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地雷の基礎知識(2019年版)

地雷の基礎知識(2019年版)
P-MACは地雷除去支援や被害者への支援を進めると同時に、これらがどんな性質を持っている兵器で、どのような構造の元で世界に広がっているのかについても伝える活動をしています。ここでは地雷の特徴や被害者数、最近の使用状況、日本や世界の取り組みなどについて紹介しています。

※2022年最新版は一番下にある「この記事を読んだ方におすすめ」のリンクからご覧ください。
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P-MACは地雷除去支援や被害者への支援を進めると同時に、これらがどんな性質を持っている兵器で、どのような構造の元で世界に広がっているのかについても伝える活動をしています。ここでは地雷の特徴や被害者数、最近の使用状況、日本や世界の取り組みなどについて紹介しています。

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地雷の特徴「被害者の多くは戦争と関係ない一般市民」

地雷の基礎知識(2019年版)
地雷は、地中や地上に設置され、人や車両が踏んだり触れたりすることで爆発する兵器です。自分たちの土地の周辺に埋めることで敵の侵入を防いだり、敵が通るであろう場所で待ち伏せ攻撃するために使われます。他の兵器とは異なる地雷の大きな特徴を4つ紹介します。

1.「人を殺すこと」を目的としない兵器
多くの地雷は、兵士の手足を失わせることを目的に作られています。そうすることで、傷ついた兵士を他の兵士2~3人が病院まで運ぶため、戦える敵の兵士の数を減らすことができます。 また、手足を失い苦しむ姿を他の兵士が見ることで、戦う気力を失わせることができます。地雷は身体的にも精神的にもダメージを与える兵器です。

2.残り続ける
一度埋められると、戦争が終わっても誰かが踏むか地雷除去するまで残り続けます。

3.人を選ばない
地雷は攻撃する相手を選びません。そのために被害者の7割以上は戦争とは関係のない一般市民です。 戦後、農作業中や買い物のため外出中、通学途中などふつうの生活の中で地雷被害に遭う人々、子どもたちがいます。

4.安い
地雷は1つ300円程度。戦費が少ない軍隊にとって使いやすい兵器です。1970~90年代に各地で頻発した内戦で多くの地雷が使われ、今も約60カ国に地雷が埋まっています。

地雷の被害「多くの子どもが被害にあっています」

地雷の基礎知識(2019年版)
黒=地雷埋設国 グレー=地雷除去が終了した国
《地雷埋設国》
60の国と地域が地雷埋設国で、その多くがアジアとアフリカにあります。(2018年11月現在)

・特に地雷汚染が多い国と地域(地雷汚染地域が100㎢以上)
アフガニスタン、アンゴラ、アゼルバイジャン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、カンボジア、チャド、クロアチア、イラク、タイ、トルコ、イエメン、西サハラ


《被害者数》(地雷、クラスター爆弾、不発弾による被害を含む)
2017年の1年間に判明しているだけで49の国と地域で7,239人が被害にあいました。そのうち、2,793人が死亡し、4,431人は負傷、15人は不明です。被害者の87%は戦争と関係ない市民で、そのうち47%は子どもでした。

紛争や大規模な暴力が続いている国々、特にアフガニスタンやシリア、そしてウクライナ、イラク、パキスタン、ナイジェリア、ミャンマー、リビア、イエメンでも多くの被害が出ています。

1999年には9,228人だった被害者数は以降、毎年若干の増減はありますが減少を続けていました。2014年には3,678人になりましたが、2015年には6,461人、そして2016年は8,605人に急増しました。 2017年には若干減少しましたが、依然高い被害者数が続いています。

紛争地などで被害者数の記録をとることは難しく、このほかにも報告されていない被害者が多数いると推測されるため、実際にはより多くの被害者がいると思われます。

・2017年の被害者数が100人以上報告された国
アフガニスタン(2,300人)
シリア(1,906人)
ウクライナ(429人)
イラク(304人)
パキスタン(291人)
ナイジェリア(235人)
ミャンマー(202人)
リビア(184人)
イエメン(160人)
チャド(146人)
マリ(133人)


《最近の地雷の使用》(2017年10月~2018年10月)
ミャンマー政府が地雷を使用したことが確認されています。少なくとも8ヵ国(アフガニスタン、コロンビア、インド、ミャンマー、ナイジェリア、パキスタン、タイ、イエメン)で非政府武装クループが使用しました。IS(イスラミックステート)がイラクとシリアで地雷を使用したと考えられますが、その地域へのアクセスができないため確認ができません。

地雷の種類

地雷の基礎知識(2019年版)
世界では約340種類の地雷が存在するといわれています。

【対戦車地雷】
サイズは直径30~50cmと大きく、地中に埋めて使われます。車両や戦車などを爆発させる目的でつくられたため、150kg以上の重さがかかると爆発します。

【対人地雷】
1.爆破型地雷
直径は約5~15cm。 地中に埋めて使われます。どのくらいの重さで爆発するかは種類によって異なりますが、多くは数キロの重さで爆発します。 構造が単純で大量生産がしやすいです。

2.破砕型地雷
地中に埋めず地表の物陰などに隠して使用します。 爆発で地雷本体が細かく砕けて、周囲20~30mに時速100kmで四方に飛び散り、その破片で標的を殺傷します。種類によっては内部に鉄くずや鉄球が詰めてある物もあります。 ワイヤーを安全ピンにつなげておき、標的がワイヤーに足をかけると安全ピンがはずれ、起爆装置が作動します。

3.跳ね上げ型地雷
地雷本体が地面からはね上がり、地表から1~2mの空中で爆発します。 他の地雷とは違い、人の胴体・内蔵・頭部に大きな被害を与えるのが特徴です。

4.指向性地雷
地表に設置し、リモコン操作やワイヤーを引き抜くことで爆発します。地雷の前方向のみに爆発して、中の鉄球が広範囲に飛び散ります。

5.散布型地雷
航空機やヘリコプターなどからばらまく地雷です。それぞれが小さく目立たない色をしているため、気づかずに踏んでしまいます。子どもが興味を持つような形をしているため、地雷とは知らずに拾い上げて被害にあうことも多いです。

6.スマート地雷
自己破壊装置、または自己不活性化装置付きのためスマート(かしこい)地雷と呼ばれます。一定時間後に自爆したり、爆発しないようになります。しかし、これが正しく動作する確率は7割以下という報告もあり、本当に無力化しているかどうかは爆発させてみないと分かりません。

対人地雷全面禁止条約「市民がつくった条約」

地雷の基礎知識(2019年版)
対人地雷全面禁止条約(通称オタワ条約)が1997年に成立、現在164カ国が参加しています。(2019年1月7日時点)

〈対人地雷全面禁止条約の主な内容〉
・対人地雷の使用、貯蔵、生産、移譲の禁止
・埋設地雷の除去、被害者支援を進めること
・これまで貯蔵していた地雷の廃棄
・地雷被害国への地雷対策のための資金や技術の支援

「市民がつくった条約」
1990年代には多くの人々が日々地雷被害に遭っていました。その状況を知った世界中のNGOなどがネットワークNGO「地雷禁止国際キャンペーン (ICBL)」をつくり、国々を巻き込んでオタワ条約を成立させました。その功績が認められ、ICBLは1997年にノーベル平和賞を受賞しました。世界の4分の3以上の国が地雷を禁止することで、新たな地雷埋設は年間数か国にとどまっています。ICBLは毎年各国の地雷の状況をモニタリングし、非締約国にはオタワ条約への参加を呼び掛けています。

日本の地雷対策

かつては地雷を製造し、自衛隊が約100万個の地雷を持っていました。1999年にオタワ条約に加盟し、2003年には保有していた地雷の廃棄作業を終えました。地雷除去のための技術開発や訓練に使用するための地雷は持つことができるため、15,000個の地雷を残していましたが、2010年末にはその数が2,673個まで減少しています。

また、カンボジアやイラク、アフガニスタンなどの埋設国へ除去のための資金援助を行っています。2017年には36億円を18の国と国連機関に援助しています。これはアメリカ、ドイツ、EU、ノルウェーに次いで5番目に多い援助額です。


参考:「地雷リポート」神保哲生著(1997)、「Landmine Monitor 2018」ICBL発行

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