【寄稿】カンボジアの人たちと共に生きる(竹村彩花さん)

【寄稿】カンボジアの人たちと共に生きる(竹村彩花さん)「カンボジアン・ハンディクラフト・アソシエーション(CHA)」の仲間と。左から2人目が竹村さん
ピースボートのツアーでの訪問をきっかけに、カンボジアのNGO「カンボジアン・ハンデイクラフト・アソシエーション(CHA)」で活動する竹村彩花さん(28歳)の寄稿文をご紹介します。竹村さんは大学生のとき、ピースボートの「カンボジア地雷問題検証ツアー」に参加しました。そのツアーで訪問したのが、職業訓練を通して女性障害者の社会復帰を支援するCHAです。以来、CHAで訓練を受ける女性たちがつくる商品を広める活動を続けています。

CHAとの出会いと女性障害者たちとの共同生活、そして自身の仕事とCHAの活動を支えていきたい気持ちとの葛藤など、これまでの想いを書いていただきました。

カンボジアに魅了されて

【寄稿】カンボジアの人たちと共に生きる(竹村彩花さん)地雷除去が完了したコーケー小学校で子どもたちとサッカー交流
「サニーのおねがい 地雷ではなく花をください」(※)という本をご存知でしょうか。
私は小学生のとき、この本と出会い、地雷という兵器を知りました。そして、世界の現状や貧困問題から国際協力に興味をもつようになりました。大学に入り、フィリピンやタイ、インドなどにボランティアに行く中で、自分が最初に関心を抱いた「地雷問題」と向き合ってみたいと思い、大学2年生の春に初めてカンボジアへ渡航、地雷が埋まっている地域を訪問しました。

地雷原の中で生活している人たちは、毎日恐怖と不安を抱えているのだろうという先入観があるままに訪れた現地では、その日も探知機での地雷撤去作業によって地雷が発見されていました。その衝撃は今でも忘れられません。しかし、その地雷の恐怖とは裏腹に、戦争のない今を幸せに思い、豊かに暮らしている村の人々に目を見張りました。同時にカンボジアの人たちの温かな国民性に魅かれいく自分がいました。

カンボジアに関わるようになって、ピースボートが取り組むP-MACの活動に賛同して「地雷をなくそう!100円募金キャンペーン」をはじめました。半年間、毎週1回昼休みに大学の最寄駅付近で募金活動を続けて、約25万円を集めました。そして、その支援先に訪問できるピースボートのツアーに参加しました。現地ではNGOへの訪問や地雷除去現場を見学し、私たちが集めた募金で地雷撤去が行われているコーケー村にも訪れたことで、自分たちの目で募金の行き先を確認することができました。


※「サニーのおねがい 地雷ではなく花をください」作:柳瀬房子 絵:葉 祥明 出版社:自由国民社
うさぎのサニーちゃんが地雷について教えてくれる絵本

戦争が招いた現実

【寄稿】カンボジアの人たちと共に生きる(竹村彩花さん)ネックレスを1つひとつ丁寧に仕上げるネイ(15才)
ツアーで訪れたNGOの1つに、「カンボジアン・ハンデイクラフト・アソシエーション(CHA)」という女性の障害者が縫製技術を身につけることで、社会復帰を目指す団体がありました。そこで、地雷によって片足を失った方、内戦の影響で医療が荒廃し、ワクチンを受けられなかったことでポリオにかかり下半身が不自由になってしまった人たちと出会いました。

代表のキムタさんの「多くの障害者が家の中だけで生きることを余儀なくされ、生活に希望を失い、その環境から抜け出すことができないカンボジア社会を変えたい」という言葉が強く伝わってきました。障がいをもつ女性を地域コミュニティと結びつける第一歩を提供するCHAの役割を肌で感じ、悲しみや辛い過去が決してないわけではない彼女たちが、初めて会う日本人に明るく接し、また障がいをもっていても前を向いて生きている姿に感銘を受けました。

でも、その場所を立ち去ったあと、

「自分がいなくなったあと、彼女たちは本当に笑っているだろうか」
「日本人のお客さんが来たからあんな振る舞いをしたのではないか」

そんな気持ちが胸の奥で、もどかしくざわめきました。

共に、生きる

【寄稿】カンボジアの人たちと共に生きる(竹村彩花さん)手を動かしながらお喋りもすすむ作業時間
私は休学を決意し、CHAで彼女たちと共同生活をすることにしました。「役に立ちたい、ボランティアがしたい」という思いと、大好きなカンボジアの人々と寄り添ってみたい、CHAのみんなと同じ目線で物事を考えて生活してみたいという気持ちが強かったのです。ただ、言葉もわからない、縫製のスキルやアパレルの知識は皆無で、当時の自分にあるのは熱意だけでした。

悪戦苦闘の日々の中で、私にできたことは、彼女たちの作る商品を販売するということのみでした。彼女たちと9ヶ月間もの長い時間を過ごすことができ、 喜怒哀楽を共に感じることで、いつの間にか自分の居場所ができたような感覚でした。

CHAの工房では実際に彼女たちが作ったシルク商品を販売しています。「NGOの商品だから買ってあげる」ではなく、日々の生活に取り入れることができるもの、可愛くて使いたいと思えるアイテムを生み出せば、もっと彼女たちのスキルを活かすことができ、また彼女たちの喜びや自信に繋がるのではないかという考えをもつようになったのは、私が社会人になってからでした。

新しい可能性

【寄稿】カンボジアの人たちと共に生きる(竹村彩花さん)CHAの商品は日本のフェアトレードショップでも販売されている
大学卒業後は、日本でオーガニックコットンの製造販売を一貫して行う会社である「プリスティン」に就職しました。その後もCHAのために何かしたいと思いながら、悶々とした日々が続きました。会社に不満があるわけではない、むしろやりがいのある仕事だからからこそ辞める選択肢を持つことができませんでした。また、大学まで行かせてくれてやっと就職したにも関わらず、またカンボジアに行くなど親不孝でやってはいけないと自分の中で葛藤していました。

それでも、やっとその可能性にチャレンジしてみたいと決断できたのは就職して3年後のことでした。仕事を辞めて再びカンボジアに戻りました。

CHAのメンバーに、「一緒により良い商品を作っていきたい」と私の意思を伝えました。これまでの貯金を切り崩したり、カンボジアでアルバイトの生活を送りながら、CHAでみんなの手に培われた技術を引き出せるように試行錯誤を重ねました。仕事をしていた時に学んだ接客、商品展開の方法、生地に関する知識を元に、商品の質の向上、生地の安定供給など基盤作りから、新作の考案、量産の管理、国内外の営業などを行いました。私が現地にいることで、ひっそり運営していたローカルのNGOは少しずつカンボジア在住の日本人やツアーで訪れる日本の方にも認知してもらえるようになりました。

カンボジアに行ってから2年が経ち、現在は日本をベースにカンボジアを行き来しながら、CHAの商品を日本で広めるために活動を続けています。また、ありがたいことにCHAの活動を優先して行うことを条件に、前職の会社でも仕事をさせていただいています。CHAの商品は関西でフェアトレード商品を展開しているシサム工房をはじめ、神戸、京都、滋賀などを中心に10店舗ほどで販売してもらっています。

また、「プリスティン」でオーガニックコットンで作ったオリジナルネックレスの販売も開始しました。現在、東京・名古屋・大阪・神戸の百貨店で取り扱いをしています。CHAのメンバーには、日本の百貨店に自分たちが作ったものが並んでいるということを誇りや自信にしてほしいと思います。そして、これこそが私の目指してきた商品づくりであると同時に、今後もCHAのみんなが持つ力を引き伸ばしていきたいと思っています。

商品に込められた想いやバックストーリーが、買っていただいた人たちに伝わることで、カンボジアの女性障害者が社会で活躍できる可能性の幅が広がることを願って、これからも活動を続けていきたいと思います。

カンボジアと出会って

【寄稿】カンボジアの人たちと共に生きる(竹村彩花さん)「どの色がいいー?」と、みんなで新作の色合いを決める
商品を広めることが彼女たちの生きる力となっているならば、それは私のいちばんの原動力です。こうして私が大切と思える人たちと共に生きることができる場所ができたのは、カンボジアという国を知ることができたから。自分が挑戦してみたいことや関心のあることに積極的に行動することで、目標や夢が見えてくるのだと、いま実感しています。そして、失敗や課題はマイナスではなく、次へのステップだと思います。

私はカンボジアに心を動かされ、今CHAのメンバーと良い時も悪い時も一緒に時間を共有し、お互いの強みを活かして仕事ができることを誇りに思っています。これからも共に歩んでいきたいと思います。

CHAの写真展が大阪で開催されます

2017年4月26日(水)〜5月11日(木)、大阪府池田市の「cafe gallery phteah」でCHAの女性たちの日常を写した写真展が開催されます。10年前にピースボートのツアーに同行していただいたことがきっかけで、CHAの人々と交流を続けるフォトグラファーうちだかずとしさんが撮影した写真が並びます。CHAの商品の販売もあります。詳しくは以下の「Myself~うちだかずとし写真展」をご覧ください。

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