●金門島見学と農家訪問 Eコース●
マルクスもあっと驚く共産主義国家と分断国家の現状
−「目から鱗が落ちる」旅の楽しみ−
標記ツアーに参加した。この企画を手伝ってくれて、案内役までしてくれたのが地区の共産党の副主席と助役であった。船で金門島の青天白日満地紅旗(中華民国の国旗)をかかげた監視塔のある海岸200m近くまで行ったのだが、出港したのは国境警備隊も使用している港で、港の写真撮影は禁止された。軍港から出港するのかと驚いたが、この警備隊は地方自治体所属で、軍隊ではないとのことである。中国共産党の地方組織はその地域の有力な指導者から成り立っていて、大幅な地方分権が与えられているので、その地方の利益になることは何でもするのだそうだ。土着型共産主義とでも言えるだろう。
今はもう崩壊したソ連型共産主義の一枚岩の考え方とは異なる発想が、中国共産党の地方組織にはあったようだ。それが文化大革命とかの各種模索を経て、今の経済体制となっているようだ。金門島側も事情はあまり変わらず、観光事業をやろうとしてリゾートホテル業を多数建築していた。同一民族の「原因がその民族の外部にあって紛争が起こり、それが長期化した」場合には、双方何らかの手段で連絡し合い、実害が出ない様に戦争をルール化するのだそうだ。金門島の場合も空砲を、奇数日には金門島側から、偶数日には本土側からと言ったようなルールで撃ち合っていたと聞いた。水先案内人の伊藤千尋さん(朝日新聞記者)も他にもそんな例があると教えてくれた。このオプショナルツアーには韓国からの参加者が多かった。同じ分断国家となっている韓国の人たちは、何とか解決策のアイディアをつかもうとしているのだろう。
農家の訪問もしたが、これは道路に面した3階建ての日本の常識からは考えられない広さの家屋であった。現在は1部屋がすごく広い4世帯住宅であるが、将来細分化して、4世帯住宅が2つ出来るように配慮して、階段も2重化してある物であった。1階建ての旧住宅が現在の生活方式からすれば住みにくいので、立て替え中なのだろう。しかし、大多数の人たちは1階建ての旧住宅に住んでいる。3階建ての建物も、我々が見せてもらったのは3階まで全部完成した物であったが、移動中のバスから見える3階建て住宅のほとんどが3階まで外部は作ってあるが、2〜3階は外部構造だけである。1階のみ窓枠を含める内部構造が出来ている。どうも出稼ぎ中心の収入で家屋を作ったが、バブルがはじけ途中で資金が無くなったようだ。
ちなみにこの地方の昔からの産業は牡蠣と海苔の養殖で、昼食には各々別のスープになって出てきた。この美味しさについては参加した全員が誉めていた。日本で食べるいわゆる中華料理ではない。アッサリ系のメチャウマである。特に牡蠣は、小指の先ほどの小さな物で、このうまさは日本では食べたことがない。
事実を実際に見聞しながら、それを解説できる水先案内人というのが同船していて、 さらに興味を深めて、船旅が出来るというのはありがたいことである。
報告者:宋 チエ,田中謙二,吉塚文雄(文責:吉塚)
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