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プルトニウムをつくる再処理計画の中止を求めて 共同声明を発出

4月30日、ピースボートをはじめとする日本のNGO関係者や大学教員ら計28名が「プルトニウムをこれ以上つくるな -- 核兵器拡散を助長する再処理計画の中止を求める共
同声明」を発表しました。全文および署名者一覧は以下の通りです。

この声明は、内閣府原子力委員会、外務省、環境省、文科省、経産省など政府関係機関に提出されます。またピースボートは、4月30日からウィーンで開催さ れている核不拡散条約(NPT)再検討会議準備委員会に2名のスタッフを派遣していますが、この声明は同会議に参加している各国の政府やNGOにも配布さ れます。
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4月30日、ピースボートをはじめとする日本のNGO関係者や大学教員ら計28名が「プルトニウムをこれ以上つくるな -- 核兵器拡散を助長する再処理計画の中止を求める共
同声明」を発表しました。全文および署名者一覧は以下の通りです。

この声明は、内閣府原子力委員会、外務省、環境省、文科省、経産省など政府関係機関に提出されます。またピースボートは、4月30日からウィーンで開催さ れている核不拡散条約(NPT)再検討会議準備委員会に2名のスタッフを派遣していますが、この声明は同会議に参加している各国の政府やNGOにも配布さ れます。
<共同声明>

プルトニウムをこれ以上つくるな

核兵器拡散を助長する再処理計画の中止を求める共同声明
 現在政府において、核燃料サイクルの存廃をめぐる議論が進んでいます。東京電力福島第一原発の事故以来、日本の原子力政策全体が問い直されていますが、 なかでも使用済み核燃料問題はきわめて重要な問題です。安全性、透明性、コストなど、さまざまな観点で十分かつ慎重な議論が必要ですが、私たちはここで、 使用済み核燃料の再処理計画と核兵器の関係について注意を喚起したいと思います。

 使用済み核燃料の再処理によって分離されるプルトニウムは、核兵器の材料となりうるものです。長崎に投下された原爆は、プルトニウム爆弾でした。現在の 技術では、5キロ前後のプルトニウムで原爆が一個作られるといわれています。原子炉級のプルトニウムでも核兵器を作ることができることは、国際的な専門家 が認めているところです。

 日本は既に約45トンという大量の分離プルトニウムを国内外に保有しています。この上、青森県六ヶ所村の再処理工場の運転が始まれば、一年に最大1000発の原爆を製造可能なプルトニウムが商業生産されることになります。

 これらのプルトニウムの利用見通しは立っていません。高速増殖炉計画は事実上破綻しているばかりでなく、政府が「脱原発依存」を打ち出す中で、プルサー マル計画の拡大も考えられません。このままでは日本は、政府の基本政策に反して、利用目的の説明できないプルトニウムを大量に備蓄していくことになりま す。非核三原則を持ち核不拡散条約(NPT)の義務を厳格に守っているとはいえ、これでは周辺諸国から核武装の疑惑をもたれかねません。さらに、プルトニ ウムの盗難や施設への攻撃の危険性も高まります。

 さらに、日本が再処理を進めることは、核兵器の拡散につながる悪影響があります。六ヶ所村の再処理工場の稼働が始まれば、非核兵器国で唯一のプルトニウ ムの本格生産となります。これに対して、日本と同様の技術を持つ権利があると主張する国が出てくるでしょう。例えば、韓国においても再処理を求める声が高 まる可能性があります。これは、朝鮮半島非核化共同宣言(1992年)の土台を崩す危険をはらんでおり、北東アジアの非核化に水をさすものです。イラン等 に核兵器開発を行わないよう求め、核不拡散体制を強化しようとしている国際的努力を、日本が混乱させてしまうことになるのです。

 3月にソウルで開かれた核セキュリティサミットでは、プルトニウム等、核兵器に利用可能な物質の管理を強化することが確認されました。一方で日本政府 は、兵器用核物質生産禁止条約の交渉開始を訴えています。こうした中で、日本自身が利用目的の不鮮明なプルトニウムの生産を拡大していこうというのは、大 きな矛盾です。

 核兵器廃絶の一日も早い実現は、被爆国・日本が一貫して願い訴えてきたことです。だからこそ、そのための国際的努力に逆行するような政策は、ただちに止 めなければなりません。私たちは、政府が使用済み核燃料の再処理計画を中止し、その上で、安全性、透明性、コストなどを十分に踏まえた使用済み核燃料対策 を立案するように求めます。


2012年4月30日

署名者
阿久根武志(世界連邦運動協会事務局長)
鮎川ゆりか(Office Ecologist代表)
小笠原公子(日本基督教団神奈川教区核問題小委員会委員長)
岡本三夫(岡本非暴力平和研究所)
河合公明(創価学会平和委員会事務局長)
川崎哲(ピースボート共同代表)
きくちゆみ(ハーモニクスライフセンター共同代表)
笹本潤(日本国際法律家協会事務局長)
佐藤潤一(グリーンピース・ジャパン事務局長)
設楽ヨシ子(ふぇみん婦人民主クラブ共同代表)
須田稔(立命館大学名誉教授)
高原孝生(明治学院大学教員)
大道魯参(仏法山禅源寺)
田中煕巳(日本原水爆被害者団体協議会事務局長)
田中英雄(神戸は地元や!再稼動止めんかい、市民会議)
田中美江(原発八女ん会代表)
寺尾光身(名古屋工業大学名誉教授)
朝長万左男(核兵器廃絶地球市民長崎集会実行委員長)
内藤雅義(反核法律家協会理事)
伴英幸(原子力資料情報室共同代表)
藤川泰志(原水爆禁止調布市民会議)
藤本泰成(原水爆禁止日本国民会議事務局長)
星川淳(アクト・ビヨンド・トラスト理事長)
本田宏(北海学園大学法学部教員)
俣野尚子(日本YWCA会長)
森田玄(ハーモニクス・ヒーリング・ハワイ共同代表)
森瀧春子(核兵器廃絶をめざすヒロシマの会共同代表)
湯浅一郎(ピースデポ代表)

賛同団体・賛同者
核政策法律家委員会、米国
核戦争防止国際医師会議(IPPNW)ドイツ
核戦争防止国際医師会議(IPPNW)ノルウェー
地球の友(FOE)オーストラリア
フランス脱原発ネットワークSORTIR DU NUCLEAIRE、フランス
平和と開発のためのインド医師の会、インド
メドアクト(Medact)、イギリス
オユンスレン・ダムディンスレン(モンゴル国立大学)
吾郷成子(福岡YWCA)
今地裕美子(横浜YWCA)
岡本珠代(岡本非暴力平和研究所)
勝連夕子
加藤美恵子
川辺比呂子
栗原君子
佐々木孝
島村眞知子
俵恭子(熊本YWCA)
土井桂子
永原誠(京都原水爆被災者懇談会代表世話人、立命館大学名誉教授)
野々村耀(エスペランチスト)
平山芳子(神戸YWCA理事長)
藤井純子(第九条の会ヒロシマ)
溝田一成(脱原発へ中電株主行動の会)
横原由紀夫(東北アジア情報センター(広島))
この共同声明は、内閣府原子力委員会、外務省、環境省、文科省、経産省など政府関係機関に提出されます。