5月30日  ▼26年目のベトナム戦争
かつて南北に分断されていたベトナムを舞台に繰り広げられた、ベトナム戦争終結から26年。当時の写真や資料、実際に戦闘で使用された飛行機などが展示された戦争証跡資料館、南ベトナム解放戦線の基地となったクチ・トンネルなどを訪問し検証するコース。
1960年から、アメリカ軍が撤退する1973年まで、13年にわたって掘り続けられたクチ・トンネルは、もっとも長い場所で250kmもある。アメリカ軍に比べ、物資や武器に恵まれなかったベトナム人たちは、網のように伸びたトンネルや落とし穴を用いてゲリラ攻撃をしかけた。このトンネルは生活の場所とも、物資の行き交う通路ともなったという。ベトナム人より大柄なアメリカ兵が入ってこれないように狭くしたり、空気穴を作ったりといった工夫がみられる。さっそくその中へ入ってみる。かがんだ姿勢でも頭をぶつけてしまうほど狭く、細かった。
クチ・トンネルは様々なところに隠し穴がある。蓋を開けると、細い道が奥の方まで続いている。これは観光用に入り口を多少広げてあり、本来はもっと狭いそうだ。こんな大きな穴でも蓋を閉めて枯れ葉を載のせると全く分からなくなってしまった。
当時を知る、バイ・ラムさん(65歳)から話を聞いた。「クチ・トンネルのことは尊敬する。だがもう二度と使いたくない。」「日本もフランスもアメリカも歴史においてはみな悪かった。ベトナムは独立と自由のために戦った。過去のことを消すことはできないが将来を見たい。」
参加者から日本の若者へメッセージをお願いすると、「ベトナムは今、頑張って発展しようとしている。日本の皆さん見ていてください。」
戦争証跡博物館には、ベトナム戦争に関する資料や使われた爆弾、銃器、枯れ葉剤の影響による奇形児の写真などが多数展示されている。モノクロ写真に混ざって、カラー写真もあるところが、つい最近のできごとであることを感じさせた。
実際に使われたというギロチン台。隣の箱は切った首が入れられるところ。このほか、アメリカ軍がベトナム人に対しておこなった拷問や虐殺の写真や絵が展示されていた。
(小原)
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