世界20の核兵器製造企業に329の金融機関が55兆円を提供。日本からは7銀行等が2兆円―ICANが新レポートを発表

プロジェクト:核廃絶
世界20の核兵器製造企業に329の金融機関が55兆円を提供。日本からは7銀行等が2兆円―ICANが新レポートを発表
昨年のノーベル平和賞受賞団体である核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)とオランダの平和団体PAXは、3月7日、2018年版「核兵器にお金を貸すな」レポートを発表しました。このレポートは、世界の銀行・金融機関の2014年1月から2017年10月の核兵器製造企業への投融資の状況を調査したものです。その結果、世界20の企業が核兵器の脅威の高まりによって利益を得ていることを明らかにしました。
また、日本からは7銀行・金融機関が、2014年1月から2017年10月の間に、合計185億ドル(1.9兆円)以上を核兵器製造企業に提供していることがわかりました。

ピースボートはICANの国際運営団体として、これら日本の銀行等に関わる情報を日本語で公開しました。

核兵器の脅威で儲けているのは誰か

世界20の核兵器製造企業に329の金融機関が55兆円を提供。日本からは7銀行等が2兆円―ICANが新レポートを発表
「核兵器にお金を貸すな」2018年のレポートによると、

● 2014年1月から2017年10月にかけて、総額5,250億ドル(約55兆円)ものお金が核兵器製造企業に提供されていたことがわかりました。このうち1,100億ドル(約11.5兆円)は、ブラックロック、バンガード、キャピタル・グループのたった3社によるものでした。
● 24カ国329の銀行、保険会社、年金基金、資産運用会社が核兵器に少なからず投資しています。
● 核兵器の脅威の高まりにより世界20の核兵器製造企業が誰よりも利益を得ており、その多くがワシントンDCでのロビー活動の資金となっています。
● 一方で、国連での核兵器禁止条約の採択以降、30社が核兵器への投資を止めています。
● 世界でもっとも大きな5つの年金基金のうち、2つは核兵器から投資引き揚げを行っています。

「トランプ米大統領による核戦争の脅しで誰が利益を得るのだろうと疑問に思っていた方へ、このレポートが答えです」とベアトリス・フィンICAN事務局長は言いました。「民間人を大量殺戮することで利益を得るのはこれらの会社です。私たちが安全を奪われていく間に、彼らはハルマゲドン(世界の終わり)にお金を貸すことで儲けているんです。」

「新たな核軍備競争は、世界の終わりへ向かって終末時計の針を進めていますが、それは同時に、大量破壊で儲けたい人々の新たな核のゴールドラッシュの幕開けともなりました」とフィン事務局長は語りました。

このレポートは、大量破壊兵器への投融資額の大幅な増大を明らかにする一方で、核兵器の製造に関わるあらゆる企業への投融資を禁止または制限する方針を持つ63の金融機関も公開しています。

このレポートの共著者、ICANの国際運営団体PAXのスージー・スナイダーは、この前向きな動きに着目しています。「核兵器禁止条約が、投資引き揚げに対する機運を高めました。それは、核兵器に融資する企業が10%減り、いかなる形の融資も包括的に禁止する金融機関が増えたことに表れています。投融資というのは中立なものではありません。人道の立場に立つこれらの会社は称賛されるべきです」

日本の7つの銀行・金融機関には質問状を送付

世界20の核兵器製造企業に329の金融機関が55兆円を提供。日本からは7銀行等が2兆円―ICANが新レポートを発表
レポートによると、日本からは、千葉銀行、三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャル・グループ、野村グループ、オリックス、三井住友フィナンシャル・グループ、三井住友トラストの7社(アルファベット順)が、20の核兵器製造企業に合計185億ドル以上(約1.9兆円)を提供していることがわかりました。その日本の銀行等に関する情報(英語および日本語訳)はページ下からダウンロードできます。ピースボートは3月6日付でこの7社への質問状を送付しました。質問状のテキストも、ページ下からダウンロードできます。

ICANの国際運営委員であるピースボートの川崎哲は、「国連で核兵器禁止条約が採択され、核兵器は非人道兵器として違法化されました。また、日本は唯一の戦争被爆国であり、核兵器の非人道性を国際的に発信していく道義上の責務を負っています」と指摘し、「日本の銀行・金融機関が核兵器の製造企業に融資をすることは、人道法上、また倫理上、大きな問題をはらんでいます。今回指摘された7社には、この問題をどのように捉えているのか説明をしていただきたい」と述べました。川崎はまた、昨年日本国内の複数の大手銀行がクラスター爆弾製造企業への投融資を禁止したことをふまえ「人道法の考え方に基づく同様の取り組みを、核兵器にも適用する銀行が日本に現れることを期待しています」と語りました。

銀行等からの反応について

ここではピースボートが質問状を出した銀行等から回答があった場合にその概要を随時ご紹介します。
※質問状をお送りした全7銀行等より以下の通り回答がありました。

● 千葉銀行
3月7日、千葉銀行より連絡があり、同社は「核兵器関連企業と認識しての融資ではない。いまは融資していない」との認識であるとのことでした。


● 三井住友フィナンシャルグループ
3月13日、三井住友フィナンシャルグループの企画部CSR室より書面での回答がありました。
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2018年3月12日
株式会社三井住友フィナンシャルグループ
企画部CSR室

2018年3月6日付質問状へのご回答

平素はお世話になっております。

頂きました質問状を拝見いたしました。

個別の取引状況についてご回答は差し控えさせていただきますが、弊社グループでは、与信業務の普遍的かつ基本的な理念・指針・規範等を明示した「クレジットポリシー」に則り、殺戮兵器などの製造への事業資金は、与信の基本理念に反する資金使途として与信を禁止しております。
よろしくお願い申し上げます。

以上
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● 三井住友トラスト・ホールディングス
3月14日、三井住友トラスト・ホールディングスの広報室より「個別取引の詳細はお答えできませんが、ご質問にある取引は現在ございません。弊社では、人権方針を定めており、海外を含む投融資先や調達・委託先(サプライチェーン)の企業活動が人権に与える負の影響について情報収集し、法規範等に反する場合等には、都度必要に応じた対応を講じております」とのメール回答がありました。


● みずほフィナンシャルグループ
3月16日、みずほフィナンシャルグループのコーポレートコミュニケーション部CSR推進室より書面での回答がありました。
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2018年3月15日

みずほフィナンシャルグループ
コーポレート・コミュニケーション部CSR推進室

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

調査報告について共有いただきありがとうございます。
ご提供いただいた情報につきましては、社内でも関係部署と共有し、今後の検討の参考にしてまいります。

ご質問につきまして、個別取引に関する回答は差し控えますが、<みずほ>では、公序良俗の観点や社会的正義・人道上の観点等から、クラスター弾の製造を行う企業への与信、及び、殺戮・破壊を目的とする兵器の製造を資金使途とする与信を回避する方針を明確化し、手続化しています。

今後も、金融機関の持つ社会的責任、公共的使命の重みを常に認識し、行動してまいります。

【ご参考】クラスター弾および兵器に対する取り組み
https://www.mizuho-fg.co.jp/csr/business/investment/risk/index.html

以上
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● 野村ホールディングス
3月16日、野村ホールディングスのグループ広報部よりメール回答がありました。「お客様との個別の取引にかかるご質問への回答は控えさせていただきますが、野村グループでは、違法または反倫理的な行為を行わないことを「野村グループ 倫理規程」に定めています。この倫理規程も踏まえ、必要に応じた審査等を経て、国際社会との調和にも配慮した公正な取引を行っており、今後も、徹底してまいりたいと考えております」とのことでした。


● オリックス
3月16日、オリックスのグループ広報部よりメール回答がありました。「オリックスでは、企業としての行動の規範を具体的に「企業行動規範」として定めており、反社会的な者や団体への関与の排除などを掲げております。また、個々の取引においては、投・融資取引関連規則等の社内規則に則り、事業活動を行っております」とのことでした。


● 三菱UFJフィナンシャル・グループ
3月16日、三菱UFJフィナンシャル・グループのコーポレート・コミュニケーション部より書面での回答がありました。
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平成30年3月15日

株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ
コーポレート・コミュニケーション部

拝啓 時下ますますご清祥のことと存じます。

このたびは、「核兵器製造企業への融資」に関する質問状をお送りいただき、
誠にありがとうございました。
本書面に記載いただいた事項は貴重なご意見として参考にさせていただきます。

個別案件に関してはコメントを差し控えさせていただきますが、融資に関しては当社クレジットポリシーに則り、公序良俗に反しないか等の検討ポイントから、個別取引毎に慎重に判断を行っています。

敬具
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お知らせ・メディアへの掲載情報

世界20の核兵器製造企業に329の金融機関が55兆円を提供。日本からは7銀行等が2兆円―ICANが新レポートを発表会見に臨むスコット・ラドラム氏(左)と川崎哲
ピースボートは、2018年3月7日(水)に上記の内容で記者会見を実施しました。会見には、ICANオーストラリア・アンバサダーで元オーストラリア上院議員のスコット・ラドラム氏も参加。ラドラム氏は「核兵器禁止条約は、核兵器を持っている国だけではなく、核兵器を製造する企業に対しても大きなインパクトがあるものです。クラスター爆弾禁止条約ができたことにより、オーストラリアでは銀行や投資家が投資をやめたことで大きな影響を与えました。今回の条約でも、核兵器製造産業に対してそのような動きを作っていきたいと思います」と語りました。

このたびの発表と記者会見を受け、以下のようなメディア報道が出ています。

◆NHK:300以上の金融機関が核兵器製造企業と55兆円以上の取り引き (2018.3.7)

◆朝日新聞:核兵器製造企業に融資、日本の7社公表 ICAN (2018.3.8)

◆Asahi Shimbun: Study: Japanese banks gave loans to nuke weapon manufacturers (March 8, 2018)

◆BuzzFeed NEWS:「核兵器製造企業に日本から7社が投融資2兆円」ICANが発表 (2018.3.8)

◆ライブドアニュース:核兵器製造企業 日本の7社が融資 (2018.3.7)

◆NHK:核兵器製造企業への投融資は(2018.3.23)

日本関連の文書のダウンロードはこちらから

報告書全文(英語)はこちらから

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