国名
 ベネズエラ共和国 Republic of Venezuela

ことば
 スペイン語
・歴史
 15世紀末、コロンブス船団が来訪し、以後スペインの支配下へ。18世紀から高まり始めた独立の機運を受け、1819年、ベネズエラ生まれの「独立の父」シモン・ボリーバルの指導により、現在のコロンビア、エクアドル、ベネズエラを含む「グラン・コロンビア共和国」として独立した。しかし、独立後も内紛が続き、結局1830年、ベネズエラは単独での独立を宣言する。そののちも、幾度となくクーデターと軍政が繰り返された。
 世界でも有数の産油国で、20世紀初頭から始まった油田開発により、急速な経済発展をとげた。いっぽうで、増大する貧富の差や、「ランチョ」と呼ばれるスラムの拡大が大きな問題となっている。1999年には大規模な水害に襲われ、特に海岸部のラグアイラでは大きな被害を出した。

ギアナ高地とエンジェルの滝
第35回クルーズのハイライトのひとつ、「秘境」ギアナ高地と世界最大落差を誇るエンジェルフォールを訪れるスペシャルツアー。参加者は11機ものプロペラ機に分乗、約3時間かけてギアナ高地へ飛び、圧倒されるばかりの大自然を体験してきた。

ベンポスタ子ども共和国
子どもたちによる自治が行われている、スペインで生まれたNGO「ベンポスタ共和 国」。1999年12月の大洪水の爪跡が残るラグアイラの支部を訪ね、子供たちとの交流を通 して、このユニークな共同体の「今」に直に触れた。

巨大スラム「ランチョ」へ
ベネズエラの首都カラカスを取り囲むように広がる、山合のスラム「ランチョ」。1960年代、仕事を求めて都会へと移り住んできた人々が、住む人がいなかった山の上の土地を占拠して暮らし始めたのがそもそものはじまりだという。70年代には豊富な石油資源を背景に、ベネズエラは急激な経済発展をとげ、コロンビアや国内の農村部からの出稼ぎ者が急増。ランチョの規模も拡大し、現在のような、「急な勾配の山肌に密集して立つ家々」という光景がつくり上げられた。
もともとのはじまりが「不法占拠」であっても、ある程度世帯数がふえると、行政もその存在を認めないわけにはゆかず、水道や電気の供給が実現するケースもあるという。このコースでは、カラカス市内のランチョのひとつ、ラ・ドロリータを訪問し、そこに暮らす人たちとの交流を楽しんだ。

ガラパゴススペシャル
南米エクアドル沖、赤道直下にあって独自の生態系を維持し、かのダーウィンが「進化論」を着想したことでも知られる「最後の楽園」ガラパゴス諸島。各島への上陸時には生態系に影響を与えることのないよう、約10名のグループに分かれ、ナチュラリスト・ガイドと共に行動することが義務づけられています。
火山活動により形成された島の厳しい自然の中で出会ったのは、数々のユニークな動植物たち。中でも印象的だったのは、人を全く恐れない動物たちの様子でした。
しかし現在、過去に持ち込まれたペットや家畜による生態系の破壊、そして近年の大量移民による人口増加により、この豊かな自然環境は危機にさらされているといいます。たくましく生きる生物のすばらしさと同時に、地球に暮らす私たちにとっての自然保護の重大さを感じる訪問でもありました。

「ドイツ村」コロニア・トバールへ
首都カラカスからバスで揺られること約2時間。深い森に囲まれて、ドイツ風の家々が立ち並ぶコロニア・ トバールへ。ここは18世紀半ば、独立戦争による人口の激減を懸念したベネズエラ共和国政府の奨励により、遠く海を隔てたドイツ・シュバルツバルト(黒い森)地方から移民してきた人々が作り上げた入植地(コロニア)。近年までほかの地域との交流がほとんどなかったため、移民してきた当時のまま、ドイツの習慣や文化が色濃く残されています。「故郷」シュバルツバルトを思わせるような深い森を抜け、トバール村に入ると、まるで違う国に迷い込んでしまったかのよう。伝統の味、「ドイツ風ソーセージ」と「トバール地ビール」に舌鼓。日本では味わえない独特の食感と風味のソーセージと、それに絶妙にマッチした冷え冷えビールに大満足の一時を過ごしました。
(尾崎)

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