Law School Project
1999年3月に始まった、エリトリアから留学生を招き、バーチャル・ロースクール(仮想法律学校)を立ち上げようというプロジェクトは今年で第3回目になる。校舎もなければ金もない、という状況を逆手に、弁護士や大学教授、企業の方など様々な方面に協力を依頼し、講義や法律機関、障害者施設、証券取引所の視察など、エリトリアの法整備支援という目的にととまらず、その分野は法律、経済、福祉、歴史、教育など多岐に渡る。参加者全てが何らかの形で運営に参画し、自ら学ぶ場としてのロースクールネットワークの実現を目指している。
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留学生
Mr. Zerisenay Debrezion Mr. Zerisenay Debrezion

アスマラ大学法学部助手(ナショナルサービス=1年間の奉仕活動)
2000年、アスマラ大学法学部を主席で卒業.。国際人権法、国内慣習法、海洋法などに関心がある。2001年8月よりアメリカ留学、帰国後アスマラ大学に勤務予定。

ロースクール2001 スケジュール
6月 時間 場所 訪問先等
9(土) 11:35 成田 ゼリセナイ氏到着
10(日) 15:00-17:00
19:00-22:00
十条
高田馬場
東京都障害者総合スポーツセンター
ゼリゼナイ氏歓迎会
11(月) 10:30-11:15
14:00-16:30
溜池山王
霞ヶ関
ドイツ証券
日本弁護士連合会
12(火) ――
――
15:30-17:00
千葉
千葉
横浜
市民ネットワーク・千葉県(キャンセル)
千葉県知事(キャンセル)
横浜国立大学
13(水) 13:30-15:00
19:00-21:00
四谷
早稲田
上智大学
PEACE BOAT
14(木) 10:00-12:00
13:30-14:30
15:30-17:00
新宿
兜町
霞ヶ関
牧野二郎法律事務所
東京証券取引所
東京地方裁判所
15(金) 10:45-12:15
14:00-15:00
16:00-17:00
19:00-21:00
日吉
大手町
溜池山王
青山
慶應義塾大学
アンダーソン・毛利法律事務所
ゴールドマン・サックス
夕食会(交流会)
16(土) 15:30-16:50
17:30-19:00
19:00-22:30
早稲田
渋谷
渋谷
早稲田奉仕園
のじれん
炊き出し・パトロール見学
17(日) 11:00-19:00 鎌倉 鎌倉観光
18(月) 9:30-11-30
13:00-15:20
渋谷
溜池山王
NHK
NTT DoCoMo
19(火) 13:45-15:30
18:00-22:00
川崎
渋谷
池貝
桜丘法律事務所
20(水) 10:00-11:30
18:30-20:00
内幸町
渋谷
地球環境戦略機関(IGES)
伊藤真の司法試験塾
21(木) 15:55 成田 ゼリセナイ氏帰国

Zerisenay氏からの感想(和訳)
エリトリアに戻り、私は皆様方全員のことを非常に恋しく思っています。メッセージや親切なお言葉をありがとうございます。講演者の方々の暖かさおよび厚遇に対しても感謝しています。私が日本で会った皆様に私の感謝を伝えてください。
実に、皆様方全員の協力のおかげで、日本では非常に生産的で、かつ愉快な時を過ごすことができました。日本に対する私の印象は非常にポジティブなものです。実をいうと、私を最も印象づけたのは東京の美しいものたち、あるいはハイテクな物ではないのです。これらは日本に向かう前にある程度予想をしていたことなのです。

私の心に残ったのは日本の人々です。日本人はとても真面目で秩序正しく、本当に勤勉です。日本で得た勤労概念は私の一生のレッスンとなる事でしょう。また日本という国は恐らく文明の過程でその伝統を失っておらず、かつ高度に発展した唯一の国だと思います (これは国家が誇れるものの一つだと思います)。また、それは恐らく経済開発が、まず日本の人々の、外国からの影響だけではなく、自らの汗と努力によって実現されたからでしょう。エリトリアの状況と対比する場合、私は少し悲観的に感じるものがあります。エリトリア人はそこまで勤勉ではない面があるといえますし、今の状況の変化を海外からの投資に期待しているし、それにより文化的汚染を経験しつつあります。これは良くも悪くもあると思いますが、一ついえるのは、人々の伝統を保持することが常に重要であると思います。私は、エリトリアが日本から学習することはたくさんあると思います。

個人的には日本への今回の訪問により得たことは非常にたくさんあり、またその得た知識をエリトリアの人に教えようとも思っています。私の日本での経験を話すと殆んどの人が驚き、質問ぜめにされますが、もちろん私はすべてに答えられる立場ではありません。

スケジュールが少し忙しかったという事を後悔なさらないでください。実際、私はその方がとても良かったのです―前述の理由のために。今回の経験は、私が恐らく何年もかけて(例えば読書により)習わなければ得られなかった、日本の法制度についてたくさん知ることを可能にしてくれました。また、それにより私は日本の法制度と社会機関に関してもっと今後学習し、かつ私たちのシステムに関連づけるように私の関心を刺激しました、しかしながら、皆様が私から何かを学んだかどうかが心配です。もしかしたら先進国にあまり行った事のない外国人の目から、わずかながらも日本を見直す視点を提供することが出来たかもしれませんね。時々、異なる角度から自分の国を見るということには、価値があると思います。しかし、皆様が行わなければならなかった多くのことを犠牲にして、私と終始行動を共にするという負担を負ったことに少し悪く思います。私が言うことができるのはただ一つの言葉それは「ありがとう」です。私がどれくらい感謝しているかを遠くから表現するのに適切な、より良い方法について考えられません。

私の早急な計画は、このロースクール・プロジェクトに関して8月の会議を計画することを支援することです。また、さらに、法務省で長期滞在する大場寿人のためにいくつかの準備をしています。システムはここで効率的ではないといえますので、担当者に事態について説明することは常に困難です。でも私は長期的に見てこのプロジェクトは非常に意義のあるものだと思います。2国間での情報交換の橋渡しをし、私達の間の経験が、結果的に両国の民族の関係を促進するかもしれない、と考えています(日本語とエリトリア人の友好協会の設立を通じて)。私は八月にはアメリカへ留学するので法曹会議プロジェクトに関われないのが残念に思われます。しかしその事で私たちの関係が削がれる事はないと信じています。私の役割を引き継ぐ人も決まっていますし (日本に以前招待されたPaulosは9月の最初の週に私たちの法律学校に来るでしょう)、私も一年以内には留学から戻ります。このような非常に長いコメントで私が皆様を退屈させなかったことを望みます。

愛を込めて、
ゼリセナイ・デブレジオン
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