4月2日  ▼ベンポスタって何?/星野弥生(ベンポスタ共和国駐日大使)
リオデジャネイロから乗船、これまではスペイン語の通訳として、講座のコーディネータとして陰ながら活躍いただいた星野さんによる初めての講座が開かれた。
「『ベンポスタ共和国』とは、スペインのガリシア地方にある子供たちによる共同体です。そこには、学校も銀行も教会もレストランもあります。子どもたちが自分の意思をもって、とても小さいものではあるけれど自ら『国』を運営しているんです。『1日5時間以上勉強をしてはいけない』そんなユニークなルールもあるんですよ。
この『ベンポスタ共和国』が、シルバ神父によって創立されたのは1956年、スペインでフランコ将軍による独裁政治が行われていたころのこと。その中にあって『徹底して弱いモノの立場に立ち、正しい思想を持った子供を育てよう』という想いの下、活動が始まりました。運営資金の70%は、子供たちによる『サーカス』の公演でまかなわれています。ヨーロッパで『サーカス』といえば、芸術の1つとして受け入れられ、それは子供の自己表現の手段にもなっているんですね。そうして各地で、不平等な世界への抵抗を呼びかけながら公演を行う姿を目にした世界中の子供が、『ベンポスタに行けば、勉強もサーカスもできるんだな』という希望を抱き、私の知る限りで14カ国、100〜150名程度が集まりました。
サーカスの演技もそうですが、下に強い人がいれば上は自然とできるもの。子供たちに任せてしまえばいい。子どもの力を信じていいんだ。『ベンポスタ』はそんなふうに思わせてくれるんです。」
地球大学南米編4 誰がピノチェトを裁けるのか
/ソレダット・ピノ(ジャーナリスト)
政治ジャーナリストのソレダッド・ピノさんに今回お話ししていただいたのは、独裁政権下で行われた人権侵害がチリ国内の法で裁くことが出来ないという状況の中、それに対して国際社会がどう対処したかについてでした。
「ピノチェトの独裁政権下では大量処刑、拉致、拷問、誘拐など、著しい人権侵害がありました。無論これは法で裁かれるべき罪悪ですが、ピノチェトは大統領就任中に自らが罪を問われないように『恩赦法』という法律を作ったのです。恩赦法『Amnistia』の語源『Amnistia』は忘却という意味、すなわち罪を忘れ、無かった事にするという法律です。この法は独裁政権下において政治的な罪を犯した人全てに適用されました。そしてピノチェト自身にもこの法は適用され、ピノチェトは何の罪も問われないままにいたのです。
そこで人権を扱うチリのNGOが取った行動は、スペインでピノチェトを告訴するということだったのです。スペイン法廷のガルソン判事は、恩赦法を適用した状態でもピノチェトを裁けるように、『事件は過去のことではなく、行方不明者が未だにいる以上、現在も継続して起こっている』と判断し、裁判にかける事に成功したのです。それにより、ようやく行方不明者たちの追跡調査も始められ、人々はその事実を知ることになりました。このようにピノチェトを他国で裁いた事に関しては賛否両論あります。しかし、この事は法律の新しい適用法として、世界的に大きな反響を呼びました。他国で起こった独裁制に対する糾弾も出来るほか、自国の法では裁ききれない、経済や麻薬の犯罪であっても、国際的に裁くという道が開けたのですから。ピノチェトが行ったことは『人類に対する犯罪』だと思っています。人類に対する犯罪は裁かれる、やっとそういう時代になってきたのです。」
(竹端)
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