6月20日
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シャロームとサラーム〜2つの平和をめぐって〜
/ケレン・アサッフ、ラミ(ピースボート国際奨学生)
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「シャローム」とは、イスラエルで話されているヘブライ語で「平和」のこと。そしてパレスチナの人々が話すアラビア語では同じ「平和」を「サラーム」という。
今回の講座では、デモで娘を亡くしたことをきっかけに、同じように子どもを亡くしたパレスチナ人夫妻との対話など、平和活動に身を投じたイスラエル人夫妻の姿を描いた、日本人ジャーナリストの手によるVTRを上映。続いて、国際奨学生として乗船している、パレスチナ人のラミさんとイスラエル出身のケレンさんが、それぞれの思いを語った。「シャローム」と「サラーム」、重なり合う部分もすれ違う部分もある、「ふたつの平和」の姿を浮き彫りにする講座となった。
ラミさん
「ビデオではイスラエル人家族の姿が中心に描かれていましたが、パレスチナ人の家族も同じように平和を求めています。イスラエル人よりもパレスチナ人の方が苦しい状況にあると私は思います。それなのにこのビデオは、イスラエル人の置かれた状況をより大きく捉えていて、正直なところ少し不公平だと感じました。イスラエルの人たちは、パレスチナ人の置かれている状況を知らないことが多いと言いますが、それはただ知ろうとしていないだけ、見ないふりをしているだけではないのでしょうか」
ケレンさん
「パレスチナ人・イスラエル人の双方に、痛みも苦しみもあります。イスラエル人はパレスチナ人がイスラエル人を追い出そうとしているという被害者意識が強いのではないかと思います。そのために、平和活動をしているイスラエル人でさえ、パレスチナ人を完全には信用していないことが多いんです。そして、大抵のイスラエル人がパレスチナの現状について知らないのは、それがマスコミで報道されず、きちんと教育がなされていないからです。イスラエル政府にも問題があると思います」
(鈴木亜紀子)
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サダム・フセインは今/高橋和夫(放送大学助教授)
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中東問題専門家の高橋和夫さんによる、イラクとサダム・フセイン大統領についての講座。 高橋さんは、以前実際にサダム・フセインと会ったことがあるという。ビデオの上映も交えながら、フセインの人物像やイラクの現状について解説していただいた。
まずは、高橋さんがイラクに滞在した時の体験談から。
「町中には一面にサダム・フセインの絵が貼ってありました。驚いたのは、会議をしているときでも、突然フセインを讃える詩を思いついて大声で叫ぶ人がいたりしたことです。フセインの演説中にも、彼が何か言ったり、したりするたびに拍手が起こるんですが、拍手が一番短かった人はシベリア行きになると言われており、みんな何十分も一生懸命拍手し続けるんです。とにかく、日本人の目から見ると、異様な世界でした。」
しかし、同時に高橋さんは「イラクとはそういう体制じゃないとまとまらない国」だと言う。17世紀にオスマントルコの支配下に入ったイラクには、民族 ・宗教の異なる人々が暮らしていた。以来、ずっとまとまりのない状態が続き、20世紀に共和国となったあとも、「日替わりでクーデターが起こる」というような状況だった。そんなイラクを力ずくで一つにまとめたのが、サダム・フセインだったのである。地方の貧しい家庭に生まれたフセインは、若くから政治活動に積極的に関わり、その手腕を発揮していく。1979年の大統領就任以降も、湾岸戦争、民衆蜂起、生物兵器に対する国連査察という数々の「危機」を迎え、さらに自らも暗殺の危険の中にありながら、食事と就寝場所を毎日変えるといった極度なまでの慎重さと、CIAを上回る情報力でこれらを乗り越えていった。「イラクの人はフセインの独裁を恐れる一方で、彼の、国をまとめる力にも期待しているんです。」
高橋さんがサダム・フセインに会った際、「イラクがもう戦争に巻き込まれることがありませんように」という高橋さんの言葉に、フセインは「インシャーラ(神が望むなら)」と答えたと言う。
(森由香)
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