SEA NAVI 11月16日号
迷路のようにのびた"クチトンネル"を歩く──30年目の「ベトナム戦争」
 1960〜75年、ベトナムで長い戦争があった。米国からの支援を受けた南ベトナム政権と、外国勢力からの解放を掲げたベトナム解放戦線との戦いは、米軍の介入により激化、民間人を巻き込んで広がる被害に全世界から反戦の声が上がった──現在、めざましい発展をとげた首都ホーチミンで、「ベトナム戦争」を振り返った。

 南ベトナムの旧大統領官邸「統一会堂」を訪ねた。約30年前、ベトナム解放戦線の戦車がここに突入、大統領は逃亡し戦争は終結した。
 1〜4階はダンスホール、映画館、パーティ会場…と贅のかぎりをつくした造り。じゅうたんなど調度品も豪華だ。外国からの要人を招いては、日夜会議やパーティが開かれていたという。

 旧大統領官邸の地下室は、かつて南ベトナム軍の司令室だった部屋。ベトナム解放戦線を倒すための作戦を立てて指揮していた、まさに政権の心臓部だ。壁にはられた地図など当時使っていたものが、そのまま残る。

 南ベトナム解放戦線の基地となった『クチトンネル』の入り口。地下に迷路のようにはりめぐらされたトンネルの出入り口は小さく、当時は草で覆い、見つからないようにしていた。現在でもガイドの案内がなければ見つけるのは困難だ。

 トンネル内部は腰をかがめてやっと通れるぐらいのスペース。民間人も避難場所などに利用していたといい、奥には会議室や救護所、炊事場などの施設も。
 ベトナム戦争が終結して来年で30年。現在は観光施設として公開されている。

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