地球大学
エクスポージャープログラム〜ナボタス・スタディーツアー〜

 2日目。ナボタスの人々は、洪水を防ぐ堤防などの建設を理由に立ち退きを強制された。これは、ある家の壁に書かれた憲法の条項。そこには、国民の居住権について保障する項目があり、それを書くことで立ち退きに反対していることを訴えているという。

 「VUR」スタッフ、ベルさんは、私たちにこう話してくれた。
 「日本側は、洪水制御プロジェクトは貧困をなくすためのものと話しています。洪水をなくせば漁獲量も増え、利益も得られるという理論です。しかし、実際に得をするのは一部の裕福な人々のみで、ナボタスの住民は逆に、それによって今の生活を壊されているのです。
 また、ナボタスでは確かに洪水が年に4回、多いときには10回くらい起こりますが、それが直接の原因となって死者がでることはありません。住民は洪水対策よりもむしろ、住居や仕事、清潔な環境の保障を望んでいます。ですから、日本の方々には自国のODAの使われ方について考えてほしいのです」

 政府が、強制退去させた人々のための再定住地として与えたタワービル。移住させられた時点では家もなく、ニュージーランドや日本などのNGO団体が寄付して作られた。また、水道・電気も通っておらず、政府との交渉でようやく作られたということだった。
 これはニュージーランドの宗教団体が寄付したことを示す「ニュージーランドヴィレッジ」の看板。

 タワービルは山の中にあり、周りには生計をたてられる程の仕事がない。そのため、彼らは漁港へ働きに行くのだが再定住地から漁港まで片道およそ2時間半、約3ドルかかる。
 子供を家に残して出稼ぎに出る両親も多く、このことが家族崩壊に繋がっているケースもあるようだ。

 最後に。私たちが一番印象に残っているのは、ナボタスの子供たちの笑顔だ。私たちを歓迎してくれている彼らと共に、彼らの生活が向上する方法を見つけたいと切に感じるツアーとなった。
(田中麻友)

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[ツアーを終えて]
 私たちが知らないところで、日本のしていることがナボタスの人々を苦しめている。その事実に驚き、また知ることができてよかった。ホームステイ先で実際にこの問題について家族の方と話が出来たのも良い経験だった。こうやって人々と直接対話をしながら、彼らに出来ること、私たちに出来ることを探していく必要があると感じた。

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