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モーリシャス・女性の自立を支える(ポートルイス)

モーリシャス・女性の自立を支える(ポートルイス)
ここでは、第90回ピースボート地球一周の船旅で訪れたモーリシャス・ポートルイスでの交流プログラムの様子をご紹介します。インド洋に面するアフリカ国家のモーリシャス共和国は、世界屈指のリゾート地としても有名です。ポートルイスは、モーリシャス本島にある首都です。

ここでは、第90回ピースボート地球一周の船旅で訪れたモーリシャス・ポートルイスでの交流プログラムの様子をご紹介します。インド洋に面するアフリカ国家のモーリシャス共和国は、世界屈指のリゾート地としても有名です。ポートルイスは、モーリシャス本島にある首都です。

女性大統領は憧れの的

モーリシャス・女性の自立を支える(ポートルイス)
5,000名以上の女性起業家をメンバーに持つNWEC。サビナ・シーバン(Saveena Seeburn)さんはファッションデザイナーとして活躍する
モーリシャスは、インド洋地域の中でも珍しく、女性が大統領を務める国です。2015年6月、著名な科学者であるビビ・アミーナ・ギュリブ・ファキム博士(Dr. Bibi Ameenah Gurib-Fakim)が大統領に就任しました。

民族植物学者として、モーリシャスと周辺の島々でで行った稀少植物からの新薬開発と化粧品利用に関する研究で名を馳せた彼女は、多くのモーリシャス人女性の憧れの的になっています。

ピースボート第90回クルーズ参加者は、女性の起業家精神の奨励を目的に1999年に立ち上げられた国立女性起業家委員会(NWEC)を訪問し、モーリシャスの女性たちの活躍について学びました。

NWECに登録しているのは、おもに製造業や手工芸、サービス業の零細企業で働く約5000名の女性たちです。NWECでは、技術面、管理スキル面など、女性起業家を育成する研修プログラムを提供しています。

ビジネスの成長と展開を支援し、セールスやマーケティング、品質管理、価格設定、財務などのトレーニングも行っています。場合によっては、立ち上げ初年度の物件の提供までも行っているといいます。

働くことで得られる自由

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ピースボート参加者に向けて語りかけるナディン・キャサリンさん
「モーリシャスの女性にとって働くということは自由を意味します。以前は、両親が結婚相手をみつけてくるまで家を出る事ができず、子育てに残りの人生を費やしていました。いまでは彼女たちは働くことができ、自分の家に住む事ができるのです」と団体の理事を勤めるナディン・キャサリンさんは語りました。

過去17年間、この団体は数百名の女性に対し、アイディアを発展させ自らの生計を立てる手助けを行ってきました。「モーリシャスは民族的・文化的に男性優位の国です。そんな中で、賃金は安いにせよこれまで母親や妻としてしか役割がなかった女性に、ある程度の個人的・社会的な自由をつくり出しました」とナディンさんは説明します。

現地のアドバイザーであるジョージナ・ラガベンさんは、多くの女性は自宅で働いているが、プロとして仕事をするためのアドバイスやガイダンスを必要としていると言います。

「女性たちは、自らが作成した商品に価格を付ける必要があるのです。使った材料の値段はわかるけれど、制作に費やした時間、電気代、ガス代などを考慮していません。そこで、ビジネスプランを作成する手助けをして、起業家としてのトレーニングを行っています。私たちは、彼女たちが成長し発展することを奨励しています」。

彼女らが技術を伸ばせば人を雇う事ができるようになります。「それが最終目標です。雇用を創出し、モーリシャスの人々がより良い生活を送れる手段を作り出すことをめざしています」と彼女は言いました。

労働環境の改善

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モーリシャスの女性が作った商品を販売するブースを訪れるピースボート参加者
モーリシャスの経済で、中小企業は雇用創出の面で重要な役割を果たしています。しかし、個人経営のビジネスを運営し管理することは容易ではありません。

ビジネスを展開する上で、女性起業家たちは多くの困難に直面しています。アフリカ諸国の女性企業家たちが抱える問題には、資産の所有権、機会を掴むために必要な情報の欠如、不十分な財務支援などがあります。また、家庭や家事とビジネスのバランスをとるという課題も抱えています。

NWECへの訪問を通じて参加者は、この組織の支援のおかげで労働環境を改善し、自分が作成する商品について学ぶ事ができた複数の女性と出会いました。シャンタル・ドレトルさんは、過去5年間にわたりカゴや手作りの工芸品を作ってきました。

「私のようなモーリシャスの中年女性にとって、仕事を見つけるのはとても難しいことです。自営で働く必要があります。この団体に参加することで、新しい顧客を開拓することができました」

Tシャツや陶器にオリジナルデザインを施した商品を作る、ベルーナ・スウェンベルさんも同様です。彼女がこの組織に参加して10年が経っています。「この組織に参加することで様々なトレーニングに参加することができ、またマネジメントスキルも向上することができました」と語りました。

南アフリカにも広げたい

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シャンタル・ドレトルさん(右)はこれまでの5年間かご製品を制作してきた
ピースボートの参加者はグループに分かれ、その日の午後に学校に寄付される予定の商品の制作と最終加工を手伝いました。参加者は皆、この日に見た事や経験した事に感銘を受けました。

モルジブ(マーレ)から南アフリカ(ケープタウン)まで乗船している水先案内人で、日本国際ボランティアセンターの南アフリカ・プログラム・コーディネーターであるドゥドゥジレ・ムカビンデさんもこのツアーに参加していました。

「NWECの活動はすばらしいと思います。女性は家に閉じこもっているのではなく、社会的な権利を与えられるべきです。彼女たちが収入を得ることができれば、自立して自らを養うことができます。このような活動を行う組織が南アフリカにももっとできることを望みます」と締めくくりました。

子どもたち

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最後に学校を訪れて子どもたちと出会った
文化交流プログラムの一環として、この団体について学んだ後、ピースボート参加者はポートルイスの郊外の町にある学校を訪問しました。

この学校は、この地域の家庭の幼児教育を支援するモーリシャスのNGO団体チルドレン・オブ・ドリームの資金援助を受けています。参加者は財政的に厳しい家庭が抱える課題と、それを克服するための努力について学びました。

モーリシャスでは6歳児以上の初等教育は無料ですが、幼児教育にかかる金額はシングルマザーにとっては負担が重すぎるといいます。参加者は、女性支援団体で作成した品を子供たちにプレゼントして日本語を教えた後、船に戻りました。