アカフトラ先遣報告
 アメリカ大陸の中でもいちばん小さな国、エルサルバドル。「救世主」と名づけられたこの国は、弾圧・内戦・大地震…など、幸福な歴史を歩んできたわけではありません。しかし、そんな中でも人々は一歩ずつ、生活を立て直すための取り組みを続けています。その中には、いわゆる「先進国」が学ぶべきプロジェクトも――先遣スタッフ・助川紋子が、そんなエルサルバドルを一足先に訪れました。
 スペイン人が初めてこの地を訪れたのが16世紀なかば。その後の長いスペイン統治時代を現しているのが、こんなヨーロッパ風の大きな建造物です。市庁舎や国立劇場などもこんな感じ。まずはカテドラル(大聖堂)と広場ができて、それからだんだん街がつくられていったんだそうですよ。
 ひとつ奥の通りに行くと、こんな「屋台」をよく見かけます。ここでは、食べやすい大きさに切った果物をビニール袋に入れて売っています。色鮮やかな袋が並んで、見た目もキレイ。
 中米あたりの主食は穀物。特に、トウモロコシの粉で作ったトルティージャは、日本でいう米ぐらいにポピュラーな食べ物です。そのなかでも「ププサ」はエルサルバドル独特のトルティージャ。パンの中にチーズなんかの具が入っていて、それにキャベツの酢漬けをつけて食べました。これはオススメですよ!
 スペインがこの地にやってくる前から、このあたりには多くの先住民族が住んでおり、マヤ文明をはじめとする独自の文化がありました。これはその時代に造られた中米のピラミッド・タスマル遺跡。いちばん高いもので32メートル。頂上に登るとこのあたりが一望できます。
 そんな遺跡群もひとつの悩みを抱えています。それは時がたつにつれて遺跡群が風化していくこと、しかも「修復が進まない」ということです。それは、たび重なる争いで破壊された家や店などを建て直そうとして、ここから土を持っていってしまう建築業者が多いからだとか…。
 サンサルバドルの喧噪から離れた農村を訪れました。明るいラテンの人に慣れてきていたせいか、すっごくシャイな村の人たちに、最初は私もちょっととまどい気味…けれどとっても優しい人たちなんです。畑に行ったら、おじさんが採れたてのスイカを切ってくれました。この村を訪れるツアーもつくる予定です。
 中南米は、男性優位主義(マチスモ)がまだまだ多勢を占める社会。さらに財政難も手伝って、政府だけではシングルマザーなど女性たちへのサポートにまで目が向かないのも、また事実。NGO「フロル・デ・ピエドラ(石の花)」では、そんな女性たちへの自立支援をおこなっています。「堅い石のように厳しい現実のうえにも立派に咲く花であるように」と、こういう名前がつけられたそう。
 1992年に停戦するまで、12年間内戦を続けてきたエルサルバドル。内戦時代には、多くの女性たちも銃をとって戦ったんだそうです。「私も銃をとって戦ったのよ」と言われたときには…うーん、ちょっと、複雑な気持ちでしたけど…。
 「煙も騒音も出ない自転車を」と書かれた大段幕。これは環境NGO「CESTA(セスタ)」のスローガンのひとつです。「CESTA」は、「持続可能なエコロジー社会」を実現させようと、サイクリングツアーや有機農業、ソーラー発電など数々の実践を重ねている、注目の環境NGO。ここのメンバーと、自転車で街をひとめぐりするツアーをおこなう予定です。
 急速な復興開発による大気汚染が問題となりつつあるエルサルバドル。その実態をひろく伝えようと、「CESTA」では「環境出前教室」もおこなっているんだそうです。「出前先」には、なんとこのバスで向かうんだとか…。「まさに『走る教室』ですよ」と、現地の人も笑ってました。
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