life onboard
落語で楽しむカムイユーカラ
 7月17日、水先案内人・計良光範さんと古今亭菊千代さんによる対談企画、「落語で楽しむカムイユーカラ」が開催された。
 「アイヌ文化の伝承」と「落語の世界」…それぞれの分野で活躍されるおふたり。3年前に水先案内人として乗船され、ピースボートで出会ったのを機に交流が始まったという。
 菊千代さんはこのとき、計良さんから『カムイユーカラ(神様が歌ったとされる謡)』の話を聞き、それを台本にして、東京上野の鈴本演芸場で行われた寄席の演目として「アイヌ落語」を発表した。
 今回も菊千代さんは『カムイユーカラ』の中から梟の神が歌った「コンワク」という謡を元に作った落語を披露。内容は、魚や鹿を無残に殺し狩猟する人間に怒った天国の鹿の神・魚の神が人間に飢饉をもたらすというもの。アイヌ文化の人と神様、自然との関わりがよく表現されている。
 「僕が講座で話すよりも分かり易くアイヌのことを伝えてくれました。芸の力は恐ろしいなぁ。鈴本の大きな舞台でアイヌの落語をやるのは大変勇気がいったことでしょう…」と計良さん。またこれに対し菊千代さんは、「自分の人生経験としてピースボートに乗って、"こういう体験をした"ということを伝えたかったんです。アイヌの神話にある教訓は今の時代にもあっていると思います」と語り、おふたりの親交の深さがうかがえる和やかな対談となった。
21世紀に生まれ変わった無声映画
 7月21日、ニューヨークから乗船された水先案内人・活動弁士の佐々木亜希子さんによる講座、「佐々木亜希子のシネマパラダイス〜21世紀に生まれ変わった無声映画〜」が行われた。
 映画誕生初期の無声映画時代に活躍した三大喜劇王のひとり、バスター・キートンの作品「荒武者キートン」もそのひとつ──音のない映像が、佐々木さんの活弁によってパワーアップしたアクションコメディーに大変身!!
 佐々木さんは講座の他にも、ジャマイカまでの乗船中、船内で無声映画にセリフをつけるワークショップを行っている。テーマは三大喜劇王「チャップリン、キートン、ロイド」。多彩な顔ぶれの"活動弁士"により喜劇王の笑いがどう味付けされるのか楽しみだ。

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