7月30日  ▼中米ジェンダー事情
「ジェンダー」とは、社会的・文化的に形成される性別のこと。このコースでは、エルサルバドル国内で、性(ジェンダー)差別の問題に取り組んでいるNGOや、女性たちのための施設を訪問。さまざまな苦境の中でも「ラテン的」に元気で陽気な、自立と平等を目指す女性たちと、ワークショップや音楽を通じて交流した。
まず向かったのは、女性と子供を暴力や貧困から救済し、自立を支援するNGO『CEMUJEL』。主に平等教育・暴力反対運動・人権侵害の被害者に対する支援等のプログラムをおこなっている。今年の1月に起きた地震の被災者となった子供たちへの支援も続けてきた。子供たちは、最近やっときれいな色を使って絵を描けるようになったという。
売春などの性産業に従事せざるを得ない女性たちを支援するNGO『Flor de Piedra(=石の花)』。「石のような固く辛い現実の上にも美しい花が咲くように」という願いが込められた名称だ。
メンバーのひとりは「ここに来るまでは、子供や家族を支えるためにだけ働いてきた。人権や自分の体を守ろうという意識は全く無く、自分自身を卑下し閉じこもっていた。この団体のおかげで自分たちは人格を持った人間であることを知り、人間として与えられた体を大切にしなければならないということを学んだ」と語っていた。
HIVキャリアの人たちを支援するNGO『AIDES』。キャリアの人たちは、HIVに対して謝った知識を持っている人が多いために、不当な差別を受ける。AIDESでは、人権侵害に対して裁判を起こしたり、HIVに対する正しい知識を普及させるため、小学校へマニュアルを配るなど、患者の生活を理解してもらうための活動をおこなっている。
HIVキャリアの子供たちの為の施設『Jardin de Amor(=愛の庭)』。現在、乳児から9歳まで、33人の子どもたちが生活している。政府からの助成金と海外NGOからの支援を受け運営しているが、不足しているものが多く、特に哺乳ビンを消毒する機械が必要だという。子供たちは年齢の割には体が小さく、また感情表現が少し乏しいように感じられる。子供たちへ十分な栄養と医療が与えられ、まわりからの支援と愛情が注がれるように願わずにはいられなかった。
(小原恵梨子)
アカフトラ寄港地レポートインデックス33回クルーズレポートインデックスへ