■ナビゲーターインタビュー アスンタ・ワグラさん |
地球大学における水先案内人のことを「ナビゲータ」といいます。ここでは、HIV/AIDS問題について、ゼミや船内講座でたくさんお話ししてくださり、また今後の示唆もいただいたおふたりに、地大生から改めてインタビューをしてみました。 |
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ご自身も「HIVポジティブ」として、ケニア・ナイロビで、HIVに感染した女性たちの支援活動をされているアスンタさん。初めての乗船となる今回は、息子のピーターくんも一緒。船内では、ピーターくんに言い残したいことについてもお話ししてくださいました。私たち地大生にとっても大きな原動力となった、そんなアスンタさんにインタビュー。
Q:私自身、女性としてアスンタさんから得たものは大きかったと思います。アスンタさん自身の力の源はなんですか?
A:私は感染したとわかった時、もう自分は死ぬんだ、という絶望的な気持ちになりました。いま頑張っていける源は、自分と同じ境遇の人、特に女性を、自分は助けられるんだということです。
Q:初めてのご乗船ですが、感想としてはいかがですか?
A:全体として、とてもよい経験でした。今まで触れ合う機会のあまりない日本人と知り合うきっかけにもなりましたし。挨拶を気軽にしてくれたり、尊重されているのが伝わってきたりしたことが嬉しかったですし、そのような日本の習慣の良さを感じました。
けれどまあ、言葉の壁はやっぱりありますね。直に話すことができず、通訳の方を介することで微妙なニュアンスが伝えられないことがあったのは少し残念でしたね。
Q:息子のピータ−くんと一緒にご乗船されましたが、ピーターくんに言いたいことはどんなことですか?
A:我々に試練がないというわけではない。しかし、エイズやその他の病で死ぬ心の準備は出来ている。たとえ私の命がもう長くなくとも、一日一日を大切に生きたいと思っている――そういうことですね。
Q:未来の子どもたちへ、何かメッセージはありますか?
A:私は、あなたたちが自分の夢をもって生きていけるよう、心から願っています。そしてHIVがあなたの人生をむしばむことのないようにして下さい。たとえあなたを導くものが何もなく、希望もなくても、あなた自身が自分の心の中のリーダーになり、希望を持って生きていくことを私は信じています。
Q:これから、地大生にどう考えてどう行動してもらいたいですか?
A:毎日を賢く生きてください──他に助けがなく、あなたを必要としているかもしれない人に気づいてあげなさい。声を持たぬ人の声になり、希望や治療や明日を持たぬ人の日陰になりなさい。私たちが今理解され、助けられている環境では「進歩」というものはないのです。
進歩するためには常に挑戦し続け、議論を続けていくことが大切だ、ということに私たちは気づくべきなのです。
(平松有香)
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