれた子どものための緊急避難所の設置も行っています。さらに、補足的な半日の教育プログラムを提供することにより、多くの子どもが家族で初めて学校に通えるようになりました」。

シアヌークビルには約500人のストリートチルドレンがいると言われ、そのうち350人がムロップタパンのプログラムに参加しています。2017年に、ムロップタパン は全体で約5000人の地元の子どもと2000世帯を支援しました。

「責任ある観光客」であるために

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NGOチャイルドセーフのラタナ・オークさん(右)
次にNGO「チャイルド・セーフ」を訪れました。チャイルドセーフは、18か国(日本も含む)に拠点がある国際的な組織で、子どもに安全な環境を提供する活動をしています。

チャイルドセーフのチームリーダーであるラタナ・オークさんは、誰でも責任感ある観光客になることはできると言います。

彼は、その土地特有の文化や社会の仕組みを熟知している地元の人の案内でのみ若者と関わり、子どもを見世物にするようなツアーを避けることが大切だと語りました。また、路上で子どもたちが販売する商品を買わないよう助言しました。

「多くの観光客は、路上の商品を買うことで子どもを助けていると思っています。しかし、路上での商売をさせている大人に搾取されていることが多く、実際には子どもに危害を加えてしまうことになります。私たちは、観光客の善意の行動が良い結果に結びつくよう活動しています」(ラタナさん)。

NGOを支えるレストラン

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サンダンの人気デザート、ココナッツアイスクリームと揚げバナナ
参加者はこの後、サンダンでカンボジア料理のランチをいただきました。新鮮な胡椒の実やカレー味のビーフシチューなど、カンボジアで人気のコース料理です。

ムロップタパンが加盟するこのレストランネットワークでは、ラオス、タイ、ミャンマーでもレストランを運営して、NGOの運営を支援しています。

レストランでの収入によって、ムロップタパンは子どもたちが学校を卒業し、安定した仕事を得るための支援に集中することができています。

その商品はどこから来たのか?

食事の後は、フェアトレード商品やムロップタパンで職業訓練を受けている人が製作した手工芸品を購入する機会がありました。

ツアー参加者は、チャイルドセーフの活動の原則にあったように、責任ある消費者として流通ルートがはっきりしているこれらの商品を購入しました。

参加者の男性は、ムロップタパン、サンダンレストラン、そしてチャイルドセーフの協力関係に感銘を受けたと言います。「長い間日本でボランティア活動を行っていましたが、海外ではボランティアがどう行われているのか見たいと思っていました。カンボジアの子どもたちを助ける総合的な支援活動に本当に感激しました」。

別の女性は、シアヌークビルの若者に対する地元の支援についてより深く学ぶために、このツアーに参加したと言います。「観光客として、どう子どもたちと関わればよいのかについて多くを学ぶことができました。自分では気づいていなかった多くのことに気付かされました」。

シアヌークビルで学んだ「責任ある観光客」になるための知識は、旅先で何を買うか迷ったときの道しるべとなることでしょう。

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