非公開会議(第一回)
於 ホテルサンルート(新宿)
  参加者
Dr. Bereket Selassie
Dr. Assefaw Tekeste
Dr. Kifle Wadajo 
Dr. Andreas Eshete
吉岡達也
Maria De La Fente
:元エリトリア憲法制定委員会委員長
:アスマラ大学公衆衛生学部学部長
:元エチオピア憲法制定委員会委員長
:アジスアベバ大学法学部教授(人権と民主化)
:ピースボート共同代表
:NGOコーディネーター
  オブザーバー
穂積智夫
佐藤寛
児玉由佳
河辺一郎
:UNICEF プログラム・オフィサー
:アジア経済研究所 経済協力研究部主任研究員
:アジア経済研究所 地域研究第2部
:国連研究家
  議事録概要
 はじめに、吉岡(ピースボート)が、この度の会議は、昨年ハーグで開催されたNGO国際平和会議から継続するものであることを確認した。次いで、参加者は、オブザーバーであるユニセフの穂積氏と、平和構築における国際機関の役割について意見交換を行った。
 穂積氏(個人として発言)は、紛争継続中に国際機関が人道的支援を行うことの難しさを強調した。
 続いて、翌日に控えたシンポジウムの主要テーマである、紛争解決におけるNGOの役割について議論した。参加者の多くは、いくつかの困難はありながらも、全体的にNGOの役割は拡大すると論じた。NGOの問題点に関しては、説明責任などについて議論した。



シンポジウム
「紛争解決にNGOは何ができるか?
〜エリトリア・エチオピア和平のための市民会議〜」
於 東京ウイメンズプラザ 13:30〜16:00
  パネリスト
Dr. Bereket Selassie
Dr. Assefaw Tekeste
Dr. Kifle Wadajo
Dr. Andreas Eshete
 
岡本三夫
首藤信彦
:広島修道大学教授
:東海大学教授
 
  コーディネーター
吉岡達也 :ピースボート共同代表
 
  議事録概要
 はじめに吉岡が、参加者間で平和構築をめざした信頼醸成を促進する期待を表明した。吉岡は、各参加者は個人資格でシンポジウムに参加していることを明確にしたうえで、それぞれに発言を求めた。

 ベレケット博士(エリトリア)は、政府機関がアフリカに介入する場合、軍事的または経済的な動機を抱いていることがあると指摘。対照的にNGOは、人々を支援することを目的としている。ベレケット博士は従って、特に国際法の遵守という面に関して、今日の国際社会におけるNGOの重要性を訴えた。ついでベレケット博士は、紛争の原因や責任の所在を追及することは避けるよう呼びかけ、平和的な社会をいかにして再構築するのかという点に関心を集中させるよう訴えた。再構築されなくてはいけないものは、町にかかった橋だけではなく、人々の間にかかった心理的な橋である。ベレケット博士は、日本の政府およびNGOがエリトリアとエチオピアのためにできることは多いとし、その理由として、欧米とは異なり、日本はアフリカを植民地化したことがないことを挙げた。したがって、日本の活動はアフリカ諸国において好意的に受け入れられるのであると強調した。

 キフレ博士(エチオピア)は、まず、紛争後の再構築についてエリトリアの人々と語れる機会を持てたことに満足の意を表明した。シンポジウムの主題であるNGOの役割についてキフレ博士は、自身のNGO活動の経験を紹介した。キフレ博士は、公職を退いてから紛争の原因を追究するNGOを設立。そのNGOの主要な役割の一つは、紛争の火種を発見し、武力衝突の勃発を未然に防ぐことであった。キフレ博士は、国境の画定が紛争の原因の代表的なものであることは認識していた。しかし、エチオピアとエリトリアの国境問題に関しては、両国の関係はとても良好であり戦争は考えられなかったため、重要視していなかった。この経験にもとづき、キフレ博士は、紛争予防の難しさを訴えた。また、アフリカへ向かう日本のNGO活動家に対して、アフリカ文化を事前に学んでおく必要性を訴えた。アフリカ文化を十分に理解していない者は、現地で問題を起こすことがあるという。

 アンドレアス博士(エチオピア)は、紛争に対するNGO活動を三つの段階に分けて議論した。一つ目は、紛争が勃発する以前の段階であり、そこではNGOは多くのことができるとした。例えば、NGOは人々に対して警告を発することができる。二つ目は、実際に紛争が起こっている時であり、この段階でNGOができることは限定的であるとした。ただし、アンドレアス博士は同時に、紛争解決のための可能な方策を検討することの重要性も強調した。三つ目は紛争後の段階で、NGOは物的および技術的な援助を提供できる。さらに、難民への支援は重要であるとした。最後に、エチオピア−エリトリア問題において、日本政府は重要な役割を担うことができると指摘した。そこで、日本の市民社会のメンバーが、政府にこの問題を支援するよう呼びかけることを提案した。

 アサファー博士(エリトリア)は、前の三人とは対照的に、NGOの役割について否定的な見方を打ち出した。アフリカで活動している欧州のNGOは、現地のコミュニティーの声に耳を傾け、彼(女)らが何を必要としているのかを理解する努力をしないと指摘した。それらのNGOは、自らのやり方で活動を推し進めてしまっているという。さらにアサファー博士は、自分たちの豪華な車や住居を維持するために予算の80%を費やし、残りの20%を現地の人々の支援に充てているNGOもあると明かした。このようなことが起きてしまう原因は、財政状況の透明性の欠如にあるいう。アサファー博士は、ピースボートおよび他の日本のNGOは、これらの事例から学び、よりよい手法で活動を展開するよう呼びかけた。



非公開会議(第二回)
於 京王プラザホテル(新宿)
  参加者
Dr. Bereket Selassie
Dr. Assefaw Tekeste
Dr. Kifle Wadajo 
Dr. Andreas Eshete
吉岡達也
Maria De La Fente
:元エリトリア憲法制定委員会委員長
:アスマラ大学公衆衛生学部学部長
:元エチオピア憲法制定委員会委員長
:アジスアベバ大学法学部教授(人権と民主化)
:ピースボート共同代表
:NGOコーディネーター
  議事録概要
 吉岡は、一昨日のシンポジウムに関して、多くの来場者からよい反応を得たこともあり、感謝の意を表明した。参加者は、シンポジウムおよび非公開会議における議論の結果をいかにして発表するかについて討議し、文書を作成することを決めた。  NGOの役割については、「紛争後の開発(Post-Conflict Development)」という概念を掲げ、これを中心に議論を行った。紛争後の開発においては、多くの参加者が、日本政府およびNGOは多くの役割を担うことができるとした。

国際協力事業団(JICA)との会合
於 京王プラザホテル(新宿)
  参加者
Dr. Bereket Selassie
Dr. Assefaw Tekeste
Dr. Kifle Wadajo 
Dr. Andreas Eshete
:元エリトリア憲法制定委員会委員長
:アスマラ大学公衆衛生学部学部長
:元エチオピア憲法制定委員会委員長
:アジスアベバ大学法学部教授(人権と民主化)
黒澤 啓
小向 絵里
:国際協力事業団 企画・評価部 環境 女性課
:国際協力事業団 企画・評価部 環境 女性課
吉岡達也
Maria De La Fente
:ピースボート共同代表
:NGOコーディネーター
  議事録概要
 はじめに黒澤氏が、開発援助、平和構築、紛争後の再建などについて、国際協力事業団の活動を説明した。事業団は、援助実施においては、安全保障状況に特別な関心を注ぐことを強調した。事業団としては、基本的には紛争終結後に援助を実施する立場である。しかし、エチオピアでは、紛争前からのプロジェクトがいくつか継続している。
 今後、日本がエチオピアに対する援助を増加するか否かという点については、黒澤氏は、アフリカの重要性を考慮するなら増加が予想できるという見解を表明した。また、参加者は、NGOの役割の重要性が増加していることを確認した。



名古屋大学「平和構築シンポジウム」
於 名古屋大学
  参加者
Dr. Bereket Selassie
Dr. Andreas Eshete
:元エリトリア憲法制定委員会委員長
:アジスアベバ大学法学部教授(人権と民主化)
上柳俊郎
佐藤寛
:日弁連国際室室長
:アジア経済研究所 経済協力研究部主任研究員
  コーディネーター
土井香苗
:元エリトリア司法省リサーチャー
  議事録概要
 弁護士である上柳氏は、平和のために、法律家にできることは多いと論じた。上柳氏は、以前、カンボジアの法制度を整える支援活動に参加していた。この経験から、法律家ができる国際協力について考えたと語った。開発援助の専門家である佐藤氏は、NGOの援助活動について議論した。アフリカの角地域を専門的に研究している佐藤氏は、この地域でのNGO活動の実例などを紹介した。
 エリトリア−エチオピア問題に関しては、両国からの参加者は、紛争の分析とともに、マスコミの報道についても議論した。マスコミは、ニュースを報道するにあたり、事実を誇張することがあるという問題の指摘があった。

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