私たち東北アジア市民は、2006年10月9日に朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)が核実験を行ったと発表したことについて、深刻に憂慮しています。私たちは、核実験を強く非難します。一方で、米国が「悪の枢軸」という言い方でとってきた敵視政策が逆効果となり緊張を高めてきたことは明らかです。私たちは、東北アジアにおいて武力衝突や核化と軍事化の連鎖反応が起きることを防ぐための協調的な取り組みを強化する必要があります。私たちは、対話と交渉に基づく解決を図ろうとしている政府や市民社会の努力を支持します。私たちは、東北アジアに非核兵器地帯と持続的な平和メカニズムを設立するために団結して取り組んでいきます。
私たちは、一致して以下のことを求めます。
1.私たちはDPRKに対して、さらなる核実験を行わないこと、核兵器計画の完全廃棄に向けてただちに行動をとること、六者協議ないし非核化に向けた他の多国間・二国間による協議に復帰することを求めます。
2.私たちは関係政府、とりわけ米国、韓国、日本、中国、ロシア政府に対して、即時に六者協議ないし他の形の対話を招集し、危機を平和的に解決するための協議を行うことを求めます。とりわけ私たちは米国に対して、米朝二国間協議を求めるDPRKの呼びかけに応じすることを要請します。これらの協議は、2005年9月の六者協議共同声明、すなわちDPRKが核兵器計画を放棄し、米国、日本などがDPRKの安全を保証し国交正常化と経済協力のために努力するという包括的な枠組みに基づいて行われるべきです。関係政府は、軍事的対応や事態を悪化させるような無謀な対応をとってはなりません。
3.私たちは国連安保理事国に対して、いかなる形であれ軍事的行動ないしは朝鮮半島における人道上の危機や緊張の拡大につながるような逆効果的措置を許さないよう要請します。これまでとられてきた経済制裁は、DPRKの核危機に対して前向きな効果をもたらさず、人道上の悪い結果をもたらしてきただけでした。それゆえ私たちは、国連に対して、DPRKに対する経済制裁や他の種類の制裁を課す前に、これまでの制裁が効果的でなかったことについて留意することを要請します。私たちは、国連事務総長および政治・軍縮分野の国連職員に対して、関係国間の協議を促進することを促します。
4.私たちは、マスコミや他の市民社会セクターに対して、地域の市民間における敵対的な感情や暴力を煽るような言動を行わないことを要請します。そして、マスコミや市民社会セクターが、市民社会による平和的解決に向けた努力や、DPRKの人道上の状況、そして東北アジアのさらなる核化および軍事化がもたらす悪影響といった側面について焦点を当てることを要請します。
2006年10月13日
署名者
(10月13日現在の当初リスト。括弧内の団体名は所属を表すのみ。)
AU Pak Kuen(アウ・パックエン、香港教職員組合、香港)
Jau-hwa CHEN(チェン・ジョーファ、Soochow大学、人権活動家、台北)
Marx CHEN(マルクス・チェン、祖国の平和同盟、台北)
ENKHSAIKHAN Jargalsaikhan (エンサイハン・ジャルガルサイハン、ブルー・バナー、元モンゴル国連大使、ウランバートル)
Vadim GAPONENKO(バディム・ガポネンコ、国立海洋大学国際研究センター、ウラジオストック)
JUNG Gyung Lan(チョン・ギョンラン、平和を創る女性の会、ソウル)
KAWASAKI Akira(川崎哲、ピースボート、東京)
Viktor KONONOV(ビクトル・コノノフ、慈善非営利団体クラブ・ラフト、ウラジオストック)
Viktor KORSKOV(ビクトル・コルスコフ、国際平和文化研究所、ウラジオストック)
LEE Jae Young(イ・ジェヨン、韓国アナバプティスト・センター、ソウル)
Kathy MATSUI(松井ケティ、清泉女子大学、東京)
MUSHAKOJI Kinhide(武者小路公秀、反差別国際運動、東京)
NIU Qiang(ニウ・チアン、平和軍縮人民協会、北京)
SASAMOTO Jun(笹本潤、日本国際法律家協会、東京)
Lauren SAUER(ローレン・ソウアー、韓国アナバプティスト・センター、ソウル)
SHEN Dingli(シェン・ディンリ、復旦大学アメリカ研究センター、上海)
Olga YACUCENKO(オルガ・ヤチュチェンコ、ロシア平和財団プリモルスキ地域支局、ウラジオストック)
Philip YANG(フィリップ・ヤン、国立台湾大学、台北)
YOSHIOKA Tatsuya(吉岡達也、GPPAC東北アジア地域イニシエーター、東京)
この声明は、武力紛争予防のためのグローバル・パートナーシップ(GPPAC)東北アジア・ネットワークにより起草され、署名が集められました。
この声明に対するお問い合わせは...
ピースボート・GPPAC東北アジア事務局(担当:川崎哲)
Tel:03-3363-7561/Fax:03-3363-7562/E-mail:gppac@peaceboat.gr.jp |