「クラスター爆弾所有に関する公開質問状」への防衛庁回答に
対する 、ピースボートからの再質問事項


日本国防衛庁
石破防衛長官殿
2003年7月3日
公開質問状の回答「4-1」に関して

1.クラスター爆弾について、回答書ではコソボ空爆を例に挙げ、「一般人に被害を与える例が注目されている」「人道上の視点から国際的な様々な議論がある」など事例を承知しているとあります。

1-1.ならば、具体的に「『どのような被害例が注目されている』と承知しているのですか。具体的に示してください。

1-2.同じく、「人道上のさまざまな議論」とはどのような議論なのかを示してください。


公開質問状の回答「4-3,4」および「6」に関して

2.「民間人に被害が生じないように配慮する」とありますが、クラスター爆弾の民間人への被害は、子爆弾が目標を中心とした或る広さに散布されるという性格と、不発弾が戦闘行為の終了後、平和になった段階まで残るという爆発兵器の宿命により、その特定が困難であると、私たちNGOは考えております。

2-1.ならば、広範囲に拡散した子爆弾の不発弾を、どのように探知。特定するのですか。その具体的な方法を示してください。

2-2.回答書にある「国民の生活基盤が確立されるよう、不発弾の処理に万全を期すことは当然である」とありますが、それは、どのような状態を指すのか、具体的に示してください。

2-3.目標である敵の軍事施設が、民間人の居住地の中または近傍にあった場合、どののようにして民間人に被害が生じないようにするのですか?


公開質問状の回答「6」に関して

3.防衛庁は、海外におけるクラスター爆弾の被害調査は行っていないとの回答でした。私たちNGOの調査では、今回のイラク戦争で、現在も米軍が投下したクラスター爆弾および地上発射のクラスター砲弾、クラスター・ロケット弾で、戦闘員を含む多く民間人が、犠牲になっているものと考えております。

3-1.私たちは、現在、イラク復興支援特別借置法案として議論されている自衛隊派遣は、そのようなクラスター爆弾の不発弾が残存する、危険地域への派遣ではないかと考えております。そのことを、どのようにお考えでしょうか。

3-2.また、自衛隊員がクラスター爆弾による犠牲になることはないとお考えでしょうか。


公開質問状の回答「7」に関して

4.「国際条約等の解釈はについては、防衛庁の主幹ではない」ということは理解いたしました。しかし、具体的な兵器の整備計画を作り、購入を決め、使用を管轄するのは防衛庁だと思われます。ならば、このクラスター爆弾の保有に際して、その解釈を主幹する官庁に、その是非を問う請求を行っていると思われます。

4-1.その際の「条約解釈請求文章」を公開してください。その場合、1-2で回答されている通り、国の安全が害されているおそれがある文脈に関しては、削除していただいて結構です。


CBU-87型のクラスター爆弾について

5.この型のクラスター爆弾は、アメリカによって1984年に開発されたものと理解しております。しかし、この型のクラスター爆弾は、風向修正装置がなく、広範囲に拡散することから、民間人への被害も大きいと、世界的な人権団体・ヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)は警鐘しています。また、同団体は、アメリカ国防省が、「古くなり不必要になった同型のクラスター爆弾を複数の国に売却した」ことを挙げ、そのリストの中に日本も明記されております。

5-1.この型のクラスター爆弾は、上記のように「アメリカ国内でも議論がある」型であることをご存じでしょうか。

5-2.過去、日本が所有しているCBU-87型クラスター爆弾を使った演習は、これまでになされているのか教えてください。


〔参考資料〕
HRWの資料(2003年3月)によれば、1991年の湾岸戦争時の米軍兵士の、不発クラスター子弾による死傷者は下の表のように約80人でした。
CBU型クラスターの子爆弾の不発弾による死傷者:64人
DPCIM(改良型二目的通常クラスター砲弾)の子砲弾の不発弾:16人
敷設者不明の地雷:46人
イラク軍の地雷:35人
その他不発弾:16人
参考1:ピースボートによる「自衛隊のクラスター爆弾所有に関する公開質問状」
参考2:「自衛隊のクラスター爆弾所有に関する公開質問状」への防衛庁からの回答


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ピースボートセンターとうきょう・担当:中原
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