7月15日 ▼ピース・ピースというけれど…?!/外山聖子(コロンビア大学助教授)
コロンビア大学で平和学教授助手を務める水先案内人、外山聖子さんによる、平和について考えるワークショップ第一弾。
まず最初に、導入編として「平和」とは何かを考えてみようと、参加者に「平和をじゃまする物」を挙げてもらう。「武器」「差別」「いがみ合い」「暴力」「偏見」「欲」「公害」など様々な意見が出された。
「平和は消極的平和と積極的平和に分けられるという考え方があります。消極的な平和とは肉体的な暴力を受けない状態のことで、積極的平和には間接的に生命を脅かすことがない状態と人の尊厳を傷つけることがない状態の2つを指します。
明日から5日間にわたってまず『人権ってなに?』と題したワークショップを行います。『生きていくために不可欠な物とあったらいい物』『権利と責任について』『子供の権利条約について』『平和について』というテーマを取り上げます。キューバ出港後は紛争解決についてのワークショップも行う予定です。」
(北村美希子)
サルサDEキルサ
大西洋9日間の航海の後は、サルサの本場・キューバ。サルサを一から覚えようと、サルサ教室が開かれた。講師はキューバでサルサの先生をしている水先案内人ドミンゴ・パウさん。かなりの大人数の参加となったため、男女各2グループに分かれて順番にステップを教えてもらった。
一口にサルサといっても様々なリズムがあるそうで、今回は「チャチャチャ」と「マンボ」、「サルサ」の基本ステップを習った。水先案内人として乗船中のパーカッショニスト・ペッカーさんの太鼓に合わせて、50歳とは思えない軽快なステップを踏むドミンゴさん。参加者からは何度も拍手と歓声があがった。みんな一生懸命踊るものの、ステップはできても、柔らかい腰の動きは難しい様子。「レッスンは始まったばかり。キューバに着くまで少しでも上手く踊れるように練習あるのみです!」
(森由香)
国連女学院〜国連ってなんなの?〜/フィリス・ベニス(国連専門家)
チャイム音で始まった「国連女学院」。制服姿の女性徒役3人が、先生役で国連専門家のフィリス・ベニスさんに質問する形式で「授業」が進められた。この講座では、国際連合は第二次世界大戦中、連合国側が戦後もその力を維持するために作った組織で、その役割が時代の変化に伴って変わりつつあること、戦後各地で独立を望む国が出てくると、国連は植民地支配を解体する機能を果たしたことなど、知っているようで知らない、国連の誕生と現在に至るまでの経緯について説明していただいた。
「現在の国連には、問題点が2つあります。1つは資金を私企業の援助に頼ってしまっていること。もう1つは市民の声を聞く組織がなく、『政府のための国連』でしかないということです。後者については、例えば対人地雷禁止条約で、国連を媒体に市民と政府とが協力するなどの新しい動きも出てきています。しかし前者の問題については、その援助金が国連の中の財団(世界銀行やIMF)に直接渡り、何に使われるかがそこで決められてしまうという状況が厳然とあります。
企業や世界銀行、IMFは、国連自体よりも影響力を持つべきではありません。本来民主的に行われるはずの国連の決定を、私有化してはならないと思います」。
(森由香)
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