「フクシマ連帯アピール」を発表しました
第79回クルーズの船上では、2013年5月12日フランス(ル・アーブル)から16日スウェーデン(ストックホルム)間にて、世界各国の専門家やNGOを集めた会議が「洋上脱原発世界会議」と銘打って開催されました。
活発な議論のすえ、会議の最終日には、福島のすべての被災者に対する権利の保障を求める「フクシマ連帯アピール」がとりまとめられ、発表されました。
活発な議論のすえ、会議の最終日には、福島のすべての被災者に対する権利の保障を求める「フクシマ連帯アピール」がとりまとめられ、発表されました。
- プロジェクト: 脱原発
- 寄港地エリア: ヨーロッパ
- クルーズ: 第79回 地球一周の船旅
INFO
2013.5.18
2019.3.26
第79回クルーズの船上では、2013年5月12日フランス(ル・アーブル)から16日スウェーデン(ストックホルム)間にて、世界各国の専門家やNGOを集めた会議が「洋上脱原発世界会議」と銘打って開催されました。
活発な議論のすえ、会議の最終日には、福島のすべての被災者に対する権利の保障を求める「フクシマ連帯アピール」がとりまとめられ、発表されました。
活発な議論のすえ、会議の最終日には、福島のすべての被災者に対する権利の保障を求める「フクシマ連帯アピール」がとりまとめられ、発表されました。
フクシマ連帯アピール 2013年5月17日
第 79 回ピースボート船上にて
序文
福島で起きた壊滅的な原発事故は、一国の問題ではなく世界の問題である。この事故は 現在も進行中であり事態は絶えず変化しており、解決にはほど遠い状況である。高放射線 量地域に住む約 200 万人の住民は、現在もこの事故による影響を受け続けている。 この宣言を作成している時点で、被災者は誰一人として恒久的な再定住に関して公式な支 援を受けていない。
私たちは、ピースボートの第 79 回ピースボート地球一周航海に集結し、直接被災した 方々から福島に関する状況について学び、情報の共有を行い、議論した。そして福島の人々に連帯のメッセージを送る。
この議論を通して国際社会の代表は、過度の人権侵害が行われていると結論づけた。私
たちは福島県在住者や原発立地市町村長、国際社会および各国首脳に以下のことを呼びか
ける。
1.原子力事故の被害における認識
福島での原発事故は国際原子力機関(IAEA)の国際原子力事象評価尺度(INES)に基づい てレベル 7 に分類された。しかし日本当局は事故が自然災害であると主張しつづけており、 地震が多発する地域に原子炉を設計・建設した国や東電、GE、東芝、日立の責任、および 放射線の健康リスクを過小評価した責任を軽んじている。現在まで、設計不良で建設され た認識される原子炉の故障によって危険線量の放射線に被曝した被災者に対し賠償金は支 払われていない。
・福島第一原子力発電所の事故は原発災害であり、深刻で長期的な放射線の脅威を生物や 環境に与えていることを公に認めるよう日本政府に要求する。
2.身体の安全と福祉を受ける普遍的な権利の保護
 世界人権宣言の第 3 条には「すべての人は、生命、自由及身体の安全に対する権利を有 する」と書かれており、一方、第 25 条 1 項には、「すべての人は、衣食住、医療及び必 要な社会的施設などにより、自己及び家族の健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権 利並び失業、疾病、心身障害、配偶者の死亡、老齢、その他不可抗力による生活不能の場 合は、保障を受ける権利を有する」とある。福島第一原子力発電所の事故により被害を受 けた日本国民の安全は国によって保障されなければならない。 長期的に医療診断や病歴の調査および記録を残すことは非常に重要である。このために は、これらの過程に対する独立性を持ち透明性のある管理方法を作ることが必要である。 日本の医師は、被災者一人一人の長期研究を通して今回の大惨事における医学的影響につ いて体系的な調査を行うために国民の信任を得る必要がある。
3.福島の全ての被災者の速やかな再定住の保障
私たちは(自然環境の放射能を除く)あらゆる放射能に曝されることは人間にとって危 険であると強く信じる。現在、福島の住民は常に危険なレベルの放射能に曝されている。 福島第一原発の事故前までは年間 1 ミリシーベルトが安全な許容量の上限とされていた。 この標準は、すでに人間の健康を危険に曝しているが、事態が進むにつれて年間 20 ミリ シーベルトまで緩和されてしまった(ほとんど原発労働者が健康に影響を受けると見られ る量に等しい)。
・行政当局から必要な全ての援助と保障を受け、安全な環境に再定住することは、 放射能 に曝された者の権利である。
・私たちは、即時に再定住を必要とする人々の数を認識し、事故前の年間 1 ミリシーベル トの安全基準に引き戻すことを、日本国政府に要求する。
・私たちは、最終的には全ての被災した国民の恒久的再定住のための資金を提供すること を日本国政府に要求する。
4.安全な生活圏を保証する中での子供の権利の支持
世界人権宣言の第 25 条2項(母と子とは、特別の保護及び援助を受ける権利を有する すべての児童は、嫡出であると否とを問わず、同じ社会的保護を受ける」と書かれている 子どもは特に社会的弱者である。東日本大震災の被災者の子供たちを保護するための法的 な枠組みは存在はするが、目下有効に実施されてはいない。
私たちは日本国政府が、2014 年 3 月 31 日までに子供たちを保護する既存の法令を実行 するための、実際的且つ有効な対策を講じることを要求する。
情報入手の手段の確保
世界人権宣言の第 19 条では「全ての人は、意見および表現の自由に対する権利を有す る。この権利は干渉を受けることなく自己の意見を持つ自由並びにあらゆる手段により、 また、国境を越えると否とに関わりなく情報および思想を求め、受け、及び伝える自由を 含む」と規定している。福島第一原発の作業員を含む被災者は、放射線量および、刻一刻 と変わる原発の実情に関する正確かつ包括的な情報を、独立した研究所から無制限に入手 する権利を有する。広島や長崎の被爆者に対して行われた容認しがたい対応とは異なり、 福島の住民は自身の全医療記録にアクセスし、そのコピーを入手できるようにすべきである。
政治参加および参加可能な意思決定
世界人権宣言の第 21 条の第1項では、「全ての人は、直接に、または自由に選出された 代表を通じて自国の政治に参与する権利を有する」と謳っている。しかし個人や地方自治 体は、国の意思決定プロセスに十分に介入できない。もし、それが可能であれば、現在日 本が依存している原子力エネルギーの代替策や再生可能エネルギーへの転換に関する対話 を始める一歩にもなる。
私たちは日本国政府に直ちに行動を起こすことを緊急に訴えたい。
そして国際社会に対し、これらの問題提起を適切な場所で行うこと、そして関係当局に圧力を掛けていくよう緊急に呼びかける。
第 79 回ピースボート船上にて
序文
福島で起きた壊滅的な原発事故は、一国の問題ではなく世界の問題である。この事故は 現在も進行中であり事態は絶えず変化しており、解決にはほど遠い状況である。高放射線 量地域に住む約 200 万人の住民は、現在もこの事故による影響を受け続けている。 この宣言を作成している時点で、被災者は誰一人として恒久的な再定住に関して公式な支 援を受けていない。
私たちは、ピースボートの第 79 回ピースボート地球一周航海に集結し、直接被災した 方々から福島に関する状況について学び、情報の共有を行い、議論した。そして福島の人々に連帯のメッセージを送る。
この議論を通して国際社会の代表は、過度の人権侵害が行われていると結論づけた。私
たちは福島県在住者や原発立地市町村長、国際社会および各国首脳に以下のことを呼びか
ける。
1.原子力事故の被害における認識
福島での原発事故は国際原子力機関(IAEA)の国際原子力事象評価尺度(INES)に基づい てレベル 7 に分類された。しかし日本当局は事故が自然災害であると主張しつづけており、 地震が多発する地域に原子炉を設計・建設した国や東電、GE、東芝、日立の責任、および 放射線の健康リスクを過小評価した責任を軽んじている。現在まで、設計不良で建設され た認識される原子炉の故障によって危険線量の放射線に被曝した被災者に対し賠償金は支 払われていない。
・福島第一原子力発電所の事故は原発災害であり、深刻で長期的な放射線の脅威を生物や 環境に与えていることを公に認めるよう日本政府に要求する。
2.身体の安全と福祉を受ける普遍的な権利の保護
 世界人権宣言の第 3 条には「すべての人は、生命、自由及身体の安全に対する権利を有 する」と書かれており、一方、第 25 条 1 項には、「すべての人は、衣食住、医療及び必 要な社会的施設などにより、自己及び家族の健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権 利並び失業、疾病、心身障害、配偶者の死亡、老齢、その他不可抗力による生活不能の場 合は、保障を受ける権利を有する」とある。福島第一原子力発電所の事故により被害を受 けた日本国民の安全は国によって保障されなければならない。 長期的に医療診断や病歴の調査および記録を残すことは非常に重要である。このために は、これらの過程に対する独立性を持ち透明性のある管理方法を作ることが必要である。 日本の医師は、被災者一人一人の長期研究を通して今回の大惨事における医学的影響につ いて体系的な調査を行うために国民の信任を得る必要がある。
3.福島の全ての被災者の速やかな再定住の保障
私たちは(自然環境の放射能を除く)あらゆる放射能に曝されることは人間にとって危 険であると強く信じる。現在、福島の住民は常に危険なレベルの放射能に曝されている。 福島第一原発の事故前までは年間 1 ミリシーベルトが安全な許容量の上限とされていた。 この標準は、すでに人間の健康を危険に曝しているが、事態が進むにつれて年間 20 ミリ シーベルトまで緩和されてしまった(ほとんど原発労働者が健康に影響を受けると見られ る量に等しい)。
・行政当局から必要な全ての援助と保障を受け、安全な環境に再定住することは、 放射能 に曝された者の権利である。
・私たちは、即時に再定住を必要とする人々の数を認識し、事故前の年間 1 ミリシーベル トの安全基準に引き戻すことを、日本国政府に要求する。
・私たちは、最終的には全ての被災した国民の恒久的再定住のための資金を提供すること を日本国政府に要求する。
4.安全な生活圏を保証する中での子供の権利の支持
世界人権宣言の第 25 条2項(母と子とは、特別の保護及び援助を受ける権利を有する すべての児童は、嫡出であると否とを問わず、同じ社会的保護を受ける」と書かれている 子どもは特に社会的弱者である。東日本大震災の被災者の子供たちを保護するための法的 な枠組みは存在はするが、目下有効に実施されてはいない。
私たちは日本国政府が、2014 年 3 月 31 日までに子供たちを保護する既存の法令を実行 するための、実際的且つ有効な対策を講じることを要求する。
情報入手の手段の確保
世界人権宣言の第 19 条では「全ての人は、意見および表現の自由に対する権利を有す る。この権利は干渉を受けることなく自己の意見を持つ自由並びにあらゆる手段により、 また、国境を越えると否とに関わりなく情報および思想を求め、受け、及び伝える自由を 含む」と規定している。福島第一原発の作業員を含む被災者は、放射線量および、刻一刻 と変わる原発の実情に関する正確かつ包括的な情報を、独立した研究所から無制限に入手 する権利を有する。広島や長崎の被爆者に対して行われた容認しがたい対応とは異なり、 福島の住民は自身の全医療記録にアクセスし、そのコピーを入手できるようにすべきである。
政治参加および参加可能な意思決定
世界人権宣言の第 21 条の第1項では、「全ての人は、直接に、または自由に選出された 代表を通じて自国の政治に参与する権利を有する」と謳っている。しかし個人や地方自治 体は、国の意思決定プロセスに十分に介入できない。もし、それが可能であれば、現在日 本が依存している原子力エネルギーの代替策や再生可能エネルギーへの転換に関する対話 を始める一歩にもなる。
私たちは日本国政府に直ちに行動を起こすことを緊急に訴えたい。
そして国際社会に対し、これらの問題提起を適切な場所で行うこと、そして関係当局に圧力を掛けていくよう緊急に呼びかける。
フクシマ連帯アピール
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