SEA NAVI 12月22日号
象の孤児たちを訪ねて──「象の孤児院」へ
 広大なサバンナを、のんびりとゆくアフリカ象。サファリの象徴ともいえるこの姿は、同時に象牙密猟者の最大の標的ともなってきた。
 1948年ツァボ国立公園内に開設されたのが『象の孤児院』。密猟などで母親をなくした小象たちを訪ね、豊かで貴重な自然と、そこで暮らすや野生動物を守っていくためには何が必要かを考えた。

 サファリカーでゲームドライブを楽しんだ後、やってきたのは「リサーチセンター」。ここは、野生動物の保護や、動物と人間が共生するための方策を模索している。
 この、おびただしい数の骨は、密猟者の犠牲になった象の頭骨。彼らは象牙を抜くために、ハンマーなどで頭骨を砕くのだという。

 夕方、『孤児院』の小象たちが、散歩を終えて帰ってきた──日中はサバンナで過ごし、野生に戻るための訓練を行う。象の世話をするレンジャーたちは母親同然。泥浴びをさせたり、えさをとってあげたり、一緒に寝たり…ほぼ一日を小象たちと過ごす。

 名前を呼ぶと近くにやってくる小象たち。ここでは、現在1歳半から6歳まで、24頭の小象が暮らす。
 密猟者のワナにかかっていた「セーラ」、心臓の病気で仲間に見捨てられた「モラ」、泥にはまって動けなくなっていた「ソランゴ」…参加者は、それぞれ気になる象の"里親"として登録した。
 2日目、「KWS(ケニア・ワイルドライフ・サービス)」のジョセフさんとの意見交換会にて。
 ジョセフさんからは、密猟の実態や小象を野生に戻すための苦労などが語られ、参加者からはグループごとに疑問点や、感想を発表。活発なディスカッションが行われた。
 私たち人間だけでなく、動物や植物すべてに調和のとれた平和を考えていかなければならないと実感した2日間だった。

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