SEA NAVI 7月20日号
「グランクリー紛争解決センター」訪問(1)
 アイルランドの国旗は、緑・白・オレンジの3色国旗。「緑」は多数派のカトリック系住民、「オレンジ」は少数派のプロテスタント系住民を表し、その間にある「白」には両者の和解と調和の願いが込められている。
 長きに渡って続いたアイルランド紛争。1998年に和平合意を結んだが、市民間の和解には至っていない…このアイルランド社会の「和解」に向けた取組みを行っているNGO団体「グランクリー紛争解決センター」を訪問し、「和解」へのワークショップを体験した。

 ダブリンからバスで走ること1時間。ウィックロウ市にある牧場の丘の中腹に「グランクリー紛争解決センター」はある。

 今から30年前、市民団体によって北アイルランド紛争で傷ついた人びと、命を狙われている人のための避難所として設立されたこのセンターは、北アイルランド、アイルランド、イギリスに関わる紛争解決のためのワークショップなどを通して「和解」を作り上げる活動を行っている。

 アイルランドには、今も紛争で負ったトラウマや恐怖を抱えて生きている人々がいる。彼らがそこから抜け出し、真に平和な社会に生きるコトが出来るよう、このセンターでは平和教育を始め、政治家に対する政治対話プログラム、和解促進のための教会へのプログラム、被害者の家族や元戦闘員のためのプログラムを行うなど、具体的な「平和」へのプロセスを模索している。(写真は子どもたちが書いた平和の絵)

 最初のワークショップは「反応するコトと、考えるコトの違いを見出す」というもの。
 「紛争下では、わざと人に対する嫌悪感を煽ったり、怖がるように仕向けることがあります。そのとき、反応のままに行動するのではなく、深く考えた上で行動することが紛争解決のために重要なのです」とスタッフのコーンさんは言う。

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