パンフレットをでお届け
資料請求

歌から学ぶラテンアメリカの歴史 ー八木 啓代さんの人生を変えた出会い

歌から学ぶラテンアメリカの歴史 ー八木 啓代さんの人生を変えた出会い
船内でのコンサートでスペイン語の歌を披露
ここでは、第90回ピースボート地球一周の船旅に乗船された歌手・八木 啓代さんの活動の様子をご紹介します。八木さんは、リオデジャネイロからバルパライソまで、ピースボート第90回クルーズが南米大陸各地をめぐる間、船内で講座やコンサート、歌のワークショップなどをしてくださいました。
船内でのコンサートでスペイン語の歌を披露
ここでは、第90回ピースボート地球一周の船旅に乗船された歌手・八木 啓代さんの活動の様子をご紹介します。八木さんは、リオデジャネイロからバルパライソまで、ピースボート第90回クルーズが南米大陸各地をめぐる間、船内で講座やコンサート、歌のワークショップなどをしてくださいました。

語学留学で歌手に

歌から学ぶラテンアメリカの歴史 ー八木 啓代さんの人生を変えた出会い
日西両言語で歌う歌のワークショップ
歌手であり著述家でもある大阪生まれの八木啓代さん。京都外国語大学で民族学、経済学、文学、歴史を学びましたが、80年代に奨学金を得てメキシコへ語学留学したことで人生が変わりました。留学中、オペラの教授にプロの歌手になるように勧められたのです。

船内の講座で八木さんは「それまで歌を職業にするなど考えた事もありませんでしたが、メキシコに滞在する間、自分が全く知らなかった世界がある事を知り、また、その文化に恋をしてしまったのです」と説明しました。

メキシコに居を定め、発売したアルバムは3枚になります。また本も出版されており、多くはラテンアメリカのポピュラー音楽の歴史を扱ったものです。

ビクトル・ハラと軍事政権

歌から学ぶラテンアメリカの歴史 ー八木 啓代さんの人生を変えた出会い
練習した歌をコンサートで披露するピースボート参加者
船内ではコンサートやワークショップの他に講座も行い、ラテンアメリカの文化や歴史についてもお話いただきました。

彼女にとって、80年代のメキシコはとても面白かったと言います。「多くのラテンアメリカの国々では独裁体制が敷かれていた時代です。知識人、ジャーナリスト、音楽家などが首都のメキシコシティに集まり、とてもホットな環境でした。皆、政治や文化について語っていました。そのような環境で歌い始め、他の作曲家や歌手と知り合いました」

このような中で、歌手ビクトル・ハラの友人に何人も出会ったそうです。ビクトル・ハラはチリ人歌手でアウグスト・ピノチェトの独裁体制の下で処刑されましたが、抗議の歌を歌ったことで国際的に有名です。

「みんなが彼の話をするのです。そして、それぞれの人が違った角度からのビクトル・ハラ像を持っている事に気づきました。そこで彼についての本を書きたいと思ったのです。本はよく売れて、私の活動の場は大きく広がりました」

独裁政権に抗議する「新しい歌」

歌から学ぶラテンアメリカの歴史 ー八木 啓代さんの人生を変えた出会い
八木さんとピースボートのスタッフ、通訳ボランティア
八木さんは、60年代中盤にラテンアメリカ諸国やスペインで起こった「新しい歌」と呼ばれる運動に強く興味を惹かれています。

この運動は、特にラテンメリカでは社会運動と強く結びついたもので、1960年から80年台に成立したファシスト的独裁体制の下ではしばしば厳しい検閲を受け、禁止されました。この運動に加わった音楽家たちは迫害や投獄をされ、国外追放になる場合もありました。

「日本にはなかった形の運動です。日本では抗議の歌は非常に少数ですし、メディアはまったく取り上げてくれません」と解説します。

八木さんが講座の中で紹介したのは、その時代と強く結びつき、祖国の歴史に重要な役割を果たした代表的な歌手たちです。

また抗議の歌の歌詞を取り上げ「音楽は踊るためだけのものではありません。音楽は今も昔も考えや価値観を伝える重要な手段であり、教育の役割を果たす事もあります」と説明しました。

ラテンアメリカを日本に伝える

歌から学ぶラテンアメリカの歴史 ー八木 啓代さんの人生を変えた出会い
日本フェスティバルでの演奏
「民主主義ってなんだ?」と題した船内でのトークイベントでは、70年代と80年代の独裁体制に的を絞り、ラテンアメリカ諸国の当時の状況について話をしました。

八木さんはこのテーマについて非常に詳しく、日本語で関連の書籍も出版しています。著作はこれに限らず、1989年に起こった米国のパナマへの侵攻をテーマにした小説「MARI(マリ)」も高い評価を得ています。

ソロ歌手としての実績は3つのアルバムの録音の他、キューバ、ニカラグア、アルゼンチン、チリ、メキシコ、日本でコンサートを行っています。

船内では講座の他、歌のワークショップや2回のコンサートを行いました。またワークショップでは、参加者は日本語、スペイン語両方の歌詞で「満月の夕」という歌を練習し、2回目のコンサートではステージで一緒に演奏しました。

バルパライソ港の客船ターミナルで行われた「日本フェスティバル」では、何千人もの地元の参加者が集う中、日本語とスペイン語を交えて話し、歌い、イベントの最後を盛り上げました。